第三百三十四話 謁見と婚約発表
謁見の時間となり、僕たちはそれぞれ別れて謁見の間に向かいます。
「やあ、ナオ君おはよう」
「いよいよ、伯爵だね」
ランディさんと一緒に謁見の間に向かうと、マリアさんやシンシアさんのお父さんなどが僕に声をかけてきました。
僕の爵位の件もあるけど、娘の妊娠が発覚したのも嬉しそうな要因の一つですね。
僕に何か言いそうな貴族もいるけど、偉い貴族の人たちが守ってくれているので大丈夫です。
「静粛に、陛下が入場されます」
時間となり、僕たちは臣下の礼を取ります。
静寂の中を、陛下を始めとする王族が入ってきました。
「一同、面を上げよ」
玉座に座った陛下が、僕たちに声をかけます。
新年の謁見が始まるところで、最初にあの話から始まりました。
「皆と共に新年を迎え、余も喜ばしく思う。昨年は、王国内を混乱させた邪神教の拠点壊滅に成功した。協力した多くのものに感謝をする。また、王太子妃マリア、勇者パーティの一人として活躍したシンシアの妊娠も判明した。優秀な血が増えることを、余も嬉しく思う」
陛下のマリアさんとシンシアさんの妊娠発表に、謁見の間にいた貴族から祝福の声が上がりました。
中には少し恨めしい視線を送っている人もいるけど、間違いなくヘンリーさんに側室を送り込もうとした貴族ですね。
「そして、邪神教事件解決の立役者であるカタルシス子爵を、伯爵に陞爵する。併せて、娘エミリーとの婚約も発表する。カタルシス伯爵には、今後とも勇者パーティの中心として働いてもらう」
「謹んでお受けいたします」
「未成年のものが伯爵になり、そして王女との婚約をすることに違和感や反感を持つものもいるだろう。しかし、ナオはそれに値するだけの働きをした。王国の発展に多大なる寄与をしたのだから、王国もその功績に報わなければならない」
僕は、膝をついて陛下に臣下の礼をします。
エミリーさんも、一歩前に出てカーテシーをしました。
陛下が色々と説明をしてくれたおかげで、今回の決定に反発する貴族は現れませんでした。
エミリーさんを何が何でも嫁にするという貴族も自滅してなくなり、その影響もありそうです。
その後も、様々なことで活躍をした貴族に勲章などが贈られました。
「本年は、国が発展するために様々な政策をとる。まさかとは思うが、足の引っ張り合いをすることのないように」
最後に、陛下が集まった貴族に釘を差しました。
今年から、スラム街の再生計画が始まります。
大きな利益を生むことになるので、その辺りを陛下も気にしているのでしょう。
僕はもう多くの報酬を貰っているので、目の色を変えてまでお金を欲しがるってことはありません。
これで、今日の謁見は終了です。
僕は、主だった貴族と共に応接室に向かいました。




