ep.1「影響の受けすぎは良くない」
キャラクター紹介
夜魔一徹
年齢: 46歳
職業: バー『夜魔』のオーナー
外見: 身長190cm、体重120kg。厳つい外見で、どこか怖い印象を与えるが、中身はとても優しい。また面倒見がよく、周りの人から慕われる存在。
※『礼堂と冬月の不完全な作戦』にも登場。
夜魔 灯
年齢: 18歳(高校3年生)
職業: バー『夜魔』のアルバイト(放課後に父の手伝い)
外見: 爽やかで笑顔が似合う美少女。母譲りの整った顔立ちに、父の明るさが加わり、誰からも好かれるタイプ。
性格: しっかり者で責任感が強いが、時々ドジな一面も。父・一徹のボケにツッコミを入れるのが日課で、BAR『夜魔』の“実質ツッコミ担当”。お客にも気配りができるため、若いながらも店のムードメーカー。
末吉
年齢: 42歳
職業: BAR『夜魔』の店長
外見: 細身でモデル体型。顔つきは穏やかで、にこやかな表情をよく見せるが、目元に少し鋭さも感じさせる。
性格: 明るく、社交的で盛り上げ上手。人懐っこい性格だが、少し天然な一面もある。周囲に気配りをしつつも、時折ドライな一面が顔を出す。
※『礼堂と冬月の不完全な作戦』にも登場。
(ふっふっふ。俺は――この繁華街に君臨するBAR『夜魔』のオーナー、夜魔一徹だ。
46歳、身長190cm・体重120kg。体重に関しては大谷翔平すら凌駕するビッグな男だ。
美人な妻がいて、めっちゃ可愛い娘が2人。
夜を司るミステリアスな男として、今日もカウンターに立つ――。
そして……俺の特技であるが──)
あかり:「ねぇ!ねぇ何ボーっとしてるのよ!お客さん注文してるけど!」
(彼女はあかり。18歳の高校3年生だ。俺の2人娘の長女である。
たまに抜けてる所があるが、長女らしくしっかり者。
そして俺に似て……めっちゃ可愛い顔をしている。
そして……俺の特技であるが──)
あかり:「ママ似なんですけど!!
ナレーション風に言ってるけど、全部聞こえてるから!
てかどんだけ特技言いたいのよ!」
夜魔:「おう悪い悪い。お客さん、すみません。」
あかり:「もういい。私が聞くから!お兄さんすみません、もう1度ご注文お願いします。」
娘に呆れられながら、俺は別の客のカクテルを作っていた。
ミキシンググラスの中で氷が鳴る音を聞きながら、ふとあかりの方を見る。
(いや〜、でもほんと頼もしいよな〜……ん?なんか微妙な顔してるな?)
男性:「ハイボール、お任せで。」
あかり:「ハイボールのみですね?」
男性:「……メイビー。」
あかり:「ん?はい?」(なんだこいつ?)
男性:「ってゆーか、ぶっちゃけ〜、
うん。まぁ、チョコとか……あってもいいんじゃん?」
俺はカウンターの奥から、思わず手を止めて彼を見た。
茶髪のミディアムヘア、サイドの毛先を外側にはねさせた、どこか見覚えのある風貌。
そして思い出した。
(あ……あれは……。
あれは……ドラマ『HERO』の時のキムタク!!
なんでだ!?
本人ですら今その髪型してねぇぞ!?)
あかりが困った顔で俺の方へ来て、耳打ちしてくる。
あかり:「なんかあの客変なんだけど。悪いけど対応して。」
夜魔:「お、おう。わかった。任せとけ。」
男性の前に立った瞬間、俺は再び衝撃を受けた。
(顔、、全然似てねぇーーー!!!
いや、似てないどころか……この世で一番似てねぇんじゃねぇか!?)
男性はのっぺりと地味な顔立ちで、どう見てもキムタクとは程遠い。
俺は少し怪しみつつ、丁寧に尋ねた。
夜魔:「お客様〜。失礼いたしました。ご注文はハイボールでよろしいでしょうか?」
男性:「ハイボールお任せと……何かチョコレートありますか?」
(あれ、普通にいい人じゃねぇか。なんだよ、あかりの早とちりか?)
俺はアイコンタクトであかりに合図を送る。
(別に普通だ。とりあえずハイボールとチョコ出してやれ。)
あかり:「お待たせしました。ハイボールとチョコレートです。」
男性:「サンキュー。」
(……ん?俺の時と喋り方違くね?)
男性はハイボールを一口飲み、チョコを口に放り込み、静かに目を閉じて上を向いた。
(……やっぱキムタクだよな!?これ『グランメゾン東京』の“うまい時のやつ”だろ!?)
あかりが気を利かせて、ナッツを皿に盛って持ってくる。
あかり:「先ほどは失礼しました。こちらサービスです。」
男性はナッツを一粒つまみ、数回噛んでハイボールで流し込む。
――バタンッ。
あかり:「キャーーー!!!」
男性が苦しみながら床に倒れ込む。
俺は慌てて駆け寄りながらも、心の中で思わずツッコむ。
(あれ?これも『グランメゾン東京』で見たやつだよな!?ナッツオイルの!
海外のお偉いさんがアレルギーで倒れたシーン!
……いや、ていうかそれもう“キムタク”ちゃうやろ!!)
夜魔:「お兄さん!大丈夫か!?」
あかり:「救急車!救急車呼んで!!」
俺はスマホを取り出して119番を押す。
救急車を呼んだあと、
本日休みを取っていた(雇われ)店長の末吉に連絡を入れた。
夜魔:「末吉、悪い!緊急事態だ!店頼めるか!?」
末吉:「分かりました!了解です!」
数分後、救急隊が到着。
夜魔:「ここです!お願いします!」
程なくして末吉も到着。
末吉:「夜魔さん!店は任せてください!」
夜魔:「助かる!悪いな、恩に着る!」
俺は倒れた男性を救急隊に預け、あかりと共に救急車に乗り込んだ。
泣きじゃくるあかりの手を握る。
夜魔:「いいか、あかりは悪くない。悪いのは俺だ。
お客さんにアレルギーを確認しなかった俺の責任だ。
あかりは今日もよく頑張ってたよ。ありがとうな。」
あかり:「う、うん……ごめんなさい……。」
あかりは涙を拭いながら、不安そうに見つめ続ける。
夜魔は無言で彼女の肩に手を置いた。
(大丈夫だ……必ず助かる……)
そんな中、救急隊員の声が上がる。
救急隊員:「容態が落ち着いてきました!」
夜魔:「本当ですか!?」
あかり:「お兄さん、ごめんなさい!大丈夫ですか!?」
男性はゆっくり目を開け、弱々しく言った。
男性:「……何今になって泣いてんの。
泣くんだったら、空の上で泣いてみたらどうですか。」
(うん。それ『GOOD LUCK!!』のやつだな。
分かった。こいつ……女性と話すと"キムタク"になるんだ。)
──続く。
第一話お読みいただきありがとうございます!
本作は、強面なのに人情深いオーナー・夜魔と
娘のあかりが織りなすBARコメディです。
一話完結で、笑えてちょっと心が温まる物語を
ゆるくお届けしていきます。
ブクマや感想をもらえると夜魔が照れます。
よろしくお願い致します!




