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幼馴染冒険者パーティを追放されたら、勇者パーティに拾われちゃった  作者: 藤なごみ


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第百五十三話 フィース子爵を撃破

 そして、ヘンリーさんがまたフィース子爵に質問しました。


「なぜ、ナオ君の実家にちょっかいを出した?」

「ちょっかいだなんてとんでもない。私は、自分に対立する可能性のある貴族の勢いを削ぐようにしただけです。貴族なら、誰もが考えることですよ」


 なんというか、言っていることが滅茶苦茶ですね。

 でも、ほぼ僕の実家にちょっかいを出したのを認めたことにもなった。

 怒りを堪えつつ、なおもヘンリーさんがフィース子爵に核心的な質問をした。


「なぜ、邪神教に手を出した?」

「おやおや、流石はヘンリー殿下だ。そこまで調べられているとは。なに、これも同じですよ。あくまでも、自分の力を伸ばすためのツールに過ぎません。少々毒は強いですが、その分効果は大きいですよ」


 フィース子爵は、あっさりと邪神教に手を出したことを認めた。

 しかも、さも当たり前のように言っているけど、やっていることはとても悪いことです。

 それを自覚して、それでも邪神教に手を出していたなんて。

 だけど、ヘンリーさんは冷静にフィース子爵に指摘した。


「哀れだな。結局は、自分に実力が無いから邪神教に手を出さざるを得ないということに気がついていない。ナオのように、本当に実力があるものは何もしなくても地位を得るものだよ」

「なに?」


 ヘンリーさんの指摘に、フィース子爵は表情を歪めていた。

 僕のことはともかくとして、謁見の際に聞いた話と同じです。

 そして、ヘンリーさんは更に畳み掛けていきました。


「『自分は実力があるのに、なぜ地位を得ることができないのだろうか?』と思っているだろうが、結局はフィース子爵に実力も何もないだけの話だ。ただの自信過剰な話だが、周りにとっては迷惑な話しかない」


 結局自分の弱さを無視しているか、気がついていないだけの話だとヘンリーさんはバッサリと切り捨てた。

 正直な話、これ以上本人に説明しても全く効果ないと思うけどなあ。

 すると、フィース子爵は下を向きながらプルプルと震えていた。


「……さい」

「うん?」

「うるさいって、言っているんだよーーー!」


 フィース子爵は、表情を一変させて叫び始めた。

 まるで、子どもが駄々をこねているみたいですね。

 僕たちは、警戒しつつかなり呆れていました。


「どうして、みんな俺に注意するんだ! どうしてだーーー!」


 この姿が、フィース子爵の本当の姿なのだろう。

 恐らく、亡くなったフィース子爵の両親も本人にずっと注意していたんだね。

 すると、フィース子爵が胸元からポーション瓶みたいなものを取り出した。

 そして、中の真っ黒な液体を飲み干した。

 一瞬の行動で、誰も止めることができなかった。


「殺す、殺す、殺す殺す殺ーーす! うがーーー!」


 ミシミシミシ、ビリッ!


 突然フィース子爵の目が真っ赤になり全身の血管が浮かび上がったかと思ったら、筋肉が浮かび上がって服が破けていった。

 フィース子爵は細身なのに、今は兵みたく筋肉ムキムキだ。

 それに、よどみを身体から放っていた。


「フウフウフウ……」


 まるで獣みたいに目をギラつかせるフィース子爵に少し後ずさりしたけど、直ぐにヘンリーさんが僕たちに指示を出した。


「ナオ君たちは浄化の準備を、他のものはフィース子爵の動きを止めるぞ。フィース子爵が多少怪我しても治療できるから気にするな」

「「「はい!」」」


 僕とスラちゃん、そしてドラちゃんは、魔力を溜めることに専念します。

 その間、ヘンリーさんたちが変貌したフィース子爵の動きを止めます。


「グガァ!」


 ブオン、ガキン!


「そこそこ威力はあるけど、そこそこレベルでしかないわ」


 フィース子爵が思いっきりパンチを繰り出すけど、シンシアさんの魔法障壁であっさりと止まっちゃいました。

 元の筋力があまりないからなのか、大した威力じゃないみたいです。

 他の人も、上手く分散しながらフィース子爵を挑発していました。

 そして、この戦いで一番活躍したのがサマンサお姉ちゃんでした。


「とりゃー!」


 ダッ、ドカン!

 ズサー。


「ウガァー!」


 まず、渾身のドロップキックでフィース子爵を思いっきり吹き飛ばします。

 うん、五メートル近く吹き飛んだね。

 更に、サマンサお姉ちゃんの攻撃は続きます。


 ガシッ、ブオン、ブオン、ブオン!


「えーい!」

「グガァーーー!」


 今度は、フィース子爵の両足を持ってジャイアントスイングをかけて投げ飛ばしました。

 うーん、またもやフィース子爵が五メートル吹き飛んだよ。

 既にふらふらのフィース子爵に、サマンサお姉ちゃんが痛恨の一撃を食らわせました。


「これで終わりよ!」


 ダッ、バキン!


「グフゥ……」


 ドサッ。


 サマンサお姉ちゃん渾身のジャンピングニーが炸裂し、フィース子爵は膝から崩れ落ちました。

 ピクピクと痙攣しているけど、フィース子爵生きているかな……

 とても心配になりながら、僕たちは浄化魔法を放ちました。


 シュイン、ぴかー!


「グフッ、グフ……」


 異常に盛り上がっていた筋肉は元に戻ったけど、逆にガリガリになっちゃいました。

 シアちゃんが間髪入れずに回復魔法をかけたけど、これ以上は駄目だとふるふるとしていました。

 生きているのは間違いないそうです。

 でも、ヘンリーさんはどこか冷めたような声をしていました。


「暗黒杯の力を得ようよした結果だ、自業自得としか言いようがないだろう。重犯罪者牢に入れて、厳しく尋問するように」

「「「はっ」」」


 もはや相手にするのも嫌な表情で、ヘンリーさんは兵に指示を出しました。

 兵も、ガリガリになったフィース子爵を担架に乗せて屋敷から運んでいきました。

 そして、直ぐに捜査が始まりました。

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