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幼馴染冒険者パーティを追放されたら、勇者パーティに拾われちゃった  作者: 藤なごみ


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第五十六話 小さなドラゴンを保護

 ドタドタドタ。


「あなた、これは一体どうなっているのよ! せっかく、王家のクソババアを殺す……」


 突然、執務室に横に大きい中年女性が入ってきました。

 白髪の混じった茶髪のセミロングヘアで、体中に派手なアクセサリーを身に着けています。

 あと、香水の臭いがキツくて、鼻が曲がりそうです。

 ハイラーン伯爵をあなたと言っていたから、この女性はハイラーン伯爵夫人で間違いないでしょう。

 ハイラーン伯爵夫人は、部屋の中の状況を確認せずにとんでもないことを言って、僕たちを見て思わず真顔のまま固まっていました。

 王家のクソババアって、もしかしてシャーロットさんのこと?

 そして、ハイラーン伯爵夫人の発言は勇者パーティの女性陣を激怒させたみたいです。


 ガシッ。


「うふふ、ちょっと『お話』しましょうね」

「大丈夫よ、直ぐに終わるわ」

「治療もするから大丈夫よ」

「えっ、その。あなた、あなたーーー!」


 ズルズル、バタン。

 バタン、バタン、バタン!


 怒れる女性陣が、ハイラーン伯爵夫人の襟首を掴んで廊下に引きずり出しました。

 何だかドタバタと大きな音がするけど、決して覗いてはいけないと直感が訴えています。

 そして、ドタバタが収まると、ニッコリとした女性陣が戻ってきました。


「シンシア、ちゃんと生かしているだろうな?」

「もちろんよ。ちゃんと、回復魔法で治療したわ。それに、もう連行されたわよ」

「それなら良い。私も、拳で殴りそうになったからな」


 ヘンリーさんも物凄い怒気を放っていたし、しかもハイラーン伯爵家がシャーロットさんを殺害しようとした決定的な発言となった。

 これで、物的証拠が出てくれば言い逃れはできないですね。

 ということで、兵が屋敷の使用人の聴取や捕縛を進めつつ、屋敷内の捜索を続けます。

 追加で兵も来ていて、どんどんと物的証拠を押収していきます。

 そんな中、兵がとある報告をしてきました。


「ヘンリー殿下、二件ご報告がございます。一件目は屋敷の侍従になりまして、どうも例の毒に冒されている者が複数いる模様です」

「それはいかんな、治療しないとならない。ある程度聴取が終わったら、治療するとしよう」


 何だか、あまり良くない情報です。

 もちろん、僕もスラちゃんも治療は全く問題ありません。

 そして、もっとビックリする情報がありました。


「二件目ですが、嫡男の部屋にあった檻から傷ついたドラゴンが救出されました。虐待されたと思われる怪我も見受けられます」

「何ということだ、強いものを屈服させたいというアイツらしい仕業だ。そのドラゴンも、侍従と併せて治療しよう」


 なんとも痛ましいことです。

 僕だけでなく、スラちゃんと女性陣もやるせない気持ちになっちゃいました。

 玄関ホールに全員集めて治療することになり、僕たちも移動して治療の準備を進めます。


「殿下、ドラゴンを連れてきました」

「これは酷い。ナオ君、直ぐに治療してくれ」


 すると、兵に抱かれた小さなドラゴンが運ばれてきました。

 金色の鱗が綺麗なドラゴンだけど、体中に鞭とかで叩かれた痕があります。

 床に置かれたドラゴンの側に、僕とスラちゃんが駆け寄りました。


 シュイン、シュイン、ぴかー!


 僕とスラちゃんは、ドラゴンの怪我が良くなるようにと治療を行います。

 ドラゴンだけあって中々治らないけど、徐々に良くなって行きました。

 その間に、毒に冒されたり怪我をしている侍従が玄関ホールに連れられてきました。


「ナオ君、スラちゃん、こっちは私たちが対応するわ」

「ナオ君は、ドラゴンの治療に専念してね」

「このくらいの治療なら、私とシアちゃんで対応できるわよ」


 女性陣から心強い言葉がかけられたので、僕とスラちゃんは引き続きドラゴンの治療を続けます。

 そして、ドラゴンが意識を取り戻しました。


「き、キュウ?」


 ぐー。


 とっても可愛らしい鳴き声を出しながら、目をパチクリとしています。

 それとともに、ドラゴンからぐるるるとお腹が鳴る音がしました。

 僕がアイテムボックスからお肉を取り出すと、ドラゴンは勢いよくかぶりつきました。

 この分だと、相当お腹が空いていますね。

 僕とスラちゃんは、ドラゴンを撫でながらとても可哀想だと悲しくなりました。

 そして、ドラゴンが食事を終えると、つぶらな瞳で僕の腕の中にいるスラちゃんをパチパチと見つめました。


「キュー!」


 何と、ドラゴンがスラちゃんに頬をすりすりし始めたした。

 スラちゃんも、触手でドラゴンの頭をなでなでしていますね。

 スラちゃんが、説明は任せろと僕に触手をふりふりとしていました。


「あの馬鹿に傷つけられたからドラゴンが暴れる可能性もあったけど、スラちゃんが上手に対応してくれたわね」

「なんといっても、スラちゃんは僕のお兄ちゃんですから。面倒見がとても良いですよ」

「ふふ、そうね。スラちゃんは、ある意味スライムの枠を超えているわ」


 エミリーさんも、侍従の治療をしながら二匹の様子を見ていました。

 もちろん勇者パーティのメンバーも治療を受けている侍従も、二匹のほっこりする光景に癒されていました。

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