~4突き目〜
ここまで順調に勝ち上がった颯だが…?
順調に挑戦者をなぎ倒して行き最初は50人いた奴らも残り二人となった。
これから最後から二番目の相手と戦うのだが顔が見えない。
見えないというのは顔を隠しているからである。
その相手が「悪いけど、二対一でも、いいかな?」それにぼくは「良いよ、構わないさ。」と答えた。
これは何でもありの為多対一でも良いのだが、奴らも武人の端くれ最低限の礼儀は守っていたみたいだ。
だが、今はそんな事はどうでもいい。
その声に心当たりがあったのだ。
でも、そんな。いや、あり得ない。僕の考え過ぎだ。
だが、モヤモヤしているのも気持ち悪い。ここはハッキリさせておこう。
「なあ、お前。まさか航じゃないよな?いや、違うならいいんだ。声が似ていていたから。」はははと苦笑いをする。
しかし聞かれた相手は黙ったままだった。
「おい、待てよ。じゃあまさかホントに航なんじゃねぇだろうな?」
ここでやっと男が口を開いた。
「そうだよ、颯。僕だよ、航さ。」
「じゃあ、そっちは蓮治か。」
「あぁ、そうだ。」と正体が明らかになった。
「なんでお前らが『ゼーレ』側についているんだ?」
「勘違いしているみたいだけど僕たちは『エスプランサ』には属してはいなかった。もとから『ゼーレ』にはいってたんだよ。」
と、ここで精矢師匠が口を挟んできた。
「そうなんだよ、すまなかったね、今まで黙っていて。」と、言い放った。
「え、じゃあ、師匠達は航と蓮治が『ゼーレ』の一員だったということを知っていたんですか?」
「そう、知っていた。
君は知っているとは思うが
『エスプランサ』の一員には一人残らず、ドラゴンの『紋章』が刻まれている。
そして、自分の特性によって刻まれる『紋章』は多種多様なんだけどね。
そんな話はおいといて、そこの二人にも、『紋章』はあったが『エスプランサ』のものではなく、『ゼーレ』の『紋章』。蛇の『紋章』が刻まれていた。
普通の人に『オーラ』が見えないのと同じ様に紋章も『注視』しなければ見る事は出来ない。
『注視』とは自分の『オーラ』を目に集中させて、相手の力量を観る技の事だ。
『注視』が使える様になれば誰でも『紋章』を見る事ができる様になる。これの精度をあげれば相手の戦闘に関する知識は全部と言っていい程見えれる様になる。
だから、私はこの二人が入門しに来た時に『注視』を発動させた。この『紋章』は混戦の時でも区別できる様に特殊なオーラを放つ様に作られている。
だから『注視』がまだ使う事が出来ない奴らは前線に出る事は出来ない。
あ、また無駄話をしてしまったみたいだねぇ。
あの二人の『紋章』についている特殊な『オーラ』は『エスプランサ』のものではなかった、つまり『ゼーレ』のものだったんだよ。
これを知った時みんなと話し合ってどうするか決めたのだが、
颯君の修行の手助けになると思い黙っていたんだ。
二人が何かをする事もなかったからね。」
と詳しい説明を含めて教えてくれたが、今の僕にはショックが大きい。
そんな僕の様子を見てかさっきまで負け負けムードだった『ゼーレ』の連中達が盛り上がっていた。
だが、そんな事は気にならなかった。むしろ気にしていられなかった。
「何でお前ら『ゼーレ』についていたんだ?」
『もと親が入っていたから必然的にそうなったんだが、まぁ、一回目人を殺っちゃってから、快感を覚えたからさ。その感覚がたまんなくてやってるうちに、病みつきになったんだよ。」
「説得しようと思ったが、もう、その、腐り切った頭じゃ無理見たいだな。殴って分からしてやるから覚悟しとけよ?」
「何言ってんだ颯。曲がりなりにもここの道場の修行も耐えてきてるし、『ゼーレ』でも激しい特訓をしている。更にニ対一だ。お前が勝つ確率は万に一つもねぇ。
だから、本気で来いよ。
でないと、死ぬぜ?」
「本気でやって良いんだな?
………壊れても知らねぇぞぉ‼」
ここに親友同士の戦いが目蓋が切って落とされた…!