第5話 契約
「さて契約は簡単だとは言ったがどの精霊に好かれるかでまた変わってくる。例えば私みたいな火と土のダブルだと火の精霊に好かれた場合土の精霊には好かれないということが起きる。これは属性の相性によるのものだ。火は土を溶かすことができる。また土は火を塗り潰すことができる。とこのように相性が悪いと契約がどちらか一属性となるわけだよ」
・・・相性悪いのか?水と火とか土と風とかだったらまだわかるけど、いやそれよりも相性の悪い精霊なんているのか?どの属性も結局は相性がいいような気がするのは・・・・・・せやな水蒸気とか溶岩の物質がどうできてるかわからないとこういう発想にはいたらないか。とするとこの異世界は科学はそんなに進歩してないのか?だが・・・・・・
ナルが思考を纏めようとしたが目の前に入ってくるネージュの持っている紙や机などを見ていると加工された後や余りにも綺麗過ぎる壁などで科学が進歩していないとは思えなかった。
「まれにだけど持っていない属性の精霊が契約に応じたりするんだけどね。まあ、とりあえずやってみようか」
ネージュはそう言ってナルの手にさっきのカードを持たせた。
見れば見るほど前の世界のカードゲームに似てるよなあ・・・
そう思い、カードを再び見るナルは特徴的な青色の線で書かれた六芒星のカードを見る。
表?は白くなっており、たぶんだがここに精霊の絵柄が入るのだろう。
「さてそれを起動するにはたたこう言えばいい。『契約の印をここに』とそれで起動する」
そうネージュから言われ通りにやってみた。
「けいやくのしるしをここに」
ゴウッ!!とナルの周りに渦が発生し始めた。
「・・・これはまさか」
ネージュが何か言ってるが今はそれよりも目の前で起きていることが信じられない。
何故なら・・・
六つの光が目の前で光っていたからだ。
その光がポワポワとナルの周りを飛び回る。そして小さい声がナルの周りで囁く。
『契約ー?』
『主ー?』
『男の子だー』
『キャハハハ!』
子供の声みたいなのが耳に入ってくる。そして、代表するかのように光と闇の球体がナルの前に来る。
『神の言葉を授かりし方よ』
『信念を貫く者よ』
『『契約を』』
その言葉がナルの耳に入った瞬間だった。後ろで精霊との契約を唖然としながら見ていた。ネージュとコーリアだったが、急にネージュの白衣の懐の所が光ったと思ったら。ナルの方にカードが飛んできた。その数は今目の前にあるカード合わせて6枚。そしてそのカードに各精霊達が触れていく。触れた精霊はカードに吸い込まれように消えていった。
「おわった・・・?」
手元にあるのは合計6枚のカードそして色はそれぞれ火、水、風、土、光、闇の色を示したカードがあった。絵柄は4枚が球体だったが、そのうちの2枚は少女の姿をしているカードだった。
「・・・いやあ、もうこれからの生涯で驚くようことは無いだろうなあ・・・・・・」
「ネージュはまだいいじゃないのかしら?私は後100年近く驚くことできないわよ・・・」
二人の様子から察するにまたやらかしたらしい。
というかもう普通の生活できないレベルですよね?いや!まだだ!俺は諦めない絶対に普通の生活をしてみせる!!
「さてこれも秘密には・・・できないかさすがに・・・こうなると学園に入学させるのは駄目だね」
「そうね・・・あそこは力を求めて多くの人達が来る場所、そこに全属性の精霊持ちなんて現れたら教師達は絶対全属性持ちを優遇するわね・・・」
「だろうねえ・・・あそこの教師はいい意味でも悪い意味でも低脳の集まりだからねえ」
「どうしましょうか・・・」
うんうん悩んで所すいませんが別にそこまで覚えること無いから学園には行かなくても平気ーとは言えないよなー・・・
ナルは前世の知識を持って転生しているため基本的に勉学の必要性は余り無い。しいて言うならこの世界の歴史と通貨、あとは政治体制ぐらいである。魔法に関しては目の前のネージュから教えてもらえばいい。
そうなると自然とこの世界の本を読むという結論にいたる。
「かあさま。ごほんでべんきょうすればいいんだよ」
「本・・・本か・・・いや、ナルの理解力なら意外といける案かも知れないわ」
「そうだね。情報自体は精霊のおかげで隠蔽できるようになったから後は知識と修練だけだね」
「私は剣とか弓は使えないわよ?」
「私もだよ。もっぱら魔法しか研究してないからね」
「「・・・・・・」」
なんだろうか・・・二人ともただのニートにしか見えなくなってきたのは俺だけなのであろうか?
この二人昔から運動は苦手で片方は体力が無いから、もう片方は胸が動いて邪魔+痛いからを理由にして二人とも今の今まで運動をしてこなかったのである。
「まあなんとかなるよ」
「そうよね。なんとかなるわよね?」
あれ!?意外と簡単に諦めた!?
「とりあえず腕立てと腹筋、背筋させて走らせてれば体力と筋力はつく・・・よね?」
「たぶん・・・」
「それともドラゴンブラッドでも飲ませてみる?」
「やめてよ!拒絶反応出たらナルが死んじゃうわよ!」
「でもなあ・・・なんかナル君はそういうの平気そうなんだよなあ・・・」
そんないい加減な理由で命を粗末に扱わんといてください・・・
にしても筋トレか・・・懐かしいな。
中学生の頃色々な運動をしたおかげで自分には基礎体力が無いことに気づきひたすら筋トレをした記憶がナルの中で浮かぶ。
「ま、いっかそれよりもだ。ナル君精霊を召喚してみようか?」
「しょうかん?」
「そうだよ。召喚したい精霊を心の中に念じながらカードを前に投げてみて」
心の中に召喚したい精霊をか・・・ならさっきの少女二人の方がイメージしやすいだろう。
他のは球体で大雑把なイメージしかできないからな。
そう思いナルは心の中にさっき見たカードの絵柄を3Dでイメージしていく。そしてカードを一指し指と中指で挟み前方に投げる。
一回やってみたかったんだよなーと思いながらカードの行く先を見ていたらカードが空中で留まり、光があふれ出した。
そしてその光があふれた場所にいたのはイメージどおりの少女だった。
ナルが選んだカードの属性は光だった。闇だと判別しずらいのではと思い光にした。
『お呼びでしょうか主様』
「うん。ちょっとせいれいがどんなふうにあらわれるのかなっておもって」
嘘はついてない。実際カードからどんな風に出現するかは見てみたかったし。
『そうですか。次回は私と闇ではなく他の子たちを呼んであげてください』
「どうして?」
『精霊はこの世界に姿を現界させていると成長していくのです』
「ならずっとだしてればいいんじゃないの?」
『それは出来ません。主様の魔力が先に無くなってしまいます』
・・・なるほど。精霊をこの世界に現界させるには契約者の魔力、つまりMPが必要ってことか・・・あれ?でもステータスに魔力とMPがバラバラにあったけどどういうことだ?
『それでは主様。また会える時を楽しみにしております』
シュウゥゥ・・・という音立てながらカードの姿に戻りナルの手元に戻ってくる。
「・・・ナル君?精霊の言葉がわかるのかい?」
「え?」
「エルフも顔負けだね」
「言わないでくれると嬉しいんだけどね。いいナル?この世界で精霊と言葉を交わせるのがエルフのみ。そしてエルフの中でも純潔の上位種以上じゃないと精霊の言葉は聞けないのわかる?」
「はい」
「だからむやみやたらに精霊と話しちゃ駄目よ?」
「わかりました。かあさま」
・・・また普通が遠くなった。
今日はもう不貞寝するもんねー!でも精霊と話せるのは嬉しいんだよなー・・・
普通の生活をしたがっているナルにとってはこんな風に特別な力が目覚めていくのは不本意であったが嬉しくもあった。
・・・こんなにたくさんの力はいらなかったが・・・母様を守るためには必要か。なら問題ないか。
どこか変なところでずれているナルなのであった。