第三百二話 犯罪組織の拠点を制圧し王城に戻ります
程なくして、僕とドラちゃんは廃村の中に戻りました。
どうやら犯罪組織の構成員は全員倒していて、今はクロちゃん、ギンちゃん、キキちゃんが先陣を切って廃村の中を調べていました。
僕とドラちゃんは、捜査を頑張っている皆に手を振りながら馬車の停まっている方に向かいました。
すると、そこは死屍累々という言葉そのままの光景が広がっていました。
「「「うぅ……」」」
縄で拘束されている犯罪組織の構成員がみんなボロボロになっていて、中には気絶している人もいます。
そんな構成員のところでぴょこぴょこシアちゃんが動いていて回復魔法をかけていたので、少なくとも骨折レベルは完治しているはずです。
そう思うと、僕が捕まえた三人のボスみたいに人は無傷だったのである意味幸運だったんですね。
そんな中、兵に護送の指示をしているヘンリーさんのところに向かいました。
「ヘンリーさん、偉い人っぽい者を捕まえました。今は催眠魔法で眠っています」
「ナオ君、ありがとう。最重要人物として厳重に拘束して連行しよう」
ドサッ。
僕は、念動で浮かべていた三人を地面に下ろしました。
すると、直ぐに兵がまだぐっすりと寝ている三人を縄で拘束して護送用の馬車に乗せていきました。
他の護送用馬車も、拘束した犯罪組織の構成員を運ぶのに忙しく動いていますね。
そして、僕は一休みしている勇者パーティの面々のところに向かいました。
「皆さん、お疲れ様です」
「キュー」
「「ナオおにーちゃん、おつかれー!」」
僕がみんなに声をかけると、馬車の警備をしていたカエラとキースがニコニコしながら僕とドラちゃんを出迎えてくれた。
そして、何だかとっても良い笑顔のお母さんも僕の事を出迎えてくれました。
「ナオ、お疲れ様。今日は、私も久々にいい汗をかいたわ」
タオルで汗を拭うお母さんは、やり切ったって表情をしていました。
多分、というか間違いなくあの死屍累々となっている犯罪組織の構成員の多くはお母さんが撃破したんだろうね。
「ナオ君のお母様、本当に凄かったわ。『剛腕の魔女』という所以が、本当に良く分かったわ」
「身体能力強化魔法の使い方が、もの凄く上手だったわ。私も、ナオのお母様に身体能力強化魔法の効率的な使い方を習いたいわ」
同じくタオルで汗を拭っているナンシーさんとエミリーさんは、近くでお母さんと一緒にいたのでより凄く感じたみたいです。
そう考えると、僕のお母さんってもの凄い人なんだと改めて感じました。
「私と子どもはもうすぐ実家に帰りますが、今度ナオのところに来た際に身体能力強化魔法の使い方を色々と教えますわ」
「「お願いします」」
どうやら、次にお母さんが来た時に特別訓練が行われるみたいです。
そして、間違いなく僕も訓練に巻き込まれそうな気がします。
そんな事を話していたら、ヘンリーさんが僕たちに話しかけてきました。
よく見ると、兵と共に廃村の調査を行っていたクロちゃんたちも戻ってきていますね。
「大体の調査が終わったから、これで引き上げるとする。だいぶ早く終わったので、ナンシーは結婚式の準備の続きでエミリーも手伝ってやってくれ」
実質的に戦闘は十分ちょいで終わっちゃったので、廃村に来てまだ一時間も経っていないんだよね。
犯罪組織の構成員の連行も完了したし、後は兵が細かいところを確認すればオッケーです。
ということで、僕たちは馬車に乗って王城に戻りました。
カキカキカキ。
せっかくなのでアーサーちゃんとエドガーちゃんのところに行くと、何とセードルフちゃんも混じって勉強部屋で勉強中でした。
教えているのはマリアさんで、流石にルルちゃんは勉強していませんでした。
アーサーちゃん達はまだ勉強を始めたばっかりみたいで、僕たちが来たから勉強を終えて遊べるとちょっと期待したみたいです。
しかし、別のところからその期待は脆くも崩れ去るのでした。
「折角だから、カエラとキースも皆と一緒に勉強しましょうね」
「「「えー!」」」
お母さんの決定事項に、カエラとキースだけでなくアーサーちゃんたちも大ブーイングです。
しかし、マリアさんもニコリとしながらお母さんの意見に同意しているので抜け出すのは無理でしょう。
僕は、巻き込まれないようにササっとルルちゃんの方に向かいました。
「どらー、どらー」
「キュー」
ルルちゃんは、大好きなドラちゃんと会えて凄くご機嫌でした。
僕はというと、ルルちゃんにドラちゃんと始めとする皆と共に絵本を読んであげました。
勉強組は二人のお母さんの監視下で午前中みっちりと勉強をしたので、昼食時にはヘロヘロになっていました。




