第三百八話 いよいよ結婚式本番です
「静粛に。これより新郎が入場します」
アナウンスの声が聞こえてきて、皆も姿勢を正して静かにします。
ギギギと重厚なドアの開く音がし、純白のタキシードを身にまとったブレアさんが深々と一礼して大教会の中に入ってきました。
若干緊張した面持ちだけど、それでも姿勢をピンと伸ばして教会の中を歩いていきました。
ブレアさんは、祭壇の前に着くと神父役の教皇猊下と少し言葉を交わしていました。
では、いよいよ新婦の入場です。
「お待たせいたしました。それでは、新婦が入場します」
全員が一斉に後方のドアに注目すると、再びギギギと重厚な音を上げながらドアが開きました。
ドアが開くと、豪華さを抑えめにしたシックな貴族服を身にまとって髪の毛も綺麗に整えているランディさんと、レースをふんだんに使用した純白のウェディングドレスにこれまたレースを使ったベールを頭に付けているナンシーさんの姿がありました。
また、二人の脇には小さな籠を持ったカエラとキースとちびっ子達と僕のお友達が勢ぞろいしています。
ランディさんとナンシーさんが深々とお辞儀をすると、ちびっ子達も僕のお友達も可愛らしく頭を下げていました。
「「「わーい!」」」
「キュー!」
カエラとキース、それにちびっ子達と僕のお友達が、籠の中に入っている花びらを楽しそうにまいていました。
ルルちゃんも、ドラちゃんと一緒にお兄ちゃん達に負けないように一生懸命に花びらをまいています。
カエラとキース、それにスラちゃんとリーフちゃんが良い感じに花びらが舞う様に風魔法を使っています。
子どもたちの微笑ましい光景に、来賓も思わずニッコリとしています。
そんな幻想的な光景の中を、ナンシーさんとランディさんが腕を組みながらゆっくりと歩いていきました。
バージンロードの真ん中付近にはブレアさんが待っていて、ランディさんと言葉を交わした後、がっちりと握手をしてからナンシーさんを受け取りました。
その間に、ちびっ子達と僕のお友達がそれぞれの席につきました。
カエラとキース、セードルフちゃんとルルちゃんも、オラクル公爵家の席につきます。
みんなとても頑張ったと、とても良い笑顔でした。
ランディさんも席に着いたのだけど、少し涙目になっていました。
ブレアさんとナンシーさんも、無事に祭壇の前に到着しました。
祭壇付近に良い感じにステンドグラスからの光が差し込んでいて、とても神秘的な光景です。
「それでは、これより結婚式を執り行います。皆様、神様に祈りを捧げましょう」
教皇猊下が大教会内にいる人に呼びかけ、皆で一斉に手を組んで神様にお祈りをします。
姿勢を正したら、いよいよ結婚式の開始です。
「汝、ブレア・ガルフォードは、ナンシー・オラクルを妻とし、終生愛する事を誓いますか?」
「誓います」
「汝、ナンシー・オラクルは、ブレア・ガルフォードを夫とし、終生愛する事を誓いますか?」
「誓います」
ブレアさん、ナンシーさんそれぞれがお互いに誓いの言葉を言いました。
誓いの言葉の後は、お互いに結婚指輪を交換します。
その間、大教会にいる人は真剣な眼差しで二人の事を見つめていました。
「それでは、誓いの口づけを」
「「はい」」
教皇猊下の言葉に、ブレアさんとナンシーさんが頷きながら答えました。
二人はお互いに向かい合い、ブレアさんがナンシーさんの顔にかかっているベールを持ち上げました。
お互いに少し見つめ合った後、誓いの口づけを行いました。
「ここに、新しい夫婦が誕生しました。大きな拍手で祝福する様に」
大教会にいる人々は、教皇猊下の合図で新しい夫婦に大きな拍手を送っていました。
ちびっ子達も僕のお友達も、勿論僕も一生懸命に二人に拍手をしていました。
レガリアさんは、ハンカチで目尻に浮かんだ涙を拭っていました。
そんな中、新郎新婦はにこやかにゆっくりとバージンロードを歩いていきました。
こうして、ブレアさんとナンシーさんは晴れて夫婦となりました。




