第三百六十話 今日は婚約披露パーティーの打ち合わせです
婚約披露パーティーの招待状は既に配布済みで、準備も着々と進んでいます。
新しい屋敷でも、パーティーに向けて様々な打ち合わせが行われています。
「招待客につきましては、全て国王陛下とオラクル公爵様、その他上位貴族の方々の許可を得た人のみになります」
オラクル公爵家の応接室で僕に色々と説明している青髪短髪でビシッと執事服を着こなしているのは、新しい屋敷の執事となるブライアンさんです。
成人になったばかりなのにとっても優秀なんだけど、実はオラクル公爵家の執事の次男さんだそうです。
オラクル公爵家の未来の執事さんは長男なので、別の屋敷で働こうとした時にちょうど僕の屋敷の募集があったそうです。
僕としても、知っている人が執事でとっても安心しています。
もちろん、スラちゃんやクロちゃんチェックもオッケーでした。
そして、ブライアンさんは婚約披露パーティーの参加者を教えてくれたけど、少し問題が出ているそうです。
「陛下が招待するに値しないと断言した貴族を中心に、なぜ招待しないのかと屋敷に詰め寄るものがおります」
「屋敷に詰め寄った段階で、陛下の下した判断通りだと直ぐに分かりますね」
「ナオ様のおっしゃる通りです。複数の方より何かあったら軍を呼ぶようにと指示を受けておりましたので、軍に警備などを依頼いたしました」
僕の屋敷に詰め寄った貴族には、陛下より警告が出されたそうです。
そして、スラちゃんたちにもその貴族家への捜索命令が出ました。
私腹を肥やしている可能性が高いので、何か見つけ次第軍が突入することになっています。
陛下は、こういうタイミングを伺っていたみたいですね。
「!!!」
そして、オラクル公爵家の前でも何か言っている貴族がいます。
もしかしたら、僕の屋敷は軍の警備を受けているので、オラクル公爵家に向かったのですね。
でも、既に軍へ警備要請を出したので、もうそろそろ兵がやってきます。
「ありがたいことに、ナオ様が今まで多くの兵を治療したのもあり軍も協力的です」
「別に、何かあった時に助けて貰うために治療をしたわけじゃないんだけどね」
「それでも、定期的に治療をしてくれるナオ様みたいな存在はとてもありがたいのでしょう」
僕が今までやってきた治療が、こんな感じで還元されるなんてとっても嬉しいですね。
でも、警備について怪我とかしちゃうのは嫌だなと思っています。
「あっ、門付近の騒ぎがとっても静かになりましたね」
「恐らく軍がやってきたのかと。その場合、軍の警備責任者がやってくる予定です」
なんというか、いま門の前で何が起こっているか容易に想像できますね。
そして、僕の側にいたクロちゃん、ギンちゃん、キキちゃんも、屋敷内の確認にいつでもいけるとスタンバイしていました。
ガチャ。
「失礼します。軍の方かお見えになりました」
リルムさんが来訪を告げ、直ぐに軍の幹部が応接室に入ってきました。
顔見知りの人なので、僕もとっても安心です。
「お疲れ様です。もしかして、問題のある貴族は大暴れしましたか?」
「ナオ君は察しがいい。まさにその通りだ」
軍の幹部は、思わず苦笑しながらソファーに座りました。
そして、この後の対応について教えてくれました。
「当主は、宥めようとした兵数人を殴った為に公務執行妨害の現行犯で逮捕されました。この後護送して取り調べを行いますが、陛下を批判する言動もみられたので屋敷への強制捜査の指示を受けています」
「それなら、クロちゃんたちも行きたいと張り切っています。あと、殴られた兵は大丈夫ですか?」
「捜査協力はとてもありがたいことです。あと、できれば負傷兵の治療をして頂けると助かります」
この後のことも決定したので、先に負傷兵を屋敷の庭に運んでもらって治療をしました。
すると、数人が顔面骨折をしていたのです。
捕まった貴族当主は、いったいどれだけの力で暴力を振るったのでしょうか。
怪我の状況もとても重要なので、僕は通信用魔導具で関係者に連絡を入れました。
「「アンアン!」」
「キキッ」
クロちゃんたちも、頑張るぞと気合を入れて兵の後をついていきました。
僕が治療した兵も、当主の行為は許せないと憤りを隠していませんでした。
僕は、今日一日は婚約披露パーティーのスケジュールや内容を詰めないといけないので、友達に色々と任せることにしました。
何とかなるかなと思いながら、僕は応接室に戻りました。




