第三百五十四話 今度はノーヴェさんの実力を確認します
今度はノーヴェさんの番なので、同じ魔法使いタイプとして僕が訓練場に上がろうとしました。
すると、僕よりも先に訓練場に上がったものがいました。
ぴょんぴょんぴょーん。
すたっ。
何と、スラちゃん、プリンちゃん、ブドウちゃんのスライム三匹がノーヴェさんの前に立ったのです。
えーっと、スラちゃんだけでも凄い強者なのに、プリンちゃんとブドウちゃんも一緒だと完全に過剰戦力じゃないかな。
「プリンちゃん、頑張れー!」
「ブドーちゃん!」
アーサーちゃんとエドガーちゃんは、お友達に大きな声援を送っていました。
ノーヴェさんはというと、目の前の状況にかなり戸惑っていますね。
お母さんはスライムたちの実力を知っているので、思わず苦笑いです。
「ノーヴェさん、このスライムはとんでもない実力を持っているわ。油断しないようにね」
「はっ、はい……」
ノーヴェさんは未だに戸惑っているけど、特にスラちゃんはとんでもない実力者だもんね。
ではでは、さっそく手合わせを行いましょう。
「それでは、試合開始!」
シュイン、バシッ、ドコン、バリバリバリ!
「キャー!」
バタリ。
あっ、これはヤバい。
一秒もかからずに手合わせが終わってしまい、ノーヴェさんは床に倒れて全く動けません。
僕は、急いで倒れているノーヴェさんの治療をします。
シュイン、ぴかー!
「はっ、ここは……」
僕がノーヴェさんに回復魔法をかけると、程なくして意識を取り戻しました。
どうやらダメージは殆ど無く、気絶していただけのようですね。
「「わーいわーい!」」
しかし、アーサーちゃんとエドガーちゃんがプリンちゃんとブドウちゃんと大喜びしているのを見て、ノーヴェさんは自分が負けたのだと理解しました。
試合時間は一秒にも満たない、三匹のスライムによる圧勝でした。
「ノーヴェさん、油断しないようにと言ったはずよ。貴方は、スラちゃんに拘束魔法をかけられ、ブドウちゃんに重力魔法で行動阻害され、プリンちゃんの雷魔法でノックアウトされたわ。でも、魔法障壁を準備していれば、少なくとも雷魔法でのノックアウトは防げたはずよ」
「はい、申し訳ありません……」
ノーヴェさんは駆けつけたお母さんのかけた言葉に、ただ頷いているだけでした。
事前にお母さんも注意していたし、完全にノーヴェさんの油断が招いた結果だもんね。
「うーん、このままではノーヴェさんの実力を測れないわね。私が手合わせの相手をしましょう」
「「えっ!?」」
お母さんの思いがけない提案に、僕とエミリーさんは驚きの声をあげちゃいました。
でも、お母さんはとってもやる気満々です。
もう止められないと思い、ノーヴェさんに殆どダメージがないのを確認して手合わせは再開しました。
シュイン、バシュン、バシュン!
「えい、やあ!」
「そうそう、良いわよ。無詠唱は、特に人と対峙をする際は必須よ。あと、魔法使いはできるだけ相手から距離を取って戦うのよ」
何というか、手合わせってよりもお母さんによる指導戦って感じです。
わざと接近してこの場合はどうするかなどとアドバイスをしたりしていて、ノーヴェさんも必死にお母さんのことを相手にしていました。
こうして、あっという間に五分間の手合わせが終了しました。
「はあはあはあ。し、死ぬかと思いました……」
「あら、このくらいはまだ初級中の初級よ」
お母さんの相手をしていたノーヴェさんは、汗だくだくで息もかなり荒かったです。
でも、お母さんの訓練のフルコースを受けたら、間違いなく死ぬかと思っちゃいますよ。
「とりあえず、二人とも現時点では普通の人よりも上手だと思うわ。でも、今後はもっと訓練を積まないとね。あと、礼儀作法や勉強も重要よ。その辺りのことも考えないとね」
「「はっ、はい……」」
お母さん曰く、二人は実力的にはギリギリ合格ってところらしいです。
僕はお母さんやサマンサお姉ちゃんに、エミリーさんはヘンリーさんなどに厳しく鍛えられた差があるそうです。
でも、成長する余地があるそうなので、今後の頑張り次第だと言っていました。
「ナオ、暫く二人をオラクル公爵家での朝の訓練に招待して。一ヶ月もすれば、だいぶ変わるはずよ」
「私もその方が良いと思うわ。確かに基礎的な訓練をしているみたいだけど、応用力が足りないわね」
ということで、エミリーさんだけでなくシャーロットさんにも言われてノリスさんとノーヴェさんはオラクル公爵家での訓練に参加することになりました。
殆ど命令みたいなものだし、二人とも実力不足を感じ取ったはずだからしょうがないもんね。
そして、スラちゃんは新しい弟子ができたとワクワクしていたけど、鍛えるのは程々にしてね。




