虐めと世上と逆転と
事実無根、捏造された悪評のせいで嫌がらせをされるとか、被害が発生する場合はさすがに犯罪じゃないかな。
と、被害者は思うのですよ。
最近はね、病院の評判もネットで書き込めるのです。しかも、名指しでね。
したこともないミス……例えば、手術が失敗して失明した、とか。あの病院は、注射器を使い回ししてる、とか。医院長は、禿げててナースにセツハラしてる、とか。
悪口混ざった批評です。
おかげで、噂は悪いものばかりでした。まあ、気にしなかったんですけどね。
お客さんが減りました。ネットの効果だけじゃないとは、思います。噂が噂を呼んだのです。
これは、まずい。病院側とすれば穏便に済ませたい。でも、自力では解決できない。
そんなときの法律です。
さすがに、酷いと思いまして、然るべき所へ訴えさせてもらいました。一昔前には、ネット犯罪なんて言葉、なかったらしいですが今は違います。
このときの焦点は、噂が本当に事実であるか、という点でした。悪口は侮辱、名誉毀損に当たるので虐めと仮定でき犯罪です。
病院には、術後の経過も記してあり、そのような患者様も事実いないので、こちらは大丈夫でした。
ですけど、向こうは証拠を提出しなくてはなりません。こちらは、刑事さんがネットの記録も調べてくれてますし、その人が書いた言葉すべてが証拠です。消しても無駄です。
無事、すべてが終わり、やっと事件が解決しました。
病院関係者は、もちろん喜びましたけれども、まだ全ては序章だったのです。
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当たり障りなく、という配慮が再犯を助長するとは思いませんでした。
反省文を警察に書かされ、もうしません、と宣言した人達は普通の、どちからと言えば大人しめに見える人達でした。
ですが、警察から連絡をもらい、被害状況を聞くとまた中傷がネットに書き込まれていたのです。これは、反省の余地なしと警察で判断されました。
犯人は複数で、取り合えずあまりに酷い中傷を書いた人達五人が再逮捕となりました。
ツイッター、ブログ、Facebookで被害を受けている人が増加するにつれ、警察にもきちんとネットの中傷犯罪に対する課があります。弱いものの味方、そんな雰囲気の刑事さんで良かったです。
そのときの刑事さんありがとうございました。じかにお礼も言いたかったけど、私は所詮ただの事務なのであまり接する機会がなく言いそびれました。
私の病院のようなケースは意外と多いらしいです。調べてみると、弁護士さんから個人まで色んな人が戦って勝ちを納めたのだとか。
こちらは、長年の風評被害でボロボロでしたけど、また書かれても平気か、と言われるとそうじゃありません。大問題です。
長い間耐えて、やっと終わったと思ったのに、コレ。この有り様。
バイトで簡単な洗濯をしてもらったり、雑用をしてもらってる人が首になりそうな展開です。医院長もナースもいい人達なのに、こんなことってない、と思いました。接客だって、検診だって、嫌な顔一つせずに笑顔でやってきたのです。
犯罪をした人達は『一度書き込んだだけで』『ただ、噂で聞いたことを書いただけ』と言い、中には『俺はやってない』と友人や家族のせいにする人もいたりしました。
再犯の逮捕、取り調べの刑事さんからは全く反省してない、と聞きました。
ネットで不特定多数に、名指し批判したのは『有名税だ』と言い切る人もいたのだとか。
もし、これが学校の一生徒なら、同じことが言えるでしょうか? ネット批判に悩んでいる生徒が、学校掲示板で罵詈雑言を書かれ自殺。
虐めをする人は、白い目で世間から見られていることに気づかないのでしょうね。複数を対象者にした訴えとは、訳が違います。そう見せかけた虐め、つまり犯罪なのです。自殺した生徒も、警察に訴え、相手が14歳を越えていれば事実上犯罪者にすることが出来たのです。
厳しい世の中で、常識をわきまえていれば、自分を主張しすぎて逮捕になんてならなかったのです。
私は、芸能人で犯罪者の汚名を負った方を思い出しました。辛さは、同じ立場にならないとわからないことがよくわかりました。
彼らは、私達を見たことはあっても話したこともない人達でしたから。よく顔を知ってるだけの相手に、ここまで出来たものです。
次は、きちんと家にまで警察の方が迎えに行き、連行されて表立っての逮捕です。もう、黙ってはいられない病院側は弁護士を立て訴えました。
名誉毀損、そんなことがまかり通るなら、法の抜け道は無限大でしょう。沢山の被害者が無事、困難を乗りきってくれることを祈ります。
病院だからではなく、学生や社会人でも、ブログやFacebookで個人情報が流れる世の中ですから、困ることはあるでしょう。プライバシーの侵害など。
逮捕者が新聞で流れても、自分の事とは結びつかないかもしれません。ですけど、悩んでいても始まらないので行動です。
然るべき方法が見つかれば、解決の糸口が見つかるかもしれません。
ケースバイケースです。大量の悪評が生活に影響を及ぼした。または、孤立するように情報操作された。事実無根であることを含む悪口を広め、名誉を著しく傷つけた。自分の個人情報を悪評として流された。つまり、お金を稼げない、学校に行けないなど人間関係や風評被害、その人物の状況により判断は変わります。
出来るなら丸く納めたい、というのが人間の心理でしょう。
最近、インターネットで書かれた悪口などは、警察にとりあってもらえない、と書かれてますけど……酷ければ消してもらえますし(サイバー警察、またはお金がかかるけど弁護士)、訴えれますし。最悪の状況から抜け出す手段なんていくらでもあります。