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第4話 エレメンター

「さてナル君、魔法とはなんだと思うかね?」

「なに・・・ですか?」

「そうだ」


 ・・・難しいな。

 そもそも、魔法ってゲームみたいにMPを消費して使うとか精神力があればあるほど威力が上がるとか結構曖昧なんだよな・・・

 中学生の頃からライトノベルなどを読み漁っていたがそういう風に聞かれると考え込むナル。

 なら簡単に答えてみるか?

 そう思いナルは答えた。


「イメージですか?」

「・・・君本当に三歳かい?」


 ・・・せやな。俺今三歳でした。

 受け答えがはっきりしすぎててそりゃ変に思われるわな。

 気をつけよう・・・


「まあいいか。コーリアの息子だそれくらいは普通なのかもしれないね」

「かあさま?」

「そうだよ。本人はあまり話したがらないから聞くならコーリアに聞いてみてね」

「はい」


 そういえば昨日盤上の女神って言われてたっけか・・・

 もしかして元勇者パーティーの一員とか・・・?

 ははは・・・まさかな?だってそんな有名な人物だったらあんな男と夫婦の関係になるはずがない。

 そもそも魔王や勇者なんて存在するかどうかすら怪しいしな、それに政略結婚じたい・・・いやまてよ?

 もしもだ。本当にもしもだ。・・・勇者パーティーであった母様を自分の国に縛っておきたいと考えたら・・・?

 ・・・・・・・・・・可能性としてはありえる。

 そしてそれを断れない材料・・・・・・町民か!!

 いやまてまてそれはあくまで母様が勇者パーティーだったらの話だ。

 ・・・今は考えるのをやめよう。この体だちょっと考え込んだだけで頭が痛くなる。

 そんなことを考えていたせいか顔が強張っていたらしくネージュさんに声をかけられる。


「大丈夫かい?顔色悪いけど・・・」

「だいじょうぶです。ちょっとぼーっとしてました」

「・・・まあ大丈夫ならいいけど。無理はしないでくれよ?君に何かあったら殺られるのは僕なんだから」

「はい」


 今は魔法に集中しよう。

 この話は後で聞けばいい。

 そんな風に再び考え込もうとしているナルをみてネージュはオホン!とわざとらしい咳をして話し始めた。


「そういえばちゃんと自己紹介していなかったね。私の名前はフィルセン・ネージュ。あるパーティーのマジックキャスターとして有名になったのかな?」


 そんなこと三歳児に聞くな!と叫びたいのをぐっと飲み込みそのまま聞く体勢を維持する。


「一応ダブルの使い手だよ」

「だぶるってなんですか?」

「そうか。まずはそこからだね」


 ネージュの話を聞くとこうだった。

 この世界でいうマジックキャスターっていうのはシングル、ダブル、トリプル、エレメンターと使える属性が増えると名称が変わっていくらしい。

 一般的にはシングルが普通でダブルは珍しいくトリプルなんて何百年に一度だとかエレメンターはそれこそ伝説に近いらしい。

 そして属性は火、水、風、土、光、闇と六属性が代表的らしく、他にも精霊魔法や固有魔法などがありそこらへんは受け継がれたり、血が関係してくるらしい。

 ちなみに母様の属性を聞いてみたところ、風属性で精霊魔法を使えるみたいだ。

 ネージュは火と土、固有魔法、精霊魔法らしく目の前で胸を張っている。

 ・・・結構目の毒だといっておこう。

 普通の男性だったらそのでかい胸に目が釘付けになるぞ。

 てかこの世界の女性って美人が基本なの?母様だって綺麗な金色の髪に整った容姿をしているし・・・目の前のネージュにいたっては眼鏡に白衣そして髪は短髪で活発な女性をイメージさせるような顔立ちだ。

 実際は逆だが・・・

 というかやばくないか?俺神様っぽいのから四属性使えるようにしてもらっちゃったぞ?

 

「さてこれでようやく魔法についての話ができるね」


 これからが本題のようだ。そりゃそうか。


「魔法とはだね・・・」

「ふわ~おはよう。ネージュにナル・・・」


 絶妙なタイミングで母様が部屋に入ってきた。


「・・・寝坊しすぎじゃないかな?コーリア?」

「いいじゃない。いままでゆっくりと寝られる時なんてあんまりなかったのだから」

「・・・・・・すまない。私も君を」

「それ以上は言わなくてもいいわよ。実際に対処できなかった私が悪いの」

「あの時、あいつを仕留めていれば・・・」


 何か物凄く物騒なことをいわなかったか?

 ネージュの発言に少し背中が冷たくなるのを感じた。


「いいの。確かに私は苦しく、嫌な思いをした。あの男とあれをしたと思うと今でも吐き気がするわ。でもね?ナルがいたの。確かにあの男と私の間にできた子だけどこの子は私を救ってくれた。あんな地獄の中でもナルがいてくれたから私は私でいられた。」

「そうか・・・それが君の支えだったんだね?」

「ええ。私はどんなことがあってもナルだけは守るわ」


 母様・・・・・・


「まあ、ナル君は君から守られる存在にはならないと思うけどね?」


 そんな風にいうネージュの手には何か水晶のようなものがあった。


「それってどういう意味・・・ってそれ見通しの水晶じゃない!?」

「ふふふ・・・この間ギルマスに頼んで使わなくなった古いのもらったんだ」

「いったいどんな風に脅したの?」

「脅したなんて失礼な。ただちょっと裏の事情を教えてあげただけだよ」


 ふふふと笑うネージュはまさしく魔女に見えた。しかも相当黒い魔女である。


「そのギルマスに同情するわ・・・」

「失礼な。ただ譲ってもらっただけなのに」

「あの?みとおしのすいしょうって?」

「ああ!ごめん!ついコーリアと話し込んじゃった」


 どこまでそのギルマスの人を追い詰めたのかちょっと聞いてみたかったがさすがに三歳児がそんなことに首を突っ込もうとすると変に思われるのでやめておいた。

 ・・・すでに変に思われている気がしないこともないけど。


「この見通しの水晶は指定した人の能力値、つまるところステータスが見れるんだ」


 この時ゲッ!?と思ったのは悪くないと思う。


「さてじゃあナル君のステータスを見てみようか!」

「それよりもまほうについておしえてくれるのでは?」

「考えてもみたらまずは適正みないとどの魔法を教えるか変わってくるからね」


 くそう・・・正論すぎて言い返せない。

 たとえ言い返せたとしてもそれはすでに三歳児の考え方じゃない・・・つまるところ俺は何も言えない。

 ・・・泣いていいですか?


「それ!見通しの水晶よナル君のステータスを表示せよ!」


 ネージュが放ったその言葉と同時に水晶から光がナルへと向かい上から下まで全てを見るようにその光は動いていく。

 そしてチーンという音と同時にブウンという音もした。

 水晶からはナルのステータスが表示されていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


名前:ファライスト・ナル(イチノミナル)


性別:男


種族:人族


HP:180/180

MP: 50/ 50


 力 :10(↑22)

 魔力:20

 知能:55

 防御:5 (↑10)

 精神:20(↑50)

 速度:10(↑20)

 運 :40


能力


 精神耐性、疲労耐性、環境耐性、体力消費軽減、ステータス上昇補正、覚悟、幸運、魔法取得速度補正


スキル

 

火魔法Lv1、水魔法Lv1、土魔法Lv1、風魔法Lv1


ユニークスキル


 洞察の目、開眼


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 あれ?いくつか能力とスキルが消えている?

 それのステータスもなんだこの↑マーク?

 そう思いながら母様とネージュの方に顔向けて見ると・・・


「「・・・・・・(ボーゼン)」」


 固まっていらしゃった・・・

 そしてしばらくして一番に動き出したのはネージュであった。

 

「えっと・・・コーリア?私は夢でもみているのかな?」

「奇遇ね・・・私も夢みているんじゃないかしら?」


 ・・・ですよねー!さっきエレメンターの話聞いたらそりゃこうなるわ!!


「ちょっと頬つねってくれないか?」

「私もお願いしてもいいかしら?」


 二人してグニィっと頬を捻る。


「「いたたたたたたた!!!?ってことは夢じゃない!!?」」


 ・・・とぼけた振りをするんだ俺!!


「どうかしたのですか・・・?」

「どうしたもこうしたも伝説の存在に会えるなんて我が生涯に一片の悔い無し!!」


 あんたはどこの世紀末覇者だ。


「驚いたわ。たぶんここ150年で一番驚いたわ」


 繰り返さなくてもいいですから母様・・・というか150年!?


「あれ?その驚いたようすから察するにコーリアがハーフエルフだってこと知らなかったみたいだね」


 ハーフエルフ!?それにしてはエルフ特有というかファンタジーお決まりの長い耳が・・・ってそんなの架空の話だし実際に耳が長いかなんて決まってるわけでもないから決め付けは良くない。


「まあ・・・人間よりのハーフだけどね」


 なんか悲しげな目をしながら言う母様は何かを思い出すように部屋の窓を見ていた。

 その目はどこかでみたことある目だった。そうあれは確か・・・小学生の頃だった。

 友人はイジメにあっていた。その時の目にそっくりなんだ・・・

 ・・・イジメなんてよくあることだって言っているクズ共は死んでしまえばいいと思う。

 実際に前の世界では問題にはなったが積極的にそれを解消しようとはしていなかった。つまるところそういうことに首を突っ込むのが嫌なクズが多かったってことだ。

 もちろんそのクズよりも実際にイジメなんてことをしている奴らは人間としてすら存在する価値が無い。

で問題が露見されたら自分は悪くないとか言い出す。

 そして最終的には教師が問題を起こしたくないから自然と無かったことになる。

 ・・・・・・話がそれた。

 用はあの時の友人の目に母様の目はよく似ているんだ。

 それはとても一人で支えきれるような物じゃないのに母様は一人で背負ってきたのか?

 いや・・・ネージュ、いまさらだけど呼び捨てで良いのか俺?いっか・・・

 仲間がいたんだろうな。だから今まで生きてこれたんだろう母様は・・・

 そんなことを考えているのを読んだのかコーリアはナルの顔を見るといつもの笑顔に戻った。


「ほら!私の過去よりも今はナルよ!」

「そうだね。今はナル君の方が大事だ。特にこのエレメンターについては黙っていた方がいい。そして隠蔽の魔法も教えよう・・・いや?精霊と契約したほうが早いかな?これだけ属性に愛されているなら契約自体も簡単なはずだ」

「それがいいかもしれないわ!きっとナルの精霊は可愛いわよ!」


 母様それだと俺が精霊を生み出したみたいになってます・・・


「さてじゃあ魔法よりも先に精霊との契約からしてしまおう」


 ナルは疑問に思った。何故精霊と契約しないといけないのだろうか?と。

 興味はあるけど別に今ではなくていいはずだ。

 

「おっとその顔はなんで精霊と契約するのを先にするのか疑問に思っている顔だね?」


 ・・・まだ幼いから顔にでやすいのかね?


「まあ、簡単な話。精霊と契約していればステータスをいくらか隠すことができるんだ。どうやら精霊が放つ特殊な魔力の波動によって認識を阻害されるらしい。と研究家達は言っているが私はそうじゃなくて精霊そのものが認識を阻害しているのではと思っている。・・・と話がずれたね。それで精霊との契約方法は簡単だ。この魔方陣を使えばいい」


 そういってナルにネージュが見せたのは一枚の・・・・・・カード?

 疑問に思うのも仕方ないと思う。だって精霊と契約するためのカードが前の世界のカードゲームと全く同じだからである。

 いや・・・考えすぎだろう。

 偶然にしてもこれを使ったカードゲームなんて・・・・・・ありそうだなあ・・・。


「さあ!早速契約をしよう!」

「そうよナル!」

「・・・はい」


 二人からキラキラした視線で精霊との契約を進めてくるネージュと母様相手に断ることができようか。否である。

 こうしてナルは精霊との契約を開始するのだった。


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