第三百十五話 僕の家族が実家に戻りました
翌朝、僕の家族はドラちゃん便で実家に帰っていきました。
お父さんだけはドラちゃんに乗れないので、いつも通り馬車で帰って行ったけどね。
というのも、サマンサお姉ちゃんの結婚式が近いので色々と準備があるそうです。
「ナオ、何かあったら直ぐに周りの人に声をかけるのよ」
庭に出てみんなを見送った時、まだ車椅子に乗っている僕のことをお母さんはだいぶ心配していました。
とはいえ、僕も刺された直後から比べるとだいぶ調子が良くなってきたので、この分なら明日から歩く訓練を始められそうです。
そして、家族が帰る前に応接室に集められてあることが話されたそうです。
「ナオ君に使われた毒は、即効性、遅効性、出血性、神経性とありとあらゆる毒を混ぜ込んでいた事が分かった。たまたま多くの治癒師がいて直ぐに治療できたからナオ君は助かったけど、普通は先ず助からない。そんな強力な毒を準備すること自体ありえないし、強固な殺意を持っているといえよう」
ランディさんが言葉を選びながら説明してくれたけど、僕の命が助かったのは奇跡に近いそうです。
更に、王家の結婚式に強力な毒を持ち込んだこと自体が大問題で、その辺も含めてハラグロ伯爵には厳しい取り調べが行なわれているそうです。
「あと、陛下からナオ君は今までよく働いてくれたのだからゆっくり休んでリハビリに励むようにと指示が下った。それだけナオ君の今までの頑張りは誰もが認めているし、来年の新年の謁見で伯爵に陞爵するのは間違いない」
ランディさんが追加情報を教えてくれたけど、僕の使命は自分の体を治す事だそうです。
みんな色々と優しくしてくれて、とってもありがたいですね。
僕も、いっぱい食べていっぱい動いていっぱい寝て早く体を回復させないとね。
そして、僕が動けない分僕のお友達はとても張り切っていました。
「みんな、気を付けて行ってきてね」
「キュー!」
「「アンアン」」
「キキッ」
元々ヘンリーさんの片腕として活躍しているスラちゃんに加えて、ドラちゃん達もエミリーさんやシンシアさんと一緒に活動しています。
ナンシーさんは新婚なので勇者様パーティの活動はお休みだけど、本当はみんなと一緒に活動したいそうです。
ドラちゃん達は顔馴染みとなった兵と共に犯罪組織の拠点を急襲していて、王都の人々に犯罪者の手が伸びない様にしているそうです。
ヘンリーさんとスラちゃんは捕まえた人の聴取を行なっているそうで、なんとハラグロ伯爵には王妃様が直々に聴取を行うことが決定しました。
でも、僕はお手伝いができないし、当面はみんなにお任せです。
「ナオにーに、あそぼー!」
「あそぼー!」
そして、僕は屋敷の中に戻ってセードルフちゃんとルルちゃんと共に車椅子でもできる簡単な遊びをしていました。
これも、リハビリの一環ですね。
セードルフちゃんとルルちゃんは僕がずっと寝ていたのをとても心配していて、昨日は何回も僕の様子を見に来ていました。
まだ幼いのに、二人ともとても優しいですね。
リーフちゃんとソラちゃんのスライムコンビも、僕のことを気にかけてくれました。
どこにも行かないでのんびりするのなんて、本当に久しぶりですね。
「ナオ様は、幼いながら何でもやられるので今までお世話をする機会があまりありませんでした。初めて、しっかりとお世話をしている気がします」
僕の車椅子を押すリルムさんが何だかしみじみと言っていたけど、僕はいつもリルムさんにお世話になっている気がしますよ。
こんな感じで、半月ほど僕のリハビリライフが進んで行きました。




