第百九十二話 やる事がない!
こうして、このスラム街に根付いていた犯罪組織は壊滅し、奉仕活動もとても安全に行われました。
そんな中、なんとカエラとキースに小さいけど勲章が贈られることになりました。
王太后様のシャーロットさんを守ったのは紛れもない事実なので、小さい子が勇気を出して頑張ったということを表彰することになりました。
表彰式は二人が帰る前日に行われるそうなので、僕のお下がりの服を手直ししてもらうことになった。
その間、本人たちは簡単な礼儀作法の勉強をすることになった。
「じゃあ、二人ともお勉強頑張ってね」
「「はーい」」
出発する僕たちを見送る二人はこの後勉強するのでちょっと元気がないけど、今後にも役に立つので頑張ってもらいましょう。
ということで、僕たちはスラム街の教会に向かいます。
「今日は、奉仕活動の後にある貴族家への家宅捜索を行う。小さい二人がいないから、安全面は大丈夫だろう」
ヘンリーさんが馬車内で色々と教えてくれたけど、カエラとキースに気を使ってくれたのかもしれない。
いずれにせよ、二人にはまだ家宅捜索は早いもんね。
しかも、犯罪組織に加担しているけどその割合は他の貴族よりも小さいそうです。
でも、何が起こるか分からないので、念のために節約モードで魔法を使わないと。
そんなことを考えていたら、いつの間にかスラム街の教会に着いていました。
先ずは、浄化作業を頑張らないとね。
シュイン、ぴかー!
「ふう、これで最後だね。クロちゃん、ギンちゃん、周囲によどみはないかな?」
「「キャンキャン!」」
今日も、無事に担当分の廃墟を浄化し終えた。
クロちゃんチェックはバッチリだし、ギンちゃんも段々とよどみを嗅ぎ分けることができるようになった。
ではでは、教会に戻って治療兼周囲の監視を行いましょう。
今のところ、周囲に危ない気配はなさそうです。
孤児院の二人もシアちゃんも、治療をとても頑張っていますね。
僕は、邪魔しない程度に治療をしながら二人を見守ります。
この分だと、二人はこれから頑張れば良い治癒師になれそうですね。
教会側としても、きっと貴重な人材だと思います。
「うーん、やることがなくなっちゃったよ……」
周囲を定期的に調べるけど、このスラム街を根城とする犯罪組織が殆ど無くなったので、建物の影に隠れて僕たちの様子を伺っているものはいません。
列に並んでいる人たちも、遊撃班の様子をみる限り特に問題なさそうです。
ということで、久々に炊き出しの配膳をする方を手伝うことにしました。
「はい、どうぞ」
「おう、ボウズありがとうな」
治療に並ぶ人はだいぶ減ったけど、炊き出しに並んでいる人たちは相変わらず多いです。
でも、孤児院の子どもたちも配膳を手伝ってくれるし順調に進んでいます。
うん、配膳班もあんまりやることがないかも。
それでも何かしないとと思っちゃっているので、配膳をしつつお仕事を探しています。
そんな時、シンシアさんが僕に声をかけてきました。
「ナオ君、悪いけど仮設孤児院をもう少し拡張してくれないかしら。流石にちょっと手狭になったのよね」
おお、お仕事を頼まれたよ。
僕は、張り切ってシンシアさんの後をついていきました。
そして、僕が作った仮設孤児院の前に到着です。
「同じ大きさの部屋を二部屋増やして欲しいのよ。できるかしら?」
「直ぐにやります!」
一度作った仮設孤児院の部屋を増設するだけなので、このくらいなら直ぐに終わります。
僕は、シンシアさんと孤児院の子どもたちが見ている前で仮設孤児院の壁に手をつきました。
周囲に人がいないか確認してっと。
シュイン、ズゴゴゴ……
「流石ね、あっという間にできわ」
「「「お家が大きくなった!」」」
子どもたちは、さっそく増えた部屋のなかに入って行きました。
シンシアさんも直ぐに確認したけど、問題なさそうです。
よーし、次のお仕事も頑張ろう!
「シンシアさん、他にやることはないですか?」
「今は大丈夫よ。ありがとうね」
ガーン。
まさかのこれでお仕事終わりです。
でも本当にやることはなさそうだし、シンシアさんの方もちょっと苦笑いです。
僕は、とぼとぼとと歩きながら炊き出しのところに戻りました。
すると、なんと僕がいなかった間に別の孤児院の子どもが配膳を手伝っていました。
うう、完全にやることがなくなっちゃったよ……
「ナオ君、少し休んでてもいいのよ。ナオ君は、まだ炊き出しの野菜を切ったりもできないしね」
シャーロットさんにも、ニコリとしながらそう言われてしまいました。
もしかして、野菜を切ることが出来たならお手伝いが出来たのかなと思いながら、僕はまた周囲の監視に戻りました。
やることがないのって、何だか手持ち無沙汰です。




