第三百十九話 久々の冒険者活動です
怪我や毒の影響も完全に良くなり、勇者パーティーや冒険者活動も再開しようとしました。
しかし、残念ながら激しく動くことはまだ禁止となっちゃいました。
「直ぐに治療しているとはいえ、毒の影響は長く残ることもある。最低でも、あと一ヶ月はリハビリしてから活動を再開しよう」
新居への引っ越し作業が忙しい中、王城で会ってくれたヘンリーさんにそう言われちゃいました。
ナンシーさんも新婚さんで色々な人とお茶会をしていて、エミリーさんが代わりに王家としての公務に参加しているそうです。
暫く勇者パーティーとしての活動も難しそうなので、僕は久々に冒険者として活動することにしました。
と言っても害獣駆除とかは禁止なので、主に治療をすることになりました。
スラちゃんやドラちゃんたちも今日はフリーなので、みんなで冒険者ギルドに向かいます。
クロちゃん、ギンちゃん、それにキキちゃんも頑張るぞと張り切っていますね。
因みに、一人で行動しては駄目って言われているので、リルムさんに一緒に来てもらいました。
キキちゃんがリルムさんの護衛としてついているから、なにかあっても大丈夫ですね。
ザワザワザワ。
「うーん、何だか久々に冒険者ギルドに来た感じがします」
「それは仕方ないかと。毒に冒されて養生されておりましたので」
朝早いので、冒険者ギルドにはたくさんの冒険者が依頼を受けに忙しそうに動いていました。
こういう光景も、何だか久しぶりな気もしますね。
すると、顔見知りの冒険者が僕の存在に気が付きました。
「うん? おっ、ナオじゃないか。王家の結婚式で色々とあったそうだが、体は大丈夫なのか?」
「毒に冒されたって聞いたぞ。よく命を取り留めたって話だぞ」
「わあっ!?」
僕の周りに、たくさんの冒険者が集まってきたのです。
僕の体をペタペタと触って、心配そうな表情をする人もいます。
ブレアさんとナンシーさんの結婚式で起きた事件は目撃者が多数いたのもあって、王都内でもかなりの話題になったそうです。
更に、奸臣に刺されたのが僕ってのも大きな衝撃だったそうです。
だからこそ、僕のことを多くの冒険者が心配してくれていました。
「あの、もうだいぶ良くなりました。暫くは、治療とかの簡単な依頼を受けるようにします」
「その方がいいだろう。最近はそこまで物騒な話を聞かないし、そんな話があったらナオを差し置いてスラちゃんたちが動くだろうな」
冒険者の話を聞いたスラちゃんたちは、任せろという動きを見せていました。
確かに、今の僕だと本気で動けないからみんなの足を引っ張っちゃうかもしれないね。
冒険者とのお喋りも落ち着いたので、僕は改めて受付に向かいます。
どんな依頼を受けようかなと思ったら、受付のお姉さんがこんな依頼を僕に進めてきました。
「実はね、数家の貴族から治療の依頼を受けているのよ。素性を確認して全て問題ないんだけど、腕の良い治癒師且つ貴族関係者でないと信用できないと言っているのよ」
どうやら対象は年配の人で、今まで貴族同士の付き合いしかしてこなかったのもあるそうです。
貴族主義って訳じゃないけど、今までの人間関係もあるでしょうね。
家柄も問題ない貴族家なので、依頼を受けることにしました。
そして馬車でその貴族家に行ったほうがいいと受付のお姉さんにアドバイスを貰ったので、オラクル公爵家に一度戻ることにしました。
すると、僕の依頼の話を聞いたこの人がついてくることになりました。
「知り合いの貴族の名前もあるから、私も行くわ。ナオ君もとても有名になったけど、私もいた方が効果が高いでしょうね」
なんと、レガリアさんが同行することになりました。
レガリアさん曰く、ナンシーさんという手のかかる娘が王家にお嫁にいって少し暇になったそうです。
セードルフちゃんとルルちゃんもついていきそうな表情を見せていたけど、残念ながらこれからお勉強の時間だそうです。




