第百七十三話 訓練メニューが増えました
翌朝から、僕の訓練メニューが増えました。
毎朝魔法制御の訓練はしていたけど、ここに体力強化と剣の訓練が入ります。
体力強化は、先ずはオラクル公爵家の庭を走ることになりました。
実は走るコースも出来ていて、距離も自在らしいです。
「ナオ君は、庭を一周することから始めましょう。走ることに慣れてきたら、距離を延ばしましょうね」
レガリアさんがどこを走ればいいか教えてくれたけど、そもそもがオラクル公爵家の庭がとても広いから、普通に走るだけでもかなり大変です。
僕も、冒険者活動しているとはいえ普段はあまり走らないからなあ。
「キャンキャン!」
「キュキュー!」
因みに、クロちゃんも一緒に走ってくれるそうです。
ドラちゃんも、僕の後ろから空を飛んでついてくるそうです。
ものは試しってことで、先ずは無理のないペースで走ってみます。
たったったっ。
「やっぱり、オラクル公爵家の庭はとても広いなあ。木々も綺麗だし、見ていて飽きないね」
「キャン!」
「キュー」
庭木も丁寧に剪定されていて、石畳だからとても走りやすいです。
こうして、五分間走ってスタート地点の屋敷前まで戻ってきました。
うん、やっぱり大回りすると屋敷がとても広いと実感します。
続いて剣の訓練ですけど、これもヘンリーさんから教わりました。
暫くは、型の素振りをきっちりやった方が良いと言われました。
教官は、スラちゃんがやってくれます。
ヒュン、ヒュン。
「いち、に、いち、に」
「そうそう、いい感じよ。最初は丁寧にやることを意識した方が良いわ」
レガリアさんも、僕に色々と教えてくれます。
レガリアさんは、実はナンシーさんに基本的な剣の使い方を教えたそうです。
剣初心者の僕にとっては、とっても心強いですね。
こうして、型の練習が終わったところで食堂に向かいました。
「毎朝三十分くらいだけど、続けることを意識した方が良いわ。ナンシーは昔から朝が弱くて、訓練時間に遅れることも多々あったわね」
レガリアさんが苦笑しながら教えてくれたけど、今日もナンシーさんはまだ起きて来ていません。
もう仕方のないことだとレガリアさんは言っているけど、ナンシーさんも何か行事とか公務で朝早い時はきっちり起きるそうです。
なので、今のところ問題は起きていないそうです。
「あと、もう少しナオ君の剣のレベルが上がったら、今の体格に合った剣を用意しましょうね。流石にダガーだとちょっと短いわ」
レガリアさんの提案に、スラちゃんもうんうんと頷いていました。
僕が使っている木剣と同じ長さの剣がいいそうなので、もっと頑張って扱えるようにしよう。
あと、訓練用の木剣は早めに幾つか購入するそうです。
というのも、木剣は消耗品で折れることも考慮に入れないと言っていました。
手合わせが始まれば、木剣は何本も折れるそうです。
「あと、剣の練習をするのはナオ君のためになるのよ。というのも、特に貴族当主は剣を扱えることが必須って言われているのよ。何かあった時に、自分の身を守るためにね」
「あっ、そういえば王城でも剣を下げている人がいました。でも、王城だったら安心な気もしますよ」
「意外とそうでもないのよ。対立する勢力と揉めて、刃傷沙汰になることも過去にあったそうよ」
自分の身を守るためにも、ある程度の力は必要なんだ。
貴族も、冒険者みたいに中々大変ですね。
「おはよー」
「はよー」
そう思っていたら、ようやくナンシーさんが食堂に姿を現しました。
いつも通り、ねむねむな感じですね。
セードルフちゃんもちょっと眠そうな感じで現れたけど、オラクル公爵家の血の影響なのかな?
でも、ルルちゃんは朝から元気いっぱいで今も朝食の離乳食をもりもりと食べているし、個人差はあるのかもしれません。
そう思いながら、朝食を食べました。
さてさて、今日は一日勉強する日です。
ある程度勉強したら、セードルフちゃんとルルちゃんと遊ぶんだろうなと思っています。
「「キューキュー……」」
そして、ドラちゃんとクロちゃんが悲しそうに鳴いているけど、この後スラちゃんが二匹に勉強を教えることになっています。
誰だって、勉強は嫌だもんね。
「セードルフも、ルルちゃんに絵本を読んであげましょうね」
「はい!」
お兄ちゃん頑張り中のセードルフちゃんは、イザベルさんに元気よく手をあげていました。
でも、こちらも途中でリーフちゃんの助太刀が入ります。
因みに、ルルちゃんのスライムのソラちゃんもドラちゃんとクロちゃんと一緒に勉強するからちょっとへこんでいました。
みんな、今日は勉強する日になりそうですね。




