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幼馴染冒険者パーティを追放されたら、勇者パーティに拾われちゃった  作者: 藤なごみ


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第三十五話 三人よりも目の前の治療をしよう

 しかし、三人の前には怒れるギルドマスターがいて、他の冒険者も沢山います。

 更に、スラちゃんも受付のテーブルに乗って通さないぞと触手を大きく広げていました。

 僕も、魔法障壁の準備をしています。

 そして、三人はあっという間に屈強な職員に羽交い締めにされて縄で拘束されました。

 それでも三人はかなり暴れていて、僕に対する暴言も止まりません。

 周りの人は目に入らず、僕だけをターゲットにしていました。


「テメー、何だその金は! ふざけているのか!」

「何でお前が、そんな大金を得ているんだよ! 俺らに喧嘩を売っているのか!」

「俺らを怒らせた罰に、その金を全部寄越しやがれ!」


 三人はうつ伏せにされて体を押さえられているけど、それでも僕の事を睨みながら叫んでいます。

 でも、言っている事が自分勝手なことなので、特にナンシーさんとエミリーさんが三人に対して特にキツい視線を送っています。

 周囲にいた冒険者も、三人のことを軽蔑しながら見ていました。

 その間も、ギルドマスターが職員に指示を出していました。


「兵を呼んでこい、脅迫の現行犯だ。引き取りにくるまで、こいつらを個室に入れて監視する」

「「「はっ」」」

「「「離せ、離しやがれ!」」」


 屈強な冒険者ギルドの職員が、暴れる三人を難なく担ぎ上げて個室に連れていきます。

 他の職員も、冒険者ギルドから外に走り出しました。

 そして、個室のドアが閉まるとようやく冒険者ギルド内は静けさを取り戻しました。


「ナオ君、あんなのを気にするだけ無駄よ。それに、留置所行きは確定しているのだから、ここからは兵が判断することよ」

「もう、僕たちが手出しできないところまでいっちゃったんですね」

「罪人はきちんと裁かれるべきだわ。といっても、脅迫程度なら所持品や武器を没収されて一日留置所で過ごして終わりね」


 ナンシーさんが、ぽんっと僕の肩に手を乗せました。

 もう深く考えてはいけないと思い、僕は気持ちを切り替える為に目を閉じて深呼吸をしました。

 そして、僕とスラちゃんは受付で貰ったお金をアイテムボックスにしまいます。

 ちなみに、現行犯で目撃者が多数いるので、特に僕が兵に説明する必要はないそうです。

 すると、シンシアさんがパンパンと手を叩きました。


「さあ、今日も忙しくなるわよ。何せ、多くの人が入院しているわ。ここは、治癒師の出番よ」

「私も頑張ります。回復魔法は初級までしかできないけど、それでも怪我は治せます」


 シンシアさんの掛け声に反応して、エミリーさんもやる気を見せていました。

 回復魔法が使えないナンシーさんは、力仕事をしつつスラちゃんを抱いて治療の手伝いをするそうです。

 分担も決まったところで、僕たちは馬車に乗り込んで冒険者ギルドから大教会に向かいました。


「はあ、いきなりのトラブルで疲れちゃいました……」

「私も予想外だったわ。とはいえ、あの程度で済んで良かったわ」


 思わず馬車の中で溜息をついちゃったけど、体の力が抜けて一気にだらーんとしちゃった。

 シンシアさんがスラちゃんを抱きしめながら僕の事を慰めていましたが、もうこれで三人の件は片付いたと思いたいです。

 そして、馬車は程なくして大教会に着きました。

 大教会には馬車置き場があり、そこに馬車を停めて大教会の中に入ります。


「うわあ、外も素敵な作りだったけど中は本当に凄いです! 特に、ステンドグラスから漏れる光が凄いです!」

「ふふ、ナオ君も年頃の男の子なのね。王都にある教会の総本山だから、外装も内装もこだわった作りになっているのよ」


 ナンシーさんが色々と教えてくれたけど、大教会は村にあった教会とは何もかもが違います。

 教会の大きさもさることながら、装飾や神様の像、席数も全然違います。

 なんというか、神秘的な感じがしますね。

 そして、昨日も王城で会った人が僕たちに近づいてきました。


「皆さま、お忙しい中お越し頂きありがとうございます。教会を代表して歓迎いたします」

「お父様、今日は皆でがんばりますので宜しくお願いしますわ」


 シンシアさんのお父さんのブレイズ侯爵様が、豪華な教会の服を着て挨拶に来ました。

 確か、教会でもかなり偉い枢機卿っていう地位にあるんだっけ。

 昨日王城で会ったから緊張しないで済んだけど、初めてあったらとっても緊張していたよ。

 ブレイズ侯爵様はこの後用事があるそうなので、代わりにシスター服を着たシスターさんが僕たちを案内してくれます。

 治療施設は大教会の裏手にある建物で、結構大きな建物です。

 怪我をしたり病気になった人が入院していて、大部屋には一部屋十人ほど入院しているそうです。

 僕は、前を歩くシスターさんにどのくらい治療するか聞いてみました。


「シスターさん、昨日軍の病院で五十人以上治療したんですけど、どのくらい治療すれば良いですか?」

「えっ、五十人以上? あの、三十人も治療して頂ければ十分かと思っておりました……」


 あれぇ?

 僕の話を聞いたシスターさんは、かなり困惑した表情になっちゃった。

 シンシアさんたちも、かなり微妙な表情だよ。

 何か変な事を言ったのかなと思ったら、シンシアさんが補足してくれました。


「普通の治癒師は、一日で重症者を十人治療できれば上出来って言われているのよ。ナオ君とスラちゃんは特別魔力量が多いから分からないかもしれないけど、そういうものなのよ」


 昨日も言われちゃったけど、まだ魔力量が多いって実感はないんだよね。

 シャーロットさんを治療した時は、魔力が尽きかけて寝ちゃったし。

 でも、沢山の人が元気になって欲しい気持ちは変わらないので、今日も頑張って治療しよう。

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