『処刑される雑用係と、十三番目の星』
はじめまして。
この物語は「星に支配された世界」で、ただ一人“星を持たない少年”の話です。
——いいえ。
正確には、“持ってはいけない星”を持つ少年の話。
第1話から全開です。
空が、割れた。
それが、俺――アルク・ノクスが処刑されるはずだった日のことだ。
「星紋なき劣等種。処分を開始する」
双王学院の円形闘技場。
全校生徒の視線が俺に刺さる。
胸元は空白。
この世界で、生まれた瞬間に刻まれるはずの“星紋”が、俺にはない。
だから雑用係。
だからサンドバッグ。
だから今日、牡羊の王子の見せしめになる。
「最後に言い残すことは?」
紅い外套を翻し、王子が笑う。
その胸には燃える角――牡羊座の星紋。
俺は笑った。
「……今日、星が落ちるぞ」
観客席がざわめく。
王子は眉をひそめる。
「負け犬の妄言か」
処刑剣が振り上げられた、その瞬間。
――空が、裂けた。
昼間だというのに、夜のような黒が広がる。
そこから、巨大な“蛇”の影がうねった。
悲鳴。
教師が膝をつく。
王子の顔から余裕が消える。
「な、なんだあれは……っ」
熱い。
心臓が焼ける。
胸が、裂けるように痛む。
そして。
俺の胸に、紋章が浮かび上がった。
それは、どの教本にも載っていない。
絡み合う二匹の蛇。
星を呑み込む形。
「そんな星座は存在しない!!」
教師が叫ぶ。
そうだ。
存在しない。
――十三番目だからな。
王子が動揺を振り払う。
「構うな! 斬れ!!」
炎を纏った一撃が、俺に迫る。
だが。
剣は、届かなかった。
見えない何かが、炎を呑み込む。
いや。
違う。
“俺が”喰った。
牡羊座の星紋が、王子の胸から引き剥がされる。
「が……ぁ……っ!?」
紅い光が蛇に吸い込まれ、俺の中へ流れ込む。
力が、爆発する。
世界が、遅くなる。
俺は王子の剣を握り潰した。
「ば、化け物……!」
王子が後ずさる。
俺は彼の胸に手を当てた。
「契約は成立だ」
「なにを――」
「お前は俺を殺そうとした」
蛇が嗤う。
星を喰らう音が、した。
次の瞬間。
牡羊座の星紋は、俺の胸にも刻まれていた。
二つ目の紋章。
王子は、ただの人間になって地面に崩れ落ちる。
沈黙。
そして、絶叫。
「王族が……星を奪われた!?」
教師が震えながら言う。
「星紋の強奪は、禁忌……!」
俺は空を見上げた。
裂け目の向こう。
誰かが、こちらを見ている。
知っている目だ。
未来の俺に、似ていた。
ぞくり、と背筋が凍る。
その視線が告げる。
――まだ足りない。
星は十二。
だが俺は十三。
ならば。
全部、喰えばいい。
俺は崩れ落ちた王子を見下ろす。
「処刑、続けるか?」
闘技場は、静まり返っていた。
その日。
世界は一つ、ルールを失った。
そして俺は、星座戦争の中心に立った。
第1話でした。
・星なし主人公
・公開処刑
・未知の星座覚醒
・王族撃破
掴みは最大火力で。
次話では、
・双子の生徒会長の思惑
・“星を喰う条件”の説明
・国家レベルの緊急会議
一気に世界が動きます。
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一緒に、星を喰いましょう。




