第百八十六話 午後も頑張ります
交代で休憩を取りつつ、午後も奉仕活動を続けます。
カエラとキースも頑張った分疲れているので、僕とドラちゃん、それにシアちゃんで治療を頑張ります。
「「「まほーがつかえるんだー!」」」
それでも、カエラとキースは孤児院の子どもたちと教会内で楽しそうにお喋りしていました。
簡単な回復魔法でも、こうして魔法が使えると尊敬の眼差しで見られますね。
話し相手になるだけでも随分と気持ち的に楽になるそうなので、二人は暫くこのまま孤児院の子どもたちとお喋りして貰いましょう。
「おら、お前はこっちに来い!」
「キャンキャン!」
「くそ、なんで見つかるんだよ?!」
遊撃班はクロちゃんが大活躍しているので、兵も犯罪者を捕まえるのを手伝っています。
クロちゃんの鼻の良さは、本当に凄いよね。
クロちゃんとしても、みんなに頑張ったと褒められたいのもあるみたいです。
後で、いっぱい褒めてあげないといけないね。
ヘンリーさんとスラちゃんは完全に個別に動いているので、僕も関与できないことです。
というか、凄いことをしているのは間違いないんだけどね。
その証拠に、今も目の前を大きな護送用馬車が通り過ぎました。
今日一日で、いったい何人の犯罪者を捕まえて何個の犯罪組織を潰したのだろうか。
僕なんかでは、到底及ばない成果を発揮しそうです。
「「お兄ちゃん、またお手伝いするよ!」」
カエラとキースも十分体力と魔力が回復したみたいなので、再び治療に戻りました。
孤児院の子どもたちも、炊き出しの配膳を手伝ったりと色々してくれています。
こうして、無事に今日奉仕活動を終えました。
ちょっと魔力が余っているので、もう二軒の廃墟の浄化をすることにしました。
シュイン、ぴかー!
「「おおー!」」
「キャンキャン!」
僕とドラちゃんがサクッと廃墟を浄化すると、カエラとキース、それにクロちゃんも感嘆の声をあげました。
無事に廃墟を浄化し終えてホッとしていると、物陰から僕たちを監視している人がいました。
「キャンキャン!」
「そこに隠れているのは分かっています」
「「「ちっ……」」」
クロちゃんも悪人と判断した人たちが、一斉に刃物を手にして僕たちに突っ込んできました。
でも、僕も木剣を構えて魔力を溜め終えています。
シュン、バキッ、ドカッ!
「「「うぎゃー!」」」
「「おー、お兄ちゃんカッコいい!」」
「キャン!」
「キュー!」
全員木剣で倒すと、みんな大はしゃぎしていました。
特にカエラとキースは、僕が魔法ではなく木剣で不審者を倒したのに大興奮していました。
「カエラとキースも、お父さんに剣を習えばきっとこんな感じでできるようになるよ」
「えー、お父さんよりもお母さんの方が強いよ」
「そーだよ、お父さんよりもサマンサお姉ちゃんの方が強いよ」
僕は剣士でもあるお父さんに剣を習えばと言ったのに、二人は素直にもっと強い人がいると返事をしていた。
うん、この場にお父さんがいなくて本当に良かったよ。
ちなみにナンシーさんとエミリーさんも、二人の話を聞いていて微妙な表情をしていました。
ともかく、これで今日の活動は終了です。
すると、二人はシャーロットさんのところに走っていきました。
「「お手伝い終わったよ!」」
「ええ、二人ともお兄ちゃんに負けないくらい頑張ったわね。明日は、お屋敷でいっぱい遊ぶのよ」
「「はーい!」」
二人とも、シャーロットさんともすっかり仲良しになったね。
こうして、僕たちはオラクル公爵家に戻って行きました。
「「今日はね、いっぱい頑張ったんだ!」」
「キャンキャン!」
「おー、すごーい!」
屋敷に着くと、二人と一匹はさっそく出迎えてくれたセードルフちゃんに今日の報告をしていました。
セードルフちゃんとリーフちゃんも、二人と一匹の活躍を自分のことのように喜んでいますね。
「じゃあ、明日は三人でいっぱい勉強して遊ばないとね。カエラとキースも、セードルフちゃんに勉強を教えてあげるんだよ」
「「はーい」」
せっかく仲良くなったのだから、二人ともセードルフちゃんと遊ばないと。
それに、今日はあくまでも臨時のバイトみたいなものだもんね。
もちろん働いた分のお金は支払われるけど、冒険者登録してきちんと活動できるようになってから頑張らないとね。
「じゃあ、みんなお風呂に入るわよ」
「「「はーい」」」
ということで、三人はルルちゃんを抱っこしているイザベルさんに呼ばれてお風呂に向かって行きました。
きっと、カエラとキースはお風呂でも今日一日何をしたのかを一生懸命に話すのだろうね。
ドラちゃんとクロちゃんも一緒について行ったので、僕はスラちゃんとともに部屋に戻りました。
ちなみに、スラちゃんは予定よりも一つ多く犯罪組織を潰したそうです。
南町のスラム街に比べると、このスラム街はとても楽に対応できるそうです。
ちなみに、今のところ邪神教の拠点はないそうなので、僕も思わず一安心です。
「今晩は、頑張った二人にご褒美をあげましょうね」
「「わーい、ありがとー!」」
そして、夕食はレガリアさんの配慮で二人に美味しいものが提供されました。
また頑張るぞと、二人とも美味しそうにお肉を頬張っていました。




