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幼馴染冒険者パーティを追放されたら、勇者パーティに拾われちゃった  作者: 藤なごみ


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第九十話 無事に各所を制圧しました

 暫くすると、今度は本物の軍がやってきました。

 僕たちのところにくるのと、屋敷に向かう部隊に分かれました。


「エミリー殿下、遅くなり申し訳ありません」

「いえ、全力で駆けつけてくれたことを私たちも分かっております。先ずは、このならず者の連行と、建物の中にいる人たちの護送を。詳しくは、シンシアお義姉様に指示を仰いで下さい」

「畏まりました。直ぐに動きます」


 おお、またもや王女モードのエミリーさんです。

 僕とドラちゃんが思わず拍手しちゃうほど、とってもカッコいいよね。

 では、今のうちにドラちゃんにお肉をあげてお腹を満たして貰いましょう。


「ガブガブガブ」


 ドラちゃんは僕がアイテムボックスから取り出したお肉にかぶりついているけど、僕とエミリーさんは目の前の屋敷の様子を伺っていました。

 うーん、何だかとっても静かだよね。


「エミリーさん、探索魔法を使っても特に争っている形跡がないです。何かあったんですかね?」

「うーん、兵は及び腰だったし子爵子飼いのならず者が襲ってきただけだわね。もしかしたら、奇襲したのが完全に成功したのかもしれないわ」


 無血開城であれば、これ以上無駄な血を流す必要もありません。

 建物の中から続々と意識を失った人が運ばれる中、シンシアさんが僕を呼びました。


「ナオ君、来てくれるかしら? 無効化した暗黒杯を、アイテムボックスにしまって欲しいのよ」

「あっ、はい。分かりました」


 シンシアさんに呼ばれて建物の中に入ると、またもや壁一面に魔封じの札が貼られていました。

 今回は、暗黒杯に沢山の魔力が注がれなくて本当に良かったよ。

 さっそく暗黒杯をアイテムボックスにしまったけど、シンシアさんがこんな事を言っていました。


「もしかしたら、暗黒魔法に影響された期間が短いから追加の浄化は不要かもしれないわ。いずれにせよ、明日確認しましょう」


 王都スラム街で暗黒杯に影響された人は、正常な意識を取り戻すのに追加の浄化を行っていた。

 さっきドラちゃんと一緒に暗黒杯を浄化した際は大した手応えはなかったし、シンシアさんの推測は当たるかもしれません。

 そして、シンシアさんとともに建物の外に出ると、何故か既に大きくなったドラちゃんの姿があった。

 その理由は、屋敷の外に出てきたヘンリーさんが教えてくれた。


「奇襲が成功したから、屋敷の中は総崩れだ。領主夫妻と嫡男は、私に切りかかってきたがな」

「あっ、もしかしてドラちゃんの背中の上に乗っている人の髪の毛がチリチリしているのは、スラちゃんが反撃したからですか?」

「ははは、良く分かったね。重要な書類も押さえたし、私はスラちゃんとともに王都に行ってくる」


 何とも分かりやすい光景です。

 ドラちゃんの背中に乗せられた髪の毛チリチリの拘束された大人三人が、ドラちゃんを見てビクビクと震えていました。

 ドラちゃんに食べられるのではと、思っているのではないでしょうか。

 そして、あることを僕たちに伝えました。


「シンシア、エミリー、捜索が一段落したら屋敷に行って嫡男夫人の様子を見てやってくれ。年が近い二人なら、話も聞きやすいだろう」

「「お任せ下さい」」


 あっ、そっか。

 今回まともだと言われていた、嫡男夫人と赤ちゃんの件もあるんだよね。

 ヘンリーさんとスラちゃんを乗せたドラちゃんは、二人の返事を聞くと空高く飛び上がって一気に王都めがけて飛んでいきました。

 じゃあ、早く屋敷に行けるように僕も捜索のお手伝いをしようと。


「探索魔法と鑑定魔法を使って、周囲に何かあるか探してみます」

「ええ、お願いね。私も、時々ナオ君に鑑定を頼むわ」

「私も手伝います。こういうのは、分担した方が良いですわ」


 こうして、エミリーさんも加わって暗黒杯があった建物の中をゴソゴソと探しました。

 でも、探索魔法にも殆ど引っかからないし、本当に色々なことが準備途中だったみたいです。

 となると、ヘンリーさんとスラちゃんが押収した資料が殆どなのかもしれませんね。

 ということで、建物の監視を軍の兵に任せて僕たちは屋敷の中に入りました。


「こちらになります」


 屋敷内は至って平和で、使用人も普通に対応していました。

 僕たちも、嫡男夫人と赤ちゃんのいる部屋に向かいました。

 すると、ベッドに寝ている嫡男夫人とナンシーさんに抱っこされている赤ちゃんの姿がありました。

 もしかして何かあったのかなと思ったら、ナンシーさんが経緯を教えてくれました。


「どうも、嫡男夫人は体調を崩して寝込んでいたみたいなのよ。スラちゃんが治療していたから大丈夫なんだけど、少し寝かせてあげているのよ。そして、何故か赤ちゃんに気に入られちゃったわ」

「キャッキャ!」

「羨ましい……」


 重大なことが起きている訳でもなさそうなので、僕たちはホッと一安心です。

 赤ちゃんといってももう大きくて、つかまり立ちはできるそうです。

 そして、エミリーさんが赤ちゃんを抱っこしようとしても、当の赤ちゃんはナンシーさんにべったりでした。

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