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『十二星天の裏支配者 〜追放された雑用係、実は星座を喰らう最後の蛇でした〜』  作者: パーカー
『星なき少年、蛇を宿す』

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第5話 『王の星圧』

牡羊王、到来。

それは一国家の主ではなく、

“十二星座の一角”そのもの。

学院防衛戦、開幕。

空が、赤い。

学院の結界の向こう。

巨大な牡羊の紋章が、空全体を覆っている。

炎が渦巻き、雲を焼き、昼を夕焼けに変えていた。

「これが……王級……」

リゼが息を呑む。

俺も初めて見る。

レグルスの炎とは、桁が違う。

あれは“力”だった。

だがこれは――“支配”だ。

空間そのものが、牡羊の領域になっている。

校舎の屋上に出ると、生徒たちはすでに避難を始めていた。

教師陣が結界を重ね張りしている。

その中心に、シリウスが立っていた。

双子座の星紋が、左右で異なる色に輝いている。

「やあ、主役の登場だ」

軽い口調。

だが額に汗が浮かんでいる。

「結界は何分持つ?」

俺が問う。

「三分」

短い。

その瞬間。

空が裂けた。

炎を踏みしめるように、一人の男が降り立つ。

金の鎧。

巨大な角を象った王冠。

胸に燃える牡羊座の紋章。

牡羊王――アレクトル。

その視線が、俺を貫く。

「貴様が」

声だけで空気が震える。

「我が子の星を奪った蛇か」

蛇。

その呼び名に、胸の紋章が反応する。

王の視線には、明確な殺意があった。

ぞくりとする。

条件成立。

「……奪える」

小さく呟く。

リゼが横目で見る。

「本気で言ってるの?」

「殺意は十分だ」

王が一歩踏み出す。

それだけで、屋上の石畳が砕ける。

魔力圧が重力のようにのしかかる。

膝が軋む。

「引き渡せ」

王は言う。

「それで学院への攻撃は止めよう」

学院長が前に出る。

「我が学院は中立だ」

王の目が細まる。

「中立?」

次の瞬間。

王の炎が一閃。

結界の一層が蒸発した。

爆風が校舎を揺らす。

悲鳴。

「これは通告だ」

王は淡々と言う。

「次はない」

リゼが前に出ようとする。

俺は腕を掴んだ。

「無理だ」

「でも――」

「お前は秤だろ」

俺は言う。

「重さを量れ」

王と俺。

力の差は明白。

正面からやれば、死ぬ。

だが。

蛇が囁く。

――王も星持ちだ。

喰える。

問題は。

「触れられるかどうかだな」

王が手を掲げる。

空の炎が一斉に集束する。

巨大な火槍。

学院ごと消し飛ばす気だ。

「アルク!」

リゼが叫ぶ。

選択。

逃げれば、学院は崩壊。

立てば、死ぬ可能性が高い。

俺は笑う。

「条件、満たしてるよな?」

胸の蛇が、強く光る。

王の殺意は、俺に集中している。

ならば。

俺は屋上の縁を蹴った。

一直線に、王へ。

「愚か者が」

王の火槍が放たれる。

空気が焼ける。

だが。

その炎に、飛び込む。

牡羊の星紋を発動。

奪った炎で、炎を裂く。

「なに……!?」

王の目が見開かれる。

その一瞬の隙。

距離ゼロ。

俺は王の胸に手を伸ばす。

熱い。

星が燃えている。

触れた瞬間、脳が焼けるような情報。

膨大な星圧。

国家一つ分の魔力。

蛇が歓喜する。

――喰らえ。

だが。

逆に、弾かれた。

衝撃。

俺の身体が吹き飛ぶ。

屋上に叩きつけられる。

肺の空気が抜ける。

「王級星紋を、同列に扱うな」

王の声が低い。

「格が違う」

くそ。

やはり簡単じゃない。

喰うには条件が足りない?

いや。

殺意も接触も成立している。

足りないのは――

「器か」

蛇の痣が、首から肩へ広がる。

身体が軋む。

リゼが俺を庇うように立つ。

天秤が強く光る。

「もうやめなさい!」

王が視線を向ける。

「天秤の娘か」

炎が向きを変える。

リゼに向かって。

その瞬間。

俺の中で、何かが切れた。

「触るな」

低く、呟く。

蛇が、咆哮する。

王の炎が、俺へと再び集中する。

殺意が、極限まで高まる。

その瞬間。

視界が暗転した。

黒い空。

十二の星。

そして、その上に重なる巨大な蛇。

声が響く。

――王を喰らうには、王になれ。

目が開く。

俺の胸で、蛇の紋章が変質する。

炎を、呑み込む。

王の火槍が、俺の目前で消滅した。

王が、初めて動揺を見せる。

「貴様……何をした」

俺は立ち上がる。

足が震える。

だが、笑う。

「準備運動だ」

蛇が、王を見上げる。

まだ届かない。

だが。

確実に――

傷は入った。

空に亀裂が走る。

それは炎ではない。

黒い、星なき裂け目。

王がそれを見上げ、初めて表情を変えた。

「まさか……」

俺は息を吐く。

「次で、届く」

学院の上空で。

王と蛇が睨み合う。

均衡が、崩れ始めていた。

第5話でした。

・王級の圧倒的格

・奪取が即成立しない理由提示

・“器”という新要素

・ヒロイン守る動機発生

・黒い裂け目再出現

次話――

学院崩壊寸前。

そして“双子”が動きます。

加速、止まりません。

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