第百六十五話 クロちゃんの活躍と怪しい噂
翌日は、ヘンリーさんとスラちゃんが連行した人の聴取を行うそうです。
基本はいつも通りもう一回浄化魔法をかけて、それから聴取です。
素直に聴取に従わない場合は、スラちゃんの催眠術使用許可が出ています。
ヘンリーさんとスラちゃんにかかれば、連行した人から聞き出せない情報はないですね。
なので、商店街の浄化作業は残りの僕たちで行います。
一晩寝たから、昨日消費した体力と魔力もバッチリ回復しています。
ドラちゃんとクロちゃんと一緒に、頑張って浄化作業を進めましょう。
「キャンキャン!」
「本当にクロちゃんの鼻の良さは凄いわね。今日作業する場所をピタリと当てるわ」
「キャン!」
バッチリ仕事をしたと得意げなクロちゃんの頭を、シンシアさんが褒めながら撫でていました。
クロちゃんもみんなに褒められるのが嬉しいので、とっても張り切っちゃうんだよね。
その間に、僕とドラちゃんが建物の浄化を行います。
ドラちゃんも、クロちゃんに負けじと張り切っています。
今日はそんなに難しくない場所ばかりなので、僕とドラちゃんでどんどんと作業していきます。
でも、朽ちている建物が多いので、見るとちょっと悲しくなっちゃいます。
「あの場所が摘発されたのね。前々から怪しいって思っていたのよ」
「黒尽くめの、如何にも怪しいってのがいたわよね」
「こうして、勇者様が街の平和を維持してくれて本当に助かっているわ」
ナンシーさんとエミリーさんは手が空いたら町の人から話を聞いていたけど、何だかおばちゃんのお喋りが止まらなくなっちゃったよ。
流石、おばちゃんパワーは凄いです。
でも、こうして僕たちの活動が評価されるのってとても嬉しいですね。
町の人にとって、ヘンリーさんたち王族が率先して動いているのはとても良いことだと思っているそうです。
すると、おばちゃんがあることを言ってきました。
「そうそう、確か町の南側にも怪しい人が出入りするところがあったわね」
「あっ、そうよね。確か建築工務店の近くだったわ」
「この前摘発されたところと同じ感じだったわね、怪しいのが入っていたわ」
おお、中々有力な情報を得たよ。
おばちゃんの情報網って、本当に凄いんだね。
大体の場所は分かったので、僕たちが商店街の浄化をしている間に他の兵に場所を特定して貰います。
こうして、午前中は問題なく作業が進みました。
報告を兼ねて昼食を食べるために、一旦王城に戻ります。
「キャンキャン!」
「クロちゃんがんばったんだー! すごーい!」
「すおーい!」
食堂でクロちゃんのことを、アーサーちゃんとエドガーちゃんがニコニコしながら頭を撫でていました。
プリンちゃんとブドウちゃんもクロちゃんの頭にぴょんと飛び乗って撫で撫でしていたけど、午前中頑張ったのは間違いないもんね。
その間に、僕たちは昼食を食べながら意見交換を行います。
「その工務店近くにある怪しいところに、何かある可能性は高そうだ。実は、今日の聴取結果で町の南に小さなアジトがあるということが分かった」
「となると、邪神教の拠点の可能性が高そうね。念の為に、スラちゃんにもいてもらった方が良いわね」
「午後からは私も参加しよう。何かある可能性は高いだろう」
ヘンリーさんとシンシアさんが話をしていて、午後からヘンリーさんとスラちゃんも参加することになりました。
実は聴取は一通り終わって、情報分析中だそうです。
うーん、何か引っかかるなあ。
昨日は王城から見て東側で、今日は王城から見て南側に怪しいところを見つけました。
えーっと、もしかして……
「ヘンリーさん、王城の北側と西側にも邪神教の拠点があるんじゃないでしょうか?」
「ナオ君、良い視点だね。どうも邪神教は、王城を取り囲むように拠点を作っているみたいだよ」
何の目的かはまだ分からないけど、拠点があるっぽい話は出てきたそうです。
さっそく兵を調査に向かわせているみたいだけど、碌なことを考えていなさそうです。
でも、拠点を潰せば邪神教も少しは大人しくなるかもしれません。
というか、大人しくなって欲しいです。
「奉仕活動をして情報を集める件だが、この四つの拠点を制圧してからになる。早ければ、今週末の安息日に行うことになった。元々お祖母様が行う奉仕活動が予定されているから、一緒にやろうという話になった」
「シャーロットさんの奉仕活動なら、間違いなくたくさんの人が集まりますね」
「そういうことだ。クロちゃんに怪しいものを見つけてもらい、更に聴取を行う」
クロちゃんの鼻の良さなら、ダークシャドウの微かな臭いも嗅ぎ分けられます。
集まった人への聞き込みと合わせれば、きっとかなりの効果が出るはずです。
こうして、色々なことを話しながら昼食は進みました。
クロちゃんは、ご褒美にとても美味しいお肉を貰ってとても上機嫌でした。
フルメンバーになったところで、午後のお仕事開始です。




