表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『十二星天の裏支配者 〜追放された雑用係、実は星座を喰らう最後の蛇でした〜』  作者: パーカー
『星なき少年、蛇を宿す』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/18

第9話 『禁書庫の十三番目』

星座は“装置”。

起動条件は“十三番目の選択”。

その言葉の真意を探るため、

アルクとリゼは学院最深部――禁書庫へ向かう。

世界の削除された歴史が、明かされます。

学院地下、第三封印層。

そこは普段、学院長と数名しか立ち入れない領域だ。

分厚い扉。

重ねられた封印陣。

空気そのものが重い。

「本来、あなたを連れてくる場所じゃない」

リゼが言う。

「でも、もう“本来”が通じる状況じゃない」

俺は扉に手をかける。

胸の蛇が、わずかに反応する。

まるで、帰ってきたかのように。

封印が解ける。

軋む音とともに、巨大な書架の森が現れた。

禁書庫。

中央に、円形の台座。

その上に、黒い本が置かれている。

鎖で縛られた一冊。

表紙には――削られた跡。

「……十三番目?」

リゼが息を呑む。

鎖が、勝手に落ちた。

触れてもいないのに。

本が、開く。

ページはほとんど白紙。

だが中央に、薄く刻まれた図。

十二の星が円を描き、

その外側に絡みつく巨大な蛇。

そして記されていた文字。

『統合機構――オフィウクス』

統合。

装置。

やはりそうか。

「十二星座は、世界魔力循環の制御装置」

リゼが読み上げる。

「国家単位で管理し、均衡を保つ」

ページがめくれる。

自動的に。

『だが均衡は停滞を生む』

『よって、十三番目を設ける』

喉が渇く。

『十三番目は、破壊と再編の権限を持つ』

リゼが俺を見る。

「再編……?」

ページが震える。

文字が浮かび上がる。

『十二が腐敗したとき、蛇は星を喰らう』

『喰らい、統合し、再配置する』

世界の、リセット機構。

背筋が冷える。

「つまり俺は」

言葉が重い。

「非常用ボタンか」

リゼの声が揺れる。

「そんな……」

さらにページが進む。

『ただし』

空気が変わる。

『蛇は人の器では完全制御不可』

『王族の血を以て器とす』

心臓が跳ねる。

王族。

俺は、星なしの雑用係だったはずだ。

ページが最後に到達する。

そこには、名前の一覧。

十二星座王家。

そして――

最下段。

『蛇遣い王家 断絶』

その下に、小さく追記。

『最終個体:生存確認済』

俺の視界が揺れる。

リゼが小さく言う。

「アルク……あなたの姓」

ノクス。

禁書の端に、かすれた文字。

『ノクス=蛇遣い直系』

否定したい。

だが。

胸の蛇が、歓喜している。

記憶の断片が、フラッシュする。

炎の城。

泣き叫ぶ人々。

崩れる紋章。

誰かが俺を抱えて走る。

「生かせ」

低い声。

「十三は必要だ」

頭が割れそうになる。

リゼが肩を掴む。

「大丈夫!?」

呼吸が荒い。

「俺は……王族?」

自嘲気味に笑う。

「星なしの落ちこぼれがか」

そのとき。

禁書庫の奥から、足音。

ゆっくりと。

拍手。

「いやあ、辿り着いたね」

シリウス。

やはり来るか。

双子座が淡く光る。

「そこまでが第一段階だ」

リゼが怒鳴る。

「あなた、最初から知っていたのね!」

「もちろん」

悪びれない。

「十三番目は、均衡の再設定装置」

「でも条件がある」

俺を見る。

「全星座の“過半”を保持したとき、起動する」

過半。

七つ以上。

今は三つ。

だから不完全。

「王を喰らえと言った理由は、それか」

「正解」

双子は笑う。

「王級星紋は出力が高い」

「集めれば集めるほど、装置は安定する」

リゼが震える。

「そんなことをしたら、世界が……」

「再編される」

シリウスの目が冷たい。

「今の均衡は腐っている」

「国家は星を独占し、停滞している」

「だから蛇が必要だ」

俺の拳が震える。

「俺を使って、世界を壊す気か」

「違うよ」

即答。

「“選ばせる”」

その言葉に、蛇が反応する。

選択。

やはりそれか。

シリウスは続ける。

「十三番目は強制じゃない」

「七つ以上を保持したとき、君は決断できる」

「今の均衡を維持するか」

「すべてを再配置するか」

禁書庫が揺れる。

上空の亀裂が拡大しているのだろう。

時間がない。

俺は本を閉じる。

「七つ集めたら、俺は王か」

「それ以上だ」

双子の瞳が重なる。

「世界の管理者だ」

重い。

あまりにも。

リゼが俺の前に立つ。

「アルク」

まっすぐな目。

「あなたは、装置じゃない」

その一言。

胸が、少しだけ軽くなる。

蛇が静かになる。

シリウスが肩をすくめる。

「感情的だね、天秤は」

俺は言う。

「七つ集める」

二人が息を呑む。

「でも」

ゆっくりと続ける。

「お前の思い通りにはならない」

双子の目が細くなる。

「世界を壊すかどうかは」

胸の蛇が、静かに光る。

「俺が決める」

その瞬間。

禁書庫の天井が、轟音とともに崩れた。

黒い亀裂から、巨大な影が降りてくる。

星ではない。

人型。

十二の光をまとった存在。

リゼが震える。

「まさか……」

シリウスの笑みが、初めて消えた。

影が告げる。

「統合機構、起動兆候確認」

冷たい声。

「十三番目、管理対象に指定」

俺を見下ろす。

「回収する」

空気が凍りついた。

第9話でした。

・十三番目の正体確定

・主人公が蛇遣い王家直系と判明

・起動条件「七つ以上」提示

・世界再編の選択権

・謎の“管理存在”出現

次話――

初の“天界側”との接触。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ