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『十二星天の裏支配者 〜追放された雑用係、実は星座を喰らう最後の蛇でした〜』  作者: パーカー
第二章『深紅の毒と四つ目の星』

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第14話 『蠍の国』

星座戦争、開戦。

十三番目の最初の標的は――蠍。

暗殺と毒と裏切りの王国へ。

第二章、開始。

森を抜けた先に広がっていたのは、赤黒い大地だった。

乾いた風。

地面に刻まれた無数の細い溝。

まるで――巨大な蠍の足跡のようだ。

「ここが、蠍王国領」

リゼが低く言う。

空気が違う。

静かだが、落ち着かない。

視線を感じる。

見えないが、確実に。

「歓迎されてるな」

俺は笑う。

蛇が静かに反応する。

殺意はまだ薄い。

だが監視は濃い。

「王都は地下」

リゼが説明する。

「地上は“餌”」

「暗殺者の選別場よ」

物騒すぎる。

そのとき。

地面が、わずかに動いた。

影が滑る。

次の瞬間、首筋に冷たい刃。

「動くな」

背後から声。

若い女の声。

速い。

反応できなかった。

「十三番目」

刃先が、わずかに食い込む。

「噂通り、殺意が甘い」

リゼが動こうとする。

俺は目で制した。

刃は本物。

そして。

はっきりとした殺意。

蛇が震える。

条件成立。

「俺を殺す気か」

静かに問う。

「仕事なら」

淡々とした声。

「でも今日は違う」

刃が、離れる。

俺は振り返る。

黒装束。

赤い瞳。

胸に小さな蠍紋。

だが王家の紋章ではない。

暗殺教団側か。

彼女は軽く頭を下げた。

「蠍王がお呼びだ」

リゼが眉をひそめる。

「罠ね」

「当然」

女は平然と答える。

「でも来るでしょ?」

挑発。

俺は笑う。

「王が自分から来ないのか」

「王は動かない」

「毒は待つ」

いかにも蠍らしい。

リゼが低く囁く。

「危険度は高い」

「でも」

俺は空を見る。

亀裂は、少しだけこちら側に近い。

「七つ、必要だ」

蠍はその候補だ。

殺意を向けやすい。

共鳴もしやすい。

「案内しろ」

女は一瞬、目を細める。

「後悔しても知らない」

地面が開く。

地下への階段。

冷たい空気が流れ出る。

俺は迷わず降りた。

リゼが続く。

地下都市は、静かだった。

赤い灯り。

壁に刻まれた蠍の紋様。

無数の視線。

全員が武装している。

だが襲ってこない。

中心へ進む。

巨大な円形広間。

その中央に、玉座。

座っているのは、細身の男。

年齢不詳。

胸に、深紅の蠍座紋章。

強い。

王級。

だが牡羊王とは違う。

炎のような圧ではなく、静かな毒。

「十三番目」

男が微笑む。

「ようこそ、我が国へ」

リゼが前に出る。

「歓迎とは思えないわ」

男は笑う。

「歓迎だとも」

目が、俺を射抜く。

明確な殺意。

隠していない。

「君を殺せば、世界は静まる」

蛇が歓喜する。

完璧だ。

「だが」

男は続ける。

「殺さない選択もある」

俺は眉を上げる。

「取引か」

「賢い」

男は立ち上がる。

「名はカルディア」

「蠍王だ」

静寂。

暗殺者たちが一斉に膝をつく。

王は階段を降り、俺の前まで来る。

距離、数歩。

近い。

「君は七つ集めるのだろう?」

「否定はしない」

王は楽しげだ。

「ならば提案だ」

指を立てる。

「我が星を、奪ってみろ」

リゼが息を呑む。

俺は目を細める。

「随分と自信だな」

「違う」

カルディアは囁く。

「試している」

その瞬間。

殺意が、極限まで跳ね上がった。

空間が凍る。

暗殺者全員が刃を構える。

逃げ場はない。

完全な殺意の場。

蛇が、強く脈打つ。

条件は完璧。

王は腕を広げる。

「来い、十三番目」

「我が毒を喰らってみろ」

挑発ではない。

覚悟だ。

俺は一歩踏み出す。

リゼが叫ぶ。

「アルク、待って!」

だが止まらない。

蛇が、王に向かって牙を剥く。

蠍王との距離、ゼロ。

触れる。

深紅の星紋。

冷たい。

毒が流れ込む。

激痛。

だが同時に、共鳴。

強い。

王級の星。

奪える。

だが――。

カルディアが笑う。

「それでいい」

違和感。

次の瞬間。

視界が反転した。

俺は地面に叩きつけられている。

動けない。

蠍の毒が、全身を縛る。

「奪取は成立している」

王が見下ろす。

「だが、吸収には“耐性”がいる」

冷たい声。

「蠍は、喰らった者を蝕む」

胸の蛇が軋む。

毒が回る。

身体が壊れそうだ。

カルディアが静かに言う。

「君はまだ、器が足りない」

屈辱。

だが事実。

王は一歩下がる。

「七つ欲しいなら」

微笑む。

「私を超えてみせろ」

暗殺者たちの殺意が消える。

毒がゆっくり引く。

俺は咳き込む。

リゼが駆け寄る。

「無茶よ!」

カルディアは玉座に戻る。

「三日」

告げる。

「三日以内に私に届けば、星をくれてやる」

「届かなければ」

目が冷える。

「君を殺す」

完全なる試練。

取引でもあり、処刑宣告。

俺は立ち上がる。

身体は重い。

だが笑う。

「面白い」

蛇が静かに笑う。

四つ目は簡単じゃない。

だからこそ。

価値がある。

蠍王国。

最初の本格戦。

開幕。

第14話でした。

・蠍王カルディア登場

・王級でもタイプの違う強さ

・四つ目への試練提示(3日制限)

・“器不足”という新壁

第二章、ここから本格バトルと心理戦。

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