第三百三十九話 サマンサお姉ちゃんの結婚式当日です
翌日は、いよいよサマンサお姉ちゃんの結婚式当日です。
僕は朝早くに王城に行って、エミリーさんとナンシーさんを迎えに行きました。
「「いきたかったよー」」
アーサーちゃんとエドガーちゃんがブーブーと文句を言っているけど、流石に勲章を貰っているとはいえ平民の結婚式に王子様が参加するのはちょっと問題あるよね。
ナンシーさんは元々オラクル公爵令嬢の時から結婚式に招待されていたし、エミリーさんは僕の婚約者なので全然問題ありません。
「ほらほら、そんなに不満そうな表情をするんじゃないですよ。お土産を買ってきて貰いましょうね」
「「はーい……」」
マリアさんに宥められて、アーサーちゃんとエドガーちゃんは何とか落ち着いてくれました。
エミリーさんもナンシーさんも、どよーんとしている二人を見て思わず苦笑しています。
そういえば、オラクル公爵家を出る時もセードルフちゃんとルルちゃんが駄々をこねていたね。
因みに、リルムさんは僕たちのお世話を兼ねて着いてくることになりました。
では、僕の実家に向かって出発です。
バタバタ、バタバタ。
「カエラ、キース、着替えは終わったの?」
「「多分終わったー」」
「あなたは?」
「もうちょい……」
僕の実家に着いて玄関を開けると、そこはさながら戦場でした。
まだ結婚式まで時間はあるとはいえ、新婦側の家族なので早めに準備をしているみたいですね。
あまりにもドタバタしているので、僕たちは思わずぽかーんとしちゃいました。
「私も着替えを手伝います」
「リルムさん、ありがとう」
リルムさんがカエラとキースの着替えを手伝い、お母さんがお父さんの着替えの手伝いをしています。
スラちゃんも着替えの手伝いをしているから、きっと大丈夫だと思いたいです。
「お母さん、みんなと先に教会に言っているね」
「わかったわー」
僕たちは、お母さんに声をかけて一足先に教会に向かいます。
そういえば、ナンシーさんの結婚式の時も凄いドタバタしていたよね。
サマンサお姉ちゃんたちは既に教会にいるらしいので、みんなで向かいます。
「「フン? アンアン」」
ダッ。
すると、突然クロちゃんとギンちゃんが教会に向かって走り出したのです。
キキちゃんも、ドラちゃんの背中に乗って動き始めました。
僕たちは思わず顔を見合わせちゃったけど、直ぐに走り出しました。
「これは、絶対に何かありそうね」
「私たちも急ぎましょう」
ナンシーさん、エミリーさん、王族らしいドレス姿なのにとっても走るのが速いです。
そして、クロちゃんたちは教会の中ではなく裏手に向かいました。
すると、とんでもないことが起きていたのです。
「この、何をしている!」
「大人しくしなさい!」
「「「離せ、離しやがれ!」」」
何と、女性三人が教会裏手に放火していたのです。
僕は、慌てて水魔法で教会裏手の壁を消火しました。
幸いにして黒く焦げただけなんだけど、油の臭いまでしています。
そして、クロちゃんの拘束魔法、ナンシーさんとエミリーさんは、女性を後ろ手で地面に抑え込んでいました。
ギンちゃんが教会の中に向かってくれたんだけど、その間に僕はみんなが捕まえた三人を固く拘束魔法を使って縛って動けなくします。
そして、残念ながらキキちゃんと鑑定結果は一緒でした。
「この三人は、一昨年収穫祭で悪さをしたあの三家の女性です!」
「「「ぐっ……」」」
髪型を変えたり化粧などで変装していたけど、三人の反応を見るに間違いなさそうです。
確か強制労働刑になったはずだけど、刑期が短かったみたいです。




