第三百五話 結婚式前日のグタグタ劇場
ブレアさんとナンシーさんの結婚式の準備も順調に進んでいき、いよいよ結婚式前日になりました。
僕の家族もオラクル公爵家にやって来て、お母さんとサマンサお姉ちゃんがとあるお手伝いをしていました。
それはナンシーさんの部屋の片付けです。
ナンシーさんは結婚式後は王城に住むのだけど、オラクル公爵家の部屋から荷物を運び出すのはブレアさんが叙爵して新しい屋敷に引っ越す時です。
しかし、実はナンシーさんの部屋が物凄く散らかっているので母親であるレガリアさんの雷が落ちたそうです。
結婚式の打ち合わせが終わってオラクル公爵家に戻ってきたナンシーさんは、涙目で部屋の片付けを始めました。
流石に人手が足りないので、イザベルさん、お母さん、サマンサお姉ちゃんが部屋の片付けをしていました。
未婚の女性の部屋なので、僕たち男性は入れません。
「「「昔々ある所に……」」」
「キュー」
「パチパチー」
小さな子どもたちは、ナンシーさんの部屋に近づいては駄目だと本能で察したみたいです。
勉強部屋に移動して、ルルちゃんに絵本を読んであげていました。
僕のお友達だけでなく、リーフちゃんやソラちゃんもルルちゃんの側にいますね。
お父さんも勉強部屋にいて小さい子どもたちの面倒をみているけど、実はレガリアさんの怒りの矛先が別の人の所に向いたので逃げているのもあります。
「あなた、なぜ結婚式用のスーツのズボンが入らないのかしら? 普段から、健康の為に運動を心がけて下さいと言っていたはずですよ……」
「あの、それ、それは、その……」
「あなた、言っていたはずですよね?」
既に結婚式用に用意していた服をランディさんが着たところ、先日は履けたズボンが履けなくなってしまったのです。
ズボンのウエスト周りは直ぐに直せるのだけど、それ以上にランディさんが太ったのがレガリアさんの逆鱗に触れちゃったみたいです。
うーん、結婚式前なのにちょっと修羅場モードですね。
多分、レガリアさんも結婚式前でピリピリしているのもあるのかもしれません。
そんな感じで、怒涛の夕方が過ぎていきました。
そして、夕食時に食堂にみんなが集まると、ヘロヘロになってしまったナンシーさんとランディさんの姿がありました。
レガリアさんのピリピリは、少し良くなったのかもしれませんね。
「お父様、お母様、今まで大切に育てて頂き本当にありがとうございます……」
「うむ……」
「はあ、締まらないわね。まあ、似たもの親子って感じかしら」
一応姿勢を正してナンシーさんが挨拶をしていたけど、ランディさんもレガリアさんに怒られまくって気力体力精神力を使い果たしたみたいです。
結婚式前日に親子揃って怒られるなんて、本当に似たもの同士なのかもしれませんね。
「ナンシーもこれからは王家の一員として活動するのだから、自覚を持って行動することね」
「はい、分かりました……」
レガリアさんは、ちょっと心配そうにしながらヘロヘロな娘に忠告をしてました。
でも、ブレアさんとナンシーさんはとても仲が良いし、僕は大丈夫だよって思うよ。
「ねーねー、おなかすいたー!」
「話はこのくらいにしておきましょうか。キチンと食べないと、明日を迎えられないわ」
ルルちゃんが完全に待ちくたびれた感じでぶーぶーと文句を言ったので、レガリアさんは思わず苦笑しながら食事の合図をしました。
ランディさんとナンシーさんが、思わずホッとしたのは言うまでもありません。
こうして、結婚式前の最後の日は特別な事をすることなく過ぎ去っていきました。
ある意味、オラクル公爵家らしいのかもしれませんね。




