初練習、知らない"あの子"。
いよいよ初めての部活動がスタート。
入部したメンバーの中には見覚えのない子がいて…。
部活動見学の二日後、入部金の関係もあって少し遅めに入部届を提出した。
どの部も本格的に今日から活動がスタートする。私は退屈な授業をささっと受けて、放課後を待つ。
いろんな子にどの部活に入るか聞くと、ほとんどが美術部だった。
私のクラス内で女子卓球部に入部したのはわずか二人。
なんでこんなに人気がないんだろうか・・・地味だから、かな?
時間がゆっくりと流れていき、やっと放課後になった。
卓球部の活動場所は三・二階の多目的ホールと小さな別室。
顧問も先生は三人。
一年の英語科担当(私の姉の元担任)・篠田先生、一年の家庭科担当・大林先生(女性)、二年の理科担当・益野先生。
篠田先生は主顧問・益川先生は副顧問・大林先生は副々顧問らしい。
先生たちの自己紹介が終わると、先輩たちの自己紹介が始まる。
男子の先輩達だけですでに20人前後、女子はたったの4人だけ。
そして、新入部員の自己紹介…。
「えっと…仲村 カナ、です。よろしくおねがいします・・・!」
私は自己紹介というヤツが苦手だ。すこしつっかかったものの、なんとか言い終えた。
そのあと、女子は別室に移って練習を開始。
「まずは・・・素振りの練習をします。じゃあ、ちょっと広がってー」
先輩の指示で練習は着々と進んでいき、次のメニューに移る。
「はい!では、次はちょっとボールに慣れてもらうために球を打ってみましょう。」
えぇ・・・いきなり??
キツイなぁ・・・。しかも先輩が相手って・・・。
若干、緊張しながら台について先輩が球出しをしてくれる。
最初はなかなかタイミングをつかめずにいたけど、打っていくうちに返せるようになってだんだん楽しくなってきた。
みんなも楽しそうに球を追いかけて、部室がいつの間にか明るい雰囲気に包まれていた。
「ちょっと、休憩しようか・・・じゃ、5分休憩・・・」
「はぁ~・・・」
座ると一気に疲れがどっと押し寄せてきた。
こんなに楽しいスポーツがあったなんて、今まで気付かなかったのが不思議に思えてならない。
別に意識していたわけではないけど、ふと耳に聞き覚えのない声が入ってきたから、声の主を視界に捉える。
「そう、遠いんだ~・・・入学式の日にギリギリ間に合って・・・」
ん?見たことない子だ・・・他の小学校の子かな・・・。
その子の横には私の友達・池本 有希菜がいる。
疑問には思ったけど、すごく楽しそうに話してたから割り込むことはやめた。
そしてまた40分程度練習して、解散となった。
部活動の時間は夏季の平日は4:00~6:30で、冬季は~5:30、土日は9:00~12:00と伝えられた。
帰ろうとみんなで声をかけ合う頃には外は夕闇に包まれていた。
さっき見た"あの子"はどうやらゆきっぺと家の方角が同じらしい。私とは正反対の方向に歩いて行った。
私は他の女子数人+男子大勢と今日の活動について、いろいろと話しながら家路についた。