第九十四話 みんなで出産祝いを買います
もうそろそろイザベルさんの出産が近いので、今日はみんなで出産祝いを買いに行きます。
メンバーは、僕とナンシーさんとセードルフちゃん、スラちゃん、ドラちゃん、リーフちゃんもついてきました。
馬車に乗って、いつもの御用商会に向かいます。
セードルフちゃんは、生まれてくる赤ちゃんにいっぱいプレゼントしたいと、とても張り切っていました。
「すみません、赤ちゃんのプレゼントください!」
「はい、畏まりました」
セードルフちゃんは、リーフちゃんを頭に乗せながら店員に注文していました。
小さなお客さんに、店員も笑顔で対応していますね。
ちなみに、ベビーベッドみたいな消耗品以外のものはセードルフちゃんが赤ちゃんの時に使ったものを流用するそうです。
セードルフちゃんが店員に連れられたところは、赤ちゃん用のおくるみやベビー服が置いてあるところです。
「うーん、どれにしようかな?」
セードルフちゃんは、リーフちゃんとともに真剣に品物を選んでいます。
こう見るだけでも、お兄ちゃんとして成長していますね。
僕たちは、先に贈り物としてタオルやブランケット、おむつなどを選びました。
というのも、ランディさんから置物とかを貰っても困るといわれました。
セードルフちゃんが産まれた時に、大して付き合いもない貴族から要らない置物を貰ったそうです。
確かに、そんなものは貰っても困るだけですね。
僕たちは、未だにうんうん唸りながら品物を選んでいるセードルフちゃんのところに向かいました。
「これにしよう!」
「あら、良い色じゃない。男の子でも女の子でも使えるわね」
セードルフちゃんが悩みに悩んで選んだのは、薄い黄色のベビー服でした。
赤ちゃんは直ぐに大きくなるから、幾つかサイズを選んで購入します。
「はい、どうぞ」
「ありがとー!」
店員さんに品物を包んでもらって、セードルフちゃんは満面の笑みですね。
大事そうに、品物を受け取って抱きしめていました。
僕たちの分も受け取ったら、いつの間にかスラちゃんが支払いを済ませていました。
なんという早業でしょうか。
ニコニコが止まらないセードルフちゃんとともに馬車に乗って、屋敷に戻ります。
ガチャ。
「おかーさま、赤ちゃんのプレゼント買ってきた!」
「あら、ありがとうね。この子も、きっと喜ぶはずよ」
セードルフちゃんは真っ先に応接室に行って、ソファーに座っているイザベルさんのところに向かいました。
イザベルさんも、息子からのプレゼントを嬉しそうに受け取っていました。
今日のミッション達成なので、セードルフちゃんはとってもごきげんですね。
「イザベルさん、僕たちもプレゼントを購入しました。といっても、おむつとかタオルとかですけど」
「ナンシー、ナオ君、わざわざありがとうね。特に、おむつとかはとてもありがたいのよ。赤ちゃんって、一日に凄い回数のおしっことかするのよ」
さすがイザベルさん、おむつの大切さを痛感しています。
ちなみに、僕たちが購入した贈り物は、出産用に用意された部屋に持っていって貰いました。
すると、ここで元気な二つの声が屋敷の中に入ってきました。
ガチャ。
「赤ちゃんのプレゼント持ってきたよ!」
「よー!」
「あー! ありがとー!」
なんと、アーサーちゃんとエドガーちゃんがオラクル公爵家に遊びに来ました。
セードルフちゃんは、お友達が来たのと併せて大興奮です。
三人手を繋いで、喜んでいますね。
「アーサーちゃん、エドガーちゃん、プレゼントありがとうね」
「どういたしまして」
「してー」
イザベルさんのところにやってきたちびっこ二人も、頭を撫でられて満面の笑みです。
任務完了ってところですね。
「マリアさん、やっぱり出産祝いは使いやすいものですか?」
「ええ、そうよ。私も二人の子持ちだから、どういうのが必要かよく分かっているわ。私の時には、良く分からない木彫りの魔物の置物が贈られたわ」
えっと、それって王子様に贈るものではないと思うよ。
僕が貰っても、絶対に嬉しくないよ。
ナンシーさんも、スラちゃんたちも要らないと頷いていました。
こうして、みんなで贈り物をした一日でした。
出産が、より一層楽しみになったね。




