第三百五十八話 屋敷の使用人に挨拶をします
ガチャ。
「「「お帰りなさいませ、ご主人様」」」
「「「「「「おおー!」」」」」」
玄関ドアを開けると、採用された使用人が勢ぞろいしていました。
中々の壮大な光景に、ちびっ子たちのテンションが上がっちゃいました。
使用人といっても、メイドさんみたいな人から料理人、はたまた庭や馬を管理する人まで様々な人がいます。
すると、エミリーさんが僕のことをちょんちょんと突っつきました。
「ほら、使用人にちゃんと挨拶をしないと駄目よ」
あっ、そうか。
みんな、僕の挨拶待ちなんだね。
エミリーさんに言われて、緊張してきちゃったよ。
でも、あまり長い挨拶は駄目だもんね。
「ナオです。皆さん、宜しくお願いします」
「「「宜しくお願いします」」」
僕は、ペコリと頭を下げながら使用人に挨拶をします。
そんな僕のことを微笑ましい目で見ながら、使用人も挨拶を返してくれました。
これでひとまず挨拶も済ませ、僕たちは順に屋敷の中を見学することにしました。
そんな中、リルムさんが一人の使用人を僕に紹介しにきました。
というか、僕も知っている人でした。
赤髪ショートヘアの女性は、僕にペコリと頭を下げました。
「ご主人様、ヒルダと申します。改めまして、腕を治療して頂き本当にありがとうございます」
「わあ、使用人募集に応募してくれたんですね。それに、元気になって良かったです」
「両親を失った私に働く場を与えて頂き、本当にありがとうございます」
ヒルダさんは簡単な読み書きはできるそうで、使用人として働く合間を縫って勉強もするそうです。
言葉遣いもとても丁寧で、シャーロットさん、レガリアさん、お母さんも満足そうに頷いていました。
「「「「「「えーっと、どんな人なの?」」」」」」
あらら、ちびっ子たちはヒルダさんがどんな人か分からずに首を傾げちゃいました。
エミリーさん、シャーロットさん、リルムさんは事情を知っているけど、他の人たちも何があったか知らないもんね。
「実はね、孤児院に慰問に行った時に僕とスラちゃんでヒルダさんを治療したんだ」
「「「「「「そーなんだ!」」」」」」
僕が簡単に何があったかを説明すると、ちびっ子たちは直ぐに納得してくれました。
そして、レガリアさんとお母さんはヒルダさんが火事で両親を失ったことをシャーロットさんから聞いていたみたいです。
なので、ノリスさんとノーヴェさんにも簡単に事情を説明します。
「ヒルダさんの他にも、ナオ様が王都中で治療を行い助かったものが多数使用人に応募しております。ナオ様に恩返しをしたいと、無給でも働くと申しておりました」
リルムさんが、さっき挨拶した使用人について色々と教えてくれました。
そんな感じで僕の為にって思ってくれて、とっても嬉しいです。
あと、お給料はしっかりと支払います。
僕も、使用人にお給料を払えるように頑張って働かないとね。




