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幼馴染冒険者パーティを追放されたら、勇者パーティに拾われちゃった  作者: 藤なごみ


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第百七十二話 いきなりの剣技訓練

 翌日の午後、僕は何故か軍の訓練施設にいて、木剣を構えてヘンリーさんと対峙していました。


「さあナオ君、遠慮せずに打ち込んできて。身体能力強化魔法も使っていいよ」


 うん、何でこんなことになったのだろうか。

 少し時間をさかのぼります。

 今日は午前中は引き続き軍の施設で連行した邪神教関連者の聴取が行われていて、朝早くからスラちゃんとドラちゃんが軍の施設に行っていました。

 ナンシーさんも王城に行っているので、午前中は勉強をしていました。

 すると、昼食時にスラちゃんとドラちゃんがオラクル公爵家に戻って来て、なにやらヘンリーさんが僕に用事があるから軍の施設に来てほしいらしかった。

 なんだろうなと思いつつ馬車に乗って軍の施設に向かうと、何故かいつもの会議室ではなく訓練施設に案内されました。

 ヘンリーさんを始めとするいつもの面々がいたけど、ここでもなんだろうなと思いました。


「ヘンリーさん、連行したものへの聴取は終わったのですか?」

「引き続き行っているが、末端にいる連中だ。新しい情報はあまりなかったよ」


 あれ?

 ヘンリーさんもスラちゃんも、ふるふるとそうではないと否定した。

 聴取で何かあったわけではないと言うけど、じゃあいったい何だろう?

 すると、ヘンリーさんが僕に少し短めな木剣を渡してきた。

 そして、自分自身も木剣を手にした。

 えっと、これはどういう状況なのだろうか?


「ナオ君に剣技の必要性が出てきたので、現時点での力を見ようということになった。力が分かったところで、訓練メニューを組むことになった」


 これは、昨日冒険者ギルドで言われたことの話の続きなんだ。

 そういえば、ヘンリーさんとエミリーさんが張り切っているって聞いたけど、僕的には張り切りすぎな気がします。

 そして、ヘンリーさんは僕に木剣を突き出しました。

 こうして、最初の状況に戻ります。

 うん、迷っては駄目な気がします。

 今まで目の前で見てきた、ヘンリーさん、ナンシーさん、エミリーさんの剣技を思い出して打ち込むことにします。

 身体能力強化を使ってもいいって言ったし、何よりも目の前にいるのは勇者様です。

 そう思い、僕は木剣を構えて一気にヘンリーさんに突っ込んでいきました。


 カンカンカン!


「えい、やあ!」

「いいよ、どんどん打ってこい」


 僕の全力の剣撃を、ヘンリーさんは余裕の表情で受け止めています。

 それでも、僕は負けじと今まで見た剣撃を思い出して全力で木剣を振います。

 時々ヘンリーさんが鋭く反撃してくるけど、身体能力強化のおかげか何とか受け止めることができました。


「そこまで!」

「はあはあはあ……」


 こうして、ヘンリーさんとの五分間の手合わせが終了しました。

 僕は全力で動いた反動かかなり疲れてしまい、思わずぺたりと座り込んでしまいました。

 対して、ヘンリーさんは汗ひとつかいておらず、とても涼しげな表情をしていました。

 ヘンリーさんの剣技はとんでもなく凄いんだと、改めて感じました。

 でも、なぜか他の人たちは少しびっくりした表情をしていました。

 うーん、僕が下手くそでボロボロだったからかな?

 そんなことを思っていたら、ヘンリーさんが僕に話しかけてきました。


「ナオ君、さっきの剣撃は何かを参考にしていたのかな?」

「あっ、はい。いつも僕の目の前で皆さんが剣を振るっていたので、その動きを参考にしてみました。今までは、ちょこっとだけ素振りをしただけです」

「そうか、そうか……」


 今度は、ヘンリーさんがもの凄く悩んでいました。

 えーっと、僕が何か変なことを言っちゃったかな?

 すると、ちょっと苦笑しながらシンシアさんが話をしてくれました。


「みんな、ナオ君の手合わせが凄くて驚いているのよ。でも、その要因が分かって良かったわ。ナオ君は模倣能力に優れているのよ。特にヘンリーとナンシーの剣術は一級品だから、真似をした人が凄いのもあったのね。もちろん、ナオ君の身体能力強化魔法も凄いってのもあるわ」


 スラちゃんもうんうんとシンシアさんの意見に頷いていたけど、ようは僕は真似をする能力が凄いんだって。

 でも、僕もお母さんやサマンサお姉ちゃんのような打撃や投げ技は真似できないと思います。


「あっ、ちょっとだけ前にお父さんに剣を習ったことがあります。本当にちょっとだけでしたけど」

「きっと、その効果もあるのだろう。ナオ君にとってはちょっとだけでもね」


 ヘンリーさんも、色々と納得したような表情に変わりました。

 そして、僕の今後の剣の訓練方法が決まったみたいです。


「一つは、体力をつけること。走り込みをしてもいいだろう。二つ目は、毎朝剣の基礎訓練をすることだ。今日使った木剣をあげるから、できるだけ毎日頑張るように。そして三つ目は、時間がある時にここにいるメンバーと手合わせをしよう。ナオ君は手合わせを重ねることによってどんどんと成長するタイプだ。できるだけ、上級者と手合わせした方がいい」


 ふむふむと、僕だけでなく他の人も頷いていました。

 確かに僕は体力がないのが大きな欠点だったし、明日から早速走り込みをしよう。

 ちなみに、基本訓練はこの後教えてくれるそうです。

 すると、ヘンリーさんがびっくりすることを教えてくれました。


「そうそう、スラちゃんも中々の剣技を使うよ。今度相手をしてもらうといい」


 はっ?

 って思い、僕はばっとスラちゃんの方を見ました。

 すると、スラちゃんがアイテムボックスからシュッとダガー型の木剣を取り出しました。

 スラちゃんは、本当に何でもできるスライムだよね。

 これで終わりかなと思ったら、今度はエミリーさんがウキウキしながら木剣を手に僕の前に現れました。

 ナンシーさんも、既に木剣を手にしてスタンバイしていました。

 こうして、僕は夕方になるまで代わる代わる手合わせをすることに。

 訓練初日にしては、かなりハードな内容だと思っちゃいました。

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