第三百四十一話 代官に説明に行きます
念の為に、僕が代官邸に行って事の次第を説明することになりました。
エミリーさんとナンシーさんは、サマンサお姉ちゃんのウェディングドレス姿を見るためにこのまま教会に残ることになりました。
お母さんが一緒に着いてきてくれるので、代官に説明をするのは問題なさそうです。
「クロちゃん、ギンちゃん、キキちゃん、捜索お願いね」
「「アンアン!」」
「キキッ」
教会が放火されたってのもあり、村の人と共にクロちゃんたちも周囲の確認に向かうことになりました。
さっき簡単に探索魔法を使って確認した限りでは大丈夫そうだけど、念には念を入れることになります。
ではでは、お母さんと一緒に代官邸に向かいましょう。
「しかし、あの三家のものは残らず変な行動を取りますな。自分以外のものの幸せを壊すために、変装してまで来るとは」
事情を聞いた代官も、思わず呆れる程でした。
ある意味執念深い性格なのかもしれないけど、どう考えても普通じゃないもんね。
「私も、久々に怒りを覚えました。裁きは国が行うことになるそうですが、出所後直ぐの事件ですのでかなり厳しいものになるでしょう。もっとも、許されるのなら私がこの手で裁こうと思いましたわ」
「ははは……」
ニコリと微笑みながらも本音を隠さないお母さんに、代官も苦笑するばかりです。
お母さんがあのレベルまで怒るのは、僕も久々じゃないかなって思いました。
それだけ、あの三人が起こした大事件に憤慨しているんですね。
「例えエミリーさんたちを襲っていなくても、息子は伯爵ですので貴族当主を襲うことになります。まあ、その点につきましては何も申しません」
「あの三家にとって、蔑んでいたはずのナオ君が今では上級貴族の仲間入りをしています。もし、この事実を知ったら、更に大事になったでしょう」
お母さんの言葉に代官も何回も頷きます。
僕の地元の人は昔と変わらず接してくれるし、少しくらいのじゃれ合いなら僕も全く気にしません。
でも、悪意を持って接するなら僕も厳しく対応します。
その前に、スラちゃんたちが激怒しそうですけど。
すると、代官がお母さんにあることを伝えました。
「そうそう、ご依頼を受けた広間での披露宴は問題なく可能です。エミリー殿下とナンシー様も来ておられますから、警備も考えるとそちらの方が良いかと」
「ご対応頂き、本当にありがとうございます」
お母さんは、代官に深々と頭を下げていました。
二組の結婚式なので、披露宴も広い場所がいいという話になりました。
冒険者ギルドでも良いんじゃないかという話もあったけど、代官邸を使わせてもらうことになりました。
めでたいことなら、全く問題ないそうです。
因みに、費用は全てお母さんが一括で支払っていました。
お母さんは魔法使いとして凄く稼いでいるから、このくらいは余裕だと言っていました。




