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『十二星天の裏支配者 〜追放された雑用係、実は星座を喰らう最後の蛇でした〜』  作者: パーカー
『星なき少年、蛇を宿す』

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第7話 『均衡の檻』

牡羊王は退いた。

だが戦いは終わっていない。

学院内部で、アルクの扱いを巡る対立が始まる。

そして――

“最初の裏切り”が起きる。

王が去った後の学院は、異様な静けさに包まれていた。

壊れた結界。

焦げた屋上。

怯えた生徒たち。

そして。

俺を見る視線。

恐怖。

敵意。

好奇。

星を奪う怪物。

それが、俺の新しい肩書きだ。

「アルク・ノクス」

学院長の声が響く。

「暫定的に、特別管理区域へ移送する」

管理。

要するに、監禁だ。

文句は言えない。

だが。

「研究対象扱いはなしだ」

俺はシリウスを睨む。

双子は微笑んだ。

「もちろん。表向きは」

殴りたい。

リゼが割って入る。

「彼の管理は裁定執行部が行う」

周囲がざわつく。

「リゼ、それは負担が――」

「均衡を保つのが私の役目です」

天秤が静かに光る。

俺を見る。

「逃げないと約束できる?」

少し考える。

逃げることはできる。

今の俺なら。

だが。

「まだだ」

俺は答える。

「喰い足りない」

リゼの眉がわずかに動く。

「正直ね」

その正直さが、時々怖い。

特別管理区域は、旧図書塔の最上階だった。

四方に封印陣。

窓は強化結界。

鍵は三重。

「檻ね」

俺が言うと、リゼは否定しなかった。

「均衡のための檻よ」

彼女は机に書類を置く。

「外部接触は禁止」

「星紋の無断使用も禁止」

「違反すれば、私が裁く」

その言葉には、迷いがない。

俺はベッドに腰を下ろす。

蛇の痣が、肩まで広がっている。

「なあ、リゼ」

「何?」

「俺を怖いと思うか」

少しの沈黙。

彼女は正直に答えた。

「ええ」

即答。

「でも」

天秤が微かに揺れる。

「あなたが何を選ぶかの方が、もっと怖い」

選択。

怪物にもある、と言ったのは彼女だ。

俺は笑う。

「安心しろ。まだ世界は壊さない」

「“まだ”?」

鋭い。

その時。

塔の下で悲鳴が上がった。

同時に、結界が揺れる。

リゼが振り向く。

「何?」

通信石が赤く光る。

「内部侵入者!」

教師の声が切迫している。

「星紋反応なし――いや、違う、これは……」

通信が途切れる。

俺は立ち上がる。

胸の蛇が、ざわつく。

これは外部じゃない。

学院内。

リゼが俺を見る。

「あなたの仲間?」

「いない」

次の瞬間。

扉の封印が、内側から軋んだ。

ぎし、ぎし、と嫌な音。

「下がって」

リゼが天秤を展開する。

封印が破裂。

黒い影が室内に滑り込んだ。

仮面。

細身の体。

胸に――蠍座の紋章。

だが様子がおかしい。

光が、濁っている。

「……失敗作か」

影が呟く。

声は若い。

俺を見て、殺意が膨れ上がる。

蛇が歓喜する。

条件成立。

「学院内部に蠍?」

リゼが低く言う。

影が笑う。

「実験は成功した」

背後から、別の足音。

教師が倒れている。

影が続ける。

「奪えるのは、君だけじゃない」

瞬間、影の手が俺に伸びる。

星紋が黒く歪む。

嫌な感覚。

これは“模倣”。

誰かが、俺の能力を再現しようとしている。

シリウス。

あいつだ。

怒りが沸騰する。

「退け」

俺はリゼを庇うように前に出る。

影がナイフを振るう。

接触。

殺意。

完璧。

蛇が、笑う。

「悪いな」

俺は影の胸を掴んだ。

蠍の紋章に触れる。

黒い光が弾ける。

激痛。

だが、構わない。

「俺の真似は無理だ」

蛇が牙を立てる。

星が引き剥がされる。

影が絶叫。

黒く濁った蠍が、俺の中へ流れ込む。

熱い。

三つ目。

蛇・牡羊・蠍。

限界が軋む。

視界が揺れる。

影は力を失い、崩れ落ちた。

仮面が割れる。

見覚えのある顔。

学院の上級生。

「……人体実験か」

リゼが唇を噛む。

「双子……!」

俺は息を荒げる。

身体が悲鳴を上げている。

三重星紋は、危険だ。

だが。

塔の外で、もう一つの気配。

強い。

冷たい。

シリウスの声が、下から響く。

「いやあ、素晴らしい」

拍手。

「三つ目、獲得おめでとう」

怒りで視界が赤くなる。

「お前――」

シリウスは笑う。

「実験体は一人じゃないよ」

塔の周囲に、複数の星紋反応。

学院内部が、ざわめく。

「十三番目」

双子の両目が同時に光る。

「どこまで耐えられる?」

蛇が、低く唸る。

均衡が、壊れる音がした。

第7話でした。

・学院内部に人体実験疑惑

・蠍座奪取

・三重星紋状態へ

・双子の本性がさらに濃く

次話――

学院分裂。

そして、ヒロインの“選択”。

一章、加速します。

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