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幼馴染冒険者パーティを追放されたら、勇者パーティに拾われちゃった  作者: 藤なごみ


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第三百四十五話 新郎新婦の入場と号泣お父さん

 結婚式が始まる時間になり、シスターさんも祭壇にやってきました。

 いよいよだと、みんな少しソワソワし始めました。


「それでは、新郎の入場です。みなさん、拍手で迎えて下さい」

「「わー!」」

「キュー!」


 司会役のシスターが案内をすると、カエラとキースはドラちゃんたちと大きな拍手をしました。

 教会の入り口のドアが開いて、緊張気味の薬屋さんの息子さんとサマンサお姉ちゃんの冒険者パーティのもう一人の男性が祭壇に向かって歩き始めました。


「おーい、緊張しすぎだぞ。今からそんなに緊張したら持たねーぞ」

「ははは、ガチガチじゃねーかよ!」


 主に村のおじさんたちが、笑いながら新郎二人を囃し立てています。

 でも、囃し立てても直ぐにおばさんたちに成敗されていますね。

 一方で、新郎二人はなんで教会内が満席になっているのって表情でした。

 結婚式前に大事件が起きたから、その影響もあって教会にたくさんの人が押し寄せているのかもしれません。

 そんな中でも、家族はにこやかに新郎を見つめていました。


「それでは、いよいよ新婦の入場です。大きな拍手で迎えて下さい」

「「わー! わぁ?」」

「キュッ?」


 みんなでわーっと教会の入り口を向いたんだけど、思わず固まっちゃいました。

 開いた扉から現れたのは、両の腕に新婦を従えるお父さんです。

 一人はサマンサお姉ちゃんで、もう一人はサマンサお姉ちゃんと同じパーティの女性です。

 実はもう一人の新婦は両親を亡くしているので、父親役をお父さんがやることになっていました。

 それは、特に問題ないことです。

 そのお父さんが、文字通り目から滝のような涙を流して顔をくしゃくしゃにして嗚咽しながら出てきたのです。

 余りにもお父さんが号泣しているので、サマンサお姉ちゃんももう一人の新婦も、教会内にいる僕たちも思わず固まっちゃいました。

 そんな中、お母さんが苦笑しながらあることを教えてくれました。


「亡くなったご両親とお父さんは親友だったから、自分の娘と親友の娘の晴れ舞台で二倍感激しちゃったのでしょうね。今は長男が立派にお店をしているけど、そういう裏話があるのよ」

「そういうことがあるんですね。とてもいい話です」

「よく見ると、号泣している若い夫婦がいますが、苦労した長男夫婦なんですね」


 お母さんの話を聞いて、エミリーさんとナンシーさんも目尻に涙を浮かべていました。

 そして、お父さんは苦笑しているサマンサお姉ちゃんに少し引っ張られる感じで歩き始めました。


「おーい、ちょっと泣きすぎだぞ」

「馬鹿いいな。あんただって、娘が嫁いだ時は本気で泣いていたぞ」

「そそそそ、そんなことはないぞ」

「「「ははは!」」」


 一人のおじさんが自分のエピソードで自爆したのもあり、少し場の雰囲気が柔らかくなりました。

 そして、号泣しているお父さんばっかりに注目がいっていたけど、改めて新婦二人のウェディングドレスに注目します。

 王都に連行された三人によって切り刻まれたって聞いたけど、どこを切り刻まれたかというくらい綺麗なウェディングドレスです。

 サマンサお姉ちゃんはスタイル抜群ってのもあるので、特にウェディングドレスが映えていますね。

 そして、新郎二人もバージンロードの真ん中でお父さんと新婦二人を待ち構えます。


「うぐっ、うぅ……」

「分かりましたから、お父さん大丈夫ですよ」

「しっかりと支えますから」


 お父さんはまだ号泣が収まらず、新郎二人もキツく抱きしめていました。

 新郎二人がなだめても、お父さんは声にならない言葉で話しながら新郎二人を抱きしめていました。

 仕方ないねと、お母さんがお父さんのところに行って何とか連れてきました。

 そして、周りにいる人も余計なことをお父さんに言わないでいました。

 僕とエミリーさんの婚約が決まったので、数年後に結婚式があるのは確実です。

 絶対にお父さんは号泣しそうだなと思ってしまいました。

 そして、ようやく二組のカップルがシスターさんの前に並び立ちました。

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