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『十二星天の裏支配者 〜追放された雑用係、実は星座を喰らう最後の蛇でした〜』  作者: パーカー
『星なき少年、蛇を宿す』

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第12話 『逃走と共鳴』

全星座共同指名手配。

学院を出る決断をしたアルク。

だが包囲はすでに完成している。

逃げるか。

奪うか。

選択が試される。

夜空が、星で埋まっている。

だがそれは美しさではない。

敵意だ。

学院を取り囲む無数の星紋反応。

獅子の黄金騎士団。

水瓶の飛行魔導兵。

遠距離からは射手の狙撃班。

包囲は完璧。

「アルク・ノクス!」

獅子の騎士が叫ぶ。

「抵抗をやめよ! 命は保証しない!」

保証しないのは知ってる。

俺は屋上の縁に立ち、深く息を吸う。

蛇が静かに脈打つ。

三つの星紋が、重い。

長期戦は無理だ。

なら――一点突破。

「右上、薄い」

リゼの声が隣からした。

一瞬、心臓が止まりかける。

「お前、残るって話は?」

「聞いてないわね」

平然としている。

天秤が淡く光る。

「北東、射手部隊は狙撃間隔が長い」

「水瓶は魔力制御に集中している」

分析は正確。

さすが裁定役。

「突破口はそこ」

俺は笑う。

「一緒に来る気か」

「均衡を取りに」

即答。

仕方ない。

もう言っても無駄だ。

「振り落とされるなよ」

「誰が」

次の瞬間。

俺は炎を爆発させた。

牡羊の推進。

屋上から一直線に跳ぶ。

射手の矢が飛ぶ。

三本。

正確。

だが蠍の毒で軌道を歪める。

一瞬の混乱。

そこを抜ける。

水瓶の魔導兵が空を封鎖する。

冷気の壁。

俺は炎で溶かす。

だが。

「甘い」

獅子の騎士団長が跳躍。

黄金の刃が振り下ろされる。

重い。

受け止めるが、腕が痺れる。

王級ではないが、強い。

「賞金首にしては軽装だな!」

挑発。

殺意が増す。

蛇が反応する。

条件成立。

奪える。

だが。

七つ集めるまでは、慎重に。

今は消耗できない。

「どけ」

炎を足場に回転。

騎士団長の胸に触れる。

ほんの一瞬。

共鳴。

星紋が強く脈打つ。

奪取可能圏内。

だが、引き剥がさない。

代わりに――

「借りる」

一瞬だけ、獅子の出力を吸収。

完全奪取ではない。

共鳴による一時同調。

黄金の爆発が、騎士団長を弾く。

「なっ……!?」

俺は空へ跳ぶ。

リゼが背中にしがみついている。

「今の、奪ってない」

「共鳴だけだ」

荒い呼吸。

だが可能性が見えた。

奪う以外の使い方。

蛇が、学習している。

水瓶の部隊が再編。

上空で包囲。

冷気が降る。

リゼが叫ぶ。

「下!」

地上には射手。

上は水瓶。

なら。

「真ん中だ」

俺は空中で急停止。

落下を選ぶ。

獅子騎士団の中央へ。

混乱。

「撃て!」

射手の矢が放たれる。

だが味方に当たるリスクで精度が落ちる。

俺は地面に着地。

衝撃で石畳が割れる。

囲まれる。

完全包囲。

リゼが低く言う。

「詰み?」

俺は笑う。

「いや」

蛇が、大きく脈打つ。

敵意。

殺意。

恐怖。

無数の感情が俺に向けられている。

共鳴が広がる。

奪わない。

だが、触れる。

一瞬だけ。

複数の星紋と同調。

爆発的な魔力が身体を駆け巡る。

限界。

視界が白く染まる。

「退け!」

炎と黄金と冷気が混ざる。

衝撃波。

騎士団が吹き飛ぶ。

包囲に穴が開く。

リゼが目を見開く。

「それ、持たないわよ!」

「知ってる!」

血が口から溢れる。

三重星紋が軋む。

蛇の痣が背中まで広がる。

だが突破口はできた。

「走るぞ!」

俺はリゼの手を掴む。

全力疾走。

学院外周を抜ける。

背後で怒号。

追撃の気配。

だが森に入れば視界は制限される。

星紋追跡も弱まる。

走る。

息が切れる。

足が重い。

限界だ。

森の奥で、俺は膝をついた。

視界が揺れる。

リゼが支える。

「やりすぎ」

息を整えながら、彼女は言う。

「さっきの、共鳴拡張よね」

「ああ」

苦笑する。

「全員分、ちょっとずつ借りた」

無茶だ。

だが可能。

七つ集める前でも、戦える。

遠くで号令が響く。

追手は来る。

もう学院は見えない。

戻れない。

リゼが静かに言う。

「これで本当に、逃亡者ね」

俺は空を見上げる。

亀裂は、まだ遠くにある。

だが確実に広がっている。

「逃げてるわけじゃない」

立ち上がる。

「狩りに行く」

リゼが目を細める。

「七つ?」

「ああ」

森の奥へ歩き出す。

背後から、風が吹く。

それは星の気配ではない。

もっと、古いもの。

蛇が低く囁く。

――始まる。

学院を背に。

十三番目は、世界へ踏み出した。

第12話でした。

・学院脱出成功

・奪取以外の“共鳴利用”発見

・主人公の戦闘幅拡張

・完全逃亡フェーズ突入

第一章、次で締めに入ります。

星座戦争、本格開戦。

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