表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『十二星天の裏支配者 〜追放された雑用係、実は星座を喰らう最後の蛇でした〜』  作者: パーカー
『星なき少年、蛇を宿す』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/48

『王族、星を失う』

前話――

主人公アルクは、公開処刑の場で覚醒。

存在しない十三番目の星座“蛇遣い”を顕現させ、牡羊の王子から星紋を奪いました。

星を失う――それは、この世界では「死」より重い。

世界が動きます。

闘技場は、静まり返っていた。

誰も、動けなかった。

地面に膝をついたまま、牡羊の王子――レグルスは、自分の胸を何度も叩いている。

「出ろ……出ろッ!!」

だが、何も起きない。

炎は灯らない。

角の紋章も浮かばない。

星紋は、生まれた瞬間に刻まれる絶対の証。

王族の証明。

国家の象徴。

それが、ない。

「そんな……馬鹿な……」

教師の一人が、震える手で王子の胸元に触れる。

魔力測定。

結果は無反応。

「……星紋反応、ゼロ」

その一言が、爆発した。

「消えた!?」

「ありえない!」

「星は奪えないはずだ!!」

観客席が混乱に包まれる。

俺は、自分の胸を見る。

そこには二つの紋章。

絡み合う蛇。

そして、燃える牡羊。

じわり、と熱が走る。

使える。

理解した瞬間、炎が指先に宿った。

「やめろぉぉぉ!!」

レグルスが叫び、俺に掴みかかる。

だが。

遅い。

身体能力も、魔力も、もう一般人以下だ。

俺は軽くいなし、距離を取る。

「返せ……返せよ……!」

目に浮かぶのは怒りではない。

恐怖だ。

星を持たぬ者は人にあらず。

今の彼は――“俺と同じ側”だ。

その事実に、俺の胸が一瞬だけざわつく。

「アルク・ノクス!」

学院長の声が響く。

白髪の老人が、杖を鳴らした。

「動くな。これ以上は国家問題だ」

すでに上空には、通信魔術の光。

牡羊王国へ緊急伝達。

王族の星紋消失。

これは戦争理由になる。

「拘束せよ」

教師たちが一斉に構える。

魔法陣が足元に展開する。

俺は息を吐いた。

逃げられるか?

いや――。

逃げない。

ここで逃げれば、完全に“怪物”だ。

「従いますよ」

両手を上げる。

その瞬間、胸の蛇がかすかに動いた。

――喰い足りない。

ぞくり、と背筋に冷たい感覚。

違う。

俺じゃない。

何かが、俺の中で囁いている。

レグルスが、担架に乗せられる。

その目が、俺を射抜く。

「……殺す」

力のない呟き。

だがその殺意が、はっきりと伝わる。

瞬間。

蛇の紋章が淡く光る。

理解した。

“条件は維持されている”。

殺意が向けられている限り、

俺はいつでも、再び奪える。

恐ろしい能力だ。

教師の拘束魔法が、俺の手首に絡みつく。

その時。

観客席の最上段。

拍手が鳴った。

ぱち、ぱち、と。

静かで、場違いな音。

視線が集まる。

そこに立っていたのは、双王学院の生徒会長――

シリウス・ジェミニ。

双子座の星紋が、左右で異なる光を放っている。

彼は微笑んだ。

「いやあ、素晴らしい」

ざわめきが止まる。

「歴史的瞬間だよ。星が、奪われた」

学院長が睨む。

「シリウス、軽口は慎め」

だが彼はやめない。

まるで舞台を楽しむ観客のように。

「アルク・ノクス」

名を呼ばれる。

「君は、自覚しているかい?」

その瞳は冷たい。

「今、世界の秩序を壊したんだ」

空を見上げる。

黒い裂け目は、まだ消えていない。

あの向こう。

誰かが、こちらを見ている気がする。

シリウスは続ける。

「十二星座は均衡で成り立っている」

「一つでも欠ければ、戦争だ」

そして、楽しそうに告げた。

「君は、開戦の号砲だ」

その瞬間。

学院の外から、凄まじい魔力の波動が押し寄せた。

重圧。

膝をつく生徒。

教師でさえ顔色を変える。

空に赤い紋章が浮かぶ。

牡羊の王家紋。

王の怒り。

伝令が叫ぶ。

「牡羊王国より通達!」

声が震えている。

「星紋奪取犯アルク・ノクスを――」

一拍。

「国家反逆者として即時引き渡せ」

視線が、俺に集中する。

俺は笑った。

国家反逆。

処刑予定の雑用係が、いきなり国家級犯罪者だ。

悪くない。

シリウスが、静かに呟く。

「さて、どうする?」

拘束魔法が強まる。

外では、王国軍の気配。

学院は、戦場になる。

俺は目を閉じる。

胸の蛇が、ゆっくりと蠢いた。

――まだ終わっていない。

むしろ、始まった。

目を開ける。

「受けて立つ」

そう呟いた瞬間。

遠くで、雷鳴が轟いた。

星座戦争の、始まりの音だった。

第2話でした。

・王族が完全に星を失った確定

・能力条件の伏線

・双子座生徒会長登場

・国家が本格的に動く

次話では、

・“星を喰う条件”の明確化

・拘束状態からの知略

・天秤ヒロイン本格登場

物語は一気に加速します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ