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幼馴染冒険者パーティを追放されたら、勇者パーティに拾われちゃった  作者: 藤なごみ


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第九十七話 何故か僕にも変な話が

 流石に捕まった人以降は魔導具を仕込んだりしなかったけど、それでも変なものを持ってくる人もいました。

 そして、何故か僕にも変なプレゼントを持ってくる人が現れました。


「実は、ナオ様に是非とも私の娘をご紹介した……」

「「「ギッ!」」」

「し、失礼しました……」


 たまたま屋敷に赤ちゃんを見に来たエミリーさんとシンシアさんも、レガリアさんとともに貴族を睨みつけていました。

 中には、セードルフちゃんに娘などを紹介する人も現れました。

 僕もセードルフちゃんも、お嫁さんはまだまだ早い話です。

 なので、女性陣もとても怒っていました。


「ナオ君はオラクル公爵家の加護下にあるから、上手く取り込めればオラクル公爵家の力を得ると思っているのでしょうね」

「浅はかな考え方です。短絡的で愚かです。ナオは、馬鹿な貴族には渡しません。セードルフちゃんにも失礼な話です」


 なんというか、シンシアさん以上にエミリーさんがぷんぷんしています。

 僕としても、手揉みまでするほど下心が見え見えなニヤリとした表情だったのでとても嫌でした。

 もちろん、変なことを言ってくる貴族は要注意として今後も接触を控えます。


「アーサーちゃんが誕生した時は、貴族の子どもが一気に増えたわ。未来の国王陛下にお近づきになるチャンスってね」

「なんというか、現金な話ですね」

「それだけ、貴族も出世しようと必死なのよ。まあ、露骨に下心を見せる貴族は失敗するけどね」


 シンシアさんが呆れながら話してくれたけど、零細貴族にとっては何が起こるか分からないから頑張るのでしょうね。

 真面目にやっている人は、陛下も分かっているそうです。

 だから、変なことを考えないで普通にお仕事をしていれば良い気がしますよ。

 でも、こういう変な貴族がたくさん来るのは嫌だなあ。


「こういうのは、噂を流しておけばいいのよ。既に王城では馬鹿な貴族がいるって色々な話が出ているから、明日には落ち着くはずよ」

「それでもやってくるのは、空気の読めない大馬鹿貴族よ。普通の貴族というのは、空気を読んで動くものなのよ」


 なんというか、またもやシンシアさん以上にエミリーさんがぷんぷんしています。

 エミリーさん自身も、ずっと印象の良くない嫡男に付きまとわれていたもんね。

 そんな馬鹿な親に巻き込まれている小さな子が不憫だよね。

 来客も落ち着いたので、ガイルさんに来客対応を交換してルルちゃんの様子を見に行きます。


 ガチャ。


「あら、みんなこっちに来たのね」

「ちょうど、授乳終わったばっかりよ」

「キュー」


 ちょうど良いタイミングだったらしく、イザベルさんがルルちゃんを抱っこしているところだった。

 ナンシーさんも、ルルちゃんの様子を見ていました。

 ドラちゃんも、背中にスラちゃんを乗せてご機嫌なルルちゃんを覗き込んでいます。

 人の赤ちゃんを見るのは初めてなので、ドラちゃんもとっても興味津々です。

 ちなみに、セードルフちゃんはリーフちゃんを抱いてお昼寝中です。


「しかし、今度はナオ君を標的にしてきましたわよ。あの手この手を使ってきますわね」

「ナオ君は大貴族も大注目しているから、こればっかりは仕方ないわね」


 あの、シンシアさんとイザベルさんが不審な事を話しているけど、貴族相手だとそこまで色々やっているつもりはないんですけど。

 もう、今の騎士爵だけで十分です。


「あふっ……」

「あらあら、もうおねむの時間ね」


 ルルちゃんは、お腹いっぱいになっておしめも替えたので眠くなっています。

 イザベルさんが優しくベビーベッドに寝かせると、直ぐに眠り始めました。


「じゃあ、私たちもそろそろ王城に戻ります。ナオ君、また明日迎えに来るわね」

「お邪魔しました」

「わざわざ来て頂き、本当にありがとうございました」


 シンシアさんとエミリーさんが王城に戻るので、僕はレガリアさんとともに見送りに行きます。

 明日から予定通り勇者パーティの活動再開なので、早めに帰るそうです。


「明日は、町の放置された建物の浄化作業よ。邪神教の拠点に行くのは、もう少し分析が終わってからね」

「兵の治療も少なくなってきたし、これからは炊き出しも増やす予定よ。お祖母様が張り切っていたわ」


 実は、今度の安息日にシャーロットさんと一緒に炊き出しを行う予定です。

 シャーロットさんもとても楽しみにしていたので、僕たちも全力でサポートする予定です。

 そして、王城に戻る馬車を見送ったら、また屋敷に入ってくる貴族の馬車がやってきました。


「まだまだ贈り物攻勢は続きそうですね」

「そうね。これも、貴族としての宿命よ。ナオ君も、覚えておいてね」


 僕の場合は、知り合いの人に贈り物をするだけで十分ですね。

 玄関にやってきた馬車を見ながら、思わずそんな事を思いました。

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