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幼馴染冒険者パーティを追放されたら、勇者パーティに拾われちゃった  作者: 藤なごみ


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第百九十七話 大盛況の大教会での奉仕活動

 カエラとキースが帰る日になったけど、日中は王都大教会での炊き出しを手伝うことになりました。

 セードルフちゃんも一緒に行くらしく、朝早くから準備を進めていた。


「あぶー」

「ルルちゃんは、もう少し大きくなったらお兄ちゃんと一緒に行きましょうね」

「ぶー!」


 イザベルさんに抱かれているルルちゃんは可愛らしく不貞腐れているけど、まだ赤ちゃんだし仕方ないですね。

 イザベルさんの言う通り、もう少しかかりそうです。

 ソラちゃんがルルちゃんのことを慰めているけど、いっぱい食べて頑張って大きくなりましょうね。

 ということで、僕とナンシーさん、それにセードルフちゃんは、カエラとキースとともに馬車に乗り込んで大教会に向かいます。


「「「おはよーございます!」」」

「ええ、おはよう。朝から元気ね」


 大教会には王族が着いていて、ちびっ子三人は元気よく挨拶をしていました。

 僕たちも挨拶をするけど、ちびっ子三人はアーサーちゃんとエドガーちゃんと合流してドラちゃんたちとともに仲良くお喋りしていますね。

 そんな中、アーサーちゃんがこんなことを言ってきました。


「ぼくも治療したい!」

「たい!」


 エドガーちゃんまで元気よく手を上げていたけど、残念ながら二人は回復魔法どころか魔法の訓練を受けていません。

 二人のスライムのプリンちゃんとブドウちゃんも、回復魔法は使えません。

 更にその横で元気よく手をあげているセードルフちゃんも、回復魔法の素養はあるけどまだ魔法の訓練はしていません。

 リーフちゃんも同様です。

 ということで、この子たちと一緒に治療することになりました。


「じゃあ、仲良くやるのよ」

「「「はい!」」」

「キュー」

「「キャンキャン!」」


 アーサーちゃんとエドガーちゃんがタッグを組んてシアちゃんと一緒に治療することになり、セードルフちゃんはドラちゃんと一緒に治療します。

 みんなのことをクロちゃんとギンちゃんが守るとやる気を見せていて、回復魔法が使えるカエラとキースも側にいます。

 僕とエミリーさんも一緒に治療するから、きっと大丈夫ですね。


 トントントントン。


 ちなみに、回復魔法が使えるスラちゃんは、器用に包丁を触手で持って野菜を切っていました。

 近くにいるシャーロットさんとマリアさんの護衛も兼ねるから、スラちゃんはそのままですね。

 シンシアさんとナンシーさんはお手伝いに来た孤児院の子どもたちに色々と教えているけど、最近のシンシアさんはまるで保母さんみたいですね。

 ではでは、さっそく奉仕活動を始めましょう。


 シュイン、ぴかー!


「キュー」

「どうかな、痛くない?」

「ええ、全く痛くないわ。ありがとうね」


 セードルフちゃんがドラちゃんと一緒にお婆さんの治療をしていたけど、アーサーちゃんとエドガーちゃんもシアちゃんと一生懸命に治療しています。

 カエラとキースも慣れた手つきで治療する中、シンシアさんが僕と同じくらいの二人の女の子を連れてきました。

 小さなシスター服を着ているから、たぶん教会の孤児院の子どもみたいですね。


「この子も回復魔法が使えるのよ。一緒に治療のお手伝いをさせてね」

「「「はーい」」」

「キュー」

「「キャンキャン!」」


 ちびっ子たちとドラちゃんたちは、シンシアさんに元気よく返事をしていました。

 とはいえ魔法の指導もしないと駄目なので、孤児院の子は僕とエミリーさんの隣に座って貰いました。

 すると、孤児院の子が僕におずおずと話しかけてきました。


「あ、あの、料理をしているスライムは、本当にスライムなのですか?」

「「ああ……」」


 僕だけでなく、エミリーさんも思わず声を上げちゃいました。

 視線の先には、フライパンでお肉を炒めて炊き出しの鍋に投入しているスラちゃんの姿がありました。

 うん、僕も最近はスラちゃんはスライムとはまた違った別の生き物な気がしています。

 気にしてもしょうがないので、孤児院の二人に治療の注意点を教えつつ治療を再開しました。


 シュイン、ぴかー!


「「おー、魔法上手だね!」」

「じょーず!」

「そ、そうでしょうか……」


 ちびっ子三人が孤児院の子どもの治療を褒めていたけど、僕が見ても中々の腕前だった。

 きっと、基礎訓練をしっかりやっているんだね。

 ちなみに、リーフちゃん、プリンちゃん、ブドウちゃんは、クロちゃんとギンちゃんと仲良くお喋りしています。

 周囲を探索しても不審な気配は全くないし、本当にのんびりとした治療ですね。

 治療の手が多いから人が分散されていて、負担が少ないのも理由の一つです。


「う、美味い! こんな美味い炊き出しは初めてだ!」

「いったい、どんな料理人が作っているんだ?」


 一方で、炊き出しが大好評ってのもあり、配膳する人は大忙しでした。

 まさかスライムが料理を作っているなんて思わないだろうけど、それだけ美味しいスープが出来ているんだね。

 ちなみに、配膳や料理にも孤児院の子どもたちが参加していて、スラちゃんが料理の仕方を子どもたちに教えていました。

 こうして、大盛況のうちに奉仕活動が終わりました。

 アーサーちゃんとエドガーちゃんも、とっても頑張りましたね。

 後片付けをしてオラクル公爵家に戻ると、直ぐにカエラとキースも実家に帰ります。


「じゃーねー」

「また来るねー」

「ばいばーい」

「あうー」


 大きくなったドラちゃんの背中にカエラとキース、そして僕も乗り込みます。

 勲章のことを、両親に教えないといけないもんね。

 セードルフちゃんとルルちゃんも、大きく手を振っていました。

 そして、ドラちゃんは空高く飛び上がり実家に向かって飛んでいきました。

 ちなみに、お母さんに二人の勲章のことを伝えると二人を褒めていたけど、お父さんはお腹いっぱいって表情でした。

 サマンサお姉ちゃんの勲章と僕の件で、もう十分だと思っていたみたいですね。

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