表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼馴染冒険者パーティを追放されたら、勇者パーティに拾われちゃった  作者: 藤なごみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

361/381

第三百六十一話 急遽の強制捜査です

 婚約披露パーティーのスケジュールの打ち合わせが終わったその日の午後、僕の通信用魔導具に連絡が入りました。

 スラちゃんたちが調査した貴族家の屋敷への強制捜査の指示が出ました。

 どうも、今回の件と全く関係なくとんでもないものが発見されたそうです。

 エミリーさん、ノリスさん、ノーヴェさんにも招集がかかったそうです。

 新生勇者パーティとして、初めての大仕事ですね。

 僕は、騎士服に着替えて屋敷の潜入調査を終えた友達と共に軍の施設に向かいました。


「えーっと、既に一つの貴族家への強制捜査は行っているが、スラちゃんが捜索した屋敷から違法薬物の取引を示す書類が発見された。確かに、屋敷に文句を言った件とは全く関係ないですね」

「はあ。文句を言ったが為に自爆をすることになるなんて、本当に馬鹿な奴ね」


 軍の施設に集まって強制捜査命令書の内容を確認したけど、エミリーさんの言う通り何もしなければバレなかったはずだよね。

 スラちゃんも馬鹿だねと言っています。


「だ、大丈夫かな……」

「上手くいくかな……」

「「大丈夫だよ!」」


 一方、初めて強制捜査に参加するノリスさんとノーヴェさんは、かなり緊張した面持ちでした。

 たまたまオラクル公爵家に遊びに来ていたカエラとキースは、強制捜査の経験者と言うのもあってかなり気楽に考えていました。

 スラちゃんたちもいるし、僕も多分大丈夫な気がしますよ。


「基本的に、屋敷の制圧までは僕とエミリーさんで行います。ノリスさんとノーヴェさんは、今日は僕たちがどんなことをしているか見学してもらえれば大丈夫です」

「「はい!」」


 見学だと分かって、ノリスさんとノーヴェさんは明らかに表情が明るくなりました。

 そう考えると、僕はいきなり実戦投入だったんだよなあ。

 そんなことを思いながら、馬車に乗り込んで目的地に向かいます。

 今回向かうところは、ある子爵家です。


「国からの命令だ。今すぐ開門せよ!」

「国からの命令がなんだか知らないが、ここは通さないぞ!」


 あらら、子爵家の屋敷前に到着したら、門番と兵が押し問答をしているね。

 ノリスさんとノーヴェさんは不安な表情を見せているけど、ある意味いい教材です。

 ということで、僕たちも馬車から降りて門の方に歩み寄ります。

 すると、兵が僕たちに気が付きました。


「エミリー王女殿下、カタルシス伯爵に敬礼」


 ザッ。


 兵の偉い人の指揮で、兵が一斉に敬礼をしました。

 慣れている僕とエミリーさんはもちろんのこと、スラちゃんたち、カエラ、キースも普通に敬礼しています。

 ノリスさんとノーヴェさんは、かなり緊張しながら敬礼していますね。


「お疲れ様です。どんな感じですか?」

「はっ。子爵が門番に、開門を禁じるように指示を出しております」


 兵の偉い人が答えてくれたけど、何となく予想がついちゃった。

 僕は、ノリスさんとノーヴェさんにあることを教えました。


「当主の命令と国の命令の、どっちが上か分かっていない場合があります。もちろん、国の命令の方が上です。また、こうして門番に開門させないようにと当主が命令している場合は、たいてい屋敷の中に不審なものがあります」

「「はい!」」


 僕の説明を聞いたノリスさん、ノーヴェさんは大きな返事をしたけど、エミリーさんと軍の偉い人は少し笑いを堪えていますね。

 そして、門番はぐぬぬってちょっと悔しい表情をしていました。


「改めて、手順を説明します。最初に必ず国からの命令書を見せます。国からの強制捜査命令書です、今すぐ開門して下さい。必ず、国からの指示だと説明します」

「「うぐっ……」」


 うーん、僕がノリスさんとノーヴェさんに説明しながら門番に強制捜査命令書を見せたけど、当の門番は怯むだけで何にも動かないですね。

 しょうがないので、僕はエミリーさんを見ました。

 エミリーさんもしょうがないねという表情を見せた後、表情を引き締めながら門番に命令しました。


「王国王女、エミリーよ。この強制捜査命令書は、畏れ多くも国王陛下が許可したものになります。命令を拒否する場合は、国に反逆の意思ありということで強引に入ります」

「「うぐぐ……」」


 残念なことに、エミリーさんが説明しても門番は上司である子爵の命令を優先しました。

 強制捜査を行った屋敷って、殆どこんな感じなんだよね。

 では、通告通り強制的に門を突破します。


「では、通告通り門を通ります。スラちゃん、お願いね」


 ぴょーん。


「「「「えっ!?」」」」


 僕がスラちゃんに頼むと、スラちゃんは了解と触手をフリフリして門の鍵穴のところに飛びつきました。

 スラちゃんのとった行動に、ノリスさん、ノーヴェさんだけでなく門番もびっくりしちゃいました。

 スラちゃんは、周囲の驚きなど気にすることなく作業を進めました。


 ガチャガチャ、ガチャ!

 ギギギギ……


 そして、触手を使っていとも簡単に鍵開けを行いました。

 ノリスさん、ノーヴェさん、そして門番は、言葉にならないくらい驚いていますね。


「スラちゃんだけでなく、シアちゃんも触手を使った鍵開けができます。また、開錠の魔法もあります。そういうことができない場合は、無理矢理門を壊して屋敷の中に入ります」

「「は、はい……」」


 ノリスさんとノーヴェさんは、かなり驚きながらも何とかメモを取っていました。

 いきなりの強制捜査の方法だから、普通は慣れないもんね。

 そして、門番は信じられないという表情のまま兵に拘束されていました。

 国からの命令違反だから、どうしようもないよね。

 ではでは、続いて屋敷に入りましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ