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短編小説

この夏が終わるまで。

作者: 伽倶夜咲良
掲載日:2025/05/06

思いつくままに言葉を連ねた、小説というよりも短文です。

556文字と非常に短いので、ひとまず読んでいただけると幸いです。

2018年6月7日に書いた作品を掘り起こしてきましたが、設定としては未来のお話しです。


この夏は突然にやってきた。

その年、春は急ぎ足で通り過ぎた。

過ぎゆく春を急かすようにしてこの夏がやってきた。

そして、この夏はそのまま居座りつづけている。

いつまでこの夏が続くのか誰にもわからなかった。


中天高く登った太陽はいつまで経っても陰りをみせない。

誰かがそれに気がついて騒ぎはじめた。

それからだ、それからこの夏は居座り続けている。


かつて、人は地上に住んでいた……らしい。

あたしはそのことを知らない。

地上なんて、誰かの作り話かもしれない。

見たこともない。

見たこともないから、空想の異世界と同じだ。

なにもかわらない。


地上という世界がほんとうにあるのなら、この世界はもっと広かったのだろう。

地上には果てがあったのだろうか?

あたしのこの世界には果てがある。

決して超えられない絶対線に隔てられた果てがある。

窮屈で息苦しい。


地上に住んでいた頃、人は夢を見たのだろうか?

『夢』という概念。

漠然とした単語で、とらえどころのない言葉。

本当の意味を知っているか?と問われたら、「いいえ」と答えるしかない。

だけど……昔っからこの単語が気になって仕方なかった。

いつも『夢』のことを考える。

この世界には果てがあるから夢を見ることはできないのだろうかと。


あたしは、揺蕩(たゆた)う。

この泡沫のような世界で。

いつまでも。

いつまでも。


この夏が終わるまで。


(了)


本作をお読みくださり、ありがとうございます。

終末的世界観の作品です。

2018年に書いた作品ですが、2025年の今、最近の夏の暑さを考えるとあの時の頭に浮かんだ妄想が現実になりつつあるような気もして少し怖くなりました。

異常気象、温暖化、深刻ですね。


それはさておき、この作品は「夢」の無い世界、行き詰まってしまった世界、そういう息が詰まる閉塞感と虚無感に満たされた世界を書きたくて書いた作品です。

息苦しい感じの作品ですが、みなさんの心に何かしら残るものがございましたら嬉しく思います。


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