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幼馴染冒険者パーティを追放されたら、勇者パーティに拾われちゃった  作者: 藤なごみ


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第百四十八話 スラちゃんの催眠術

 ズルズルズル。


「痛い痛い! 引っ張るな!」


 このままだと冒険者ギルドの邪魔になるので、女性陣がボンバー伯爵をギルドの個室に連れて行きました。

 もちろん、個室は兵によって厳重に警備されます。

 ボンバー伯爵の使用人とかも、既に捕まって別の個室に入れられました。

 そして、ここでもう一匹激怒しているものがある行動に出ました。

 スラちゃんがボンバー伯爵の前に移動して、触手を二本出してボンバー伯爵の前でくるくると輪を描くように動き始めました。


「うん? なんだこのスライム……」


 くるくるくる。

 みょんみょんみょんみょーん。


 ガクッ。


 突然後ろ手に縛られて床に座っていたボンバー伯爵が、ガクリと頭を下げたのだ。

 いったい何があったのかなと思ったけど、ヘンリーさんは直ぐにスラちゃんのやった意図に気がついたみたいだ。

 ヘンリーさんは、反応がないボンバー伯爵に質問し始めた。


「ボンバー伯爵、娘をブレアの嫁にしてどうするつもりだったのか?」

「そんなの決まっている。王族を皆殺しにして娘の子どもを王とし、ボンバー帝国を作り上げるのだ。いつも俺のやり方に反対しおって、王族の奴らよ今に見ておれ。最悪、王族の男子を皆殺しにした後にエミリーを息子に嫁がせても良いな」

「「「なっ!」」」


 突然ボンバー伯爵がとんでもないことを話し始めたので、シンシアさんたち女性陣はびっくりしちゃった。

 途方もない計画を立てていたなんて。

 でも、ヘンリーさんはまだボンバー伯爵に話しかけていた。


「どうやって王家のものを殺害しようとしたのか?」

「ふふふ、既に毒は手に入れてあるぞ。娘をブレアの嫁にしたら、どこかの夜会で皆殺しにしてやる」


 ここまできて、ようやく僕にもなぜボンバー伯爵がペラペラと話しているのかが分かった。

 スラちゃんが、ボンバー伯爵に催眠術をかけたんだ。

 スラちゃん、とんでもない技を覚えたんだ……

 そして、殺害の具体的な方法も出てきたので、ヘンリーさんの表情もかなり険しくなった。


「因みに、ナンシーたちをどうにかするつもりだったのか?」

「逆らってばかりいるが、容姿は一級品だ。俺の妾にして、たっぷりと可愛がってやろうじゃないか」

「こいつ、殴り飛ばしていいかな。いい加減私も腹が立ったのだけど……」


 あっ、ナンシーさんだけでなく女性陣全員が怒りに震えているよ。

 続きはまた今度ってことにして、ヘンリーさんが通信用魔導具で各所に連絡してからスラちゃんが触手を叩いて催眠術を解いた。


 パン!

 ガバッ。


「うん? な、なんだ? あっ、思い出したぞ、さっさと俺を解放しろ!」


 急にボンバー伯爵が顔を上げたので、ちょっとびっくりしちゃった。

 どうやらボンバー伯爵は、スラちゃんの催眠術にかかったことは何も覚えていないみたいだ。

 何だか滑稽なものを見ている感じだよ。


 ガチャ。


「ヘンリー様、連行用の馬車が到着しました」

「では、重犯罪者牢へ投獄して尋問を行うように」

「はっ」

「なっ、重犯罪者の牢屋だと!?」


 兵は直ぐにボンバー伯爵を連行していった。

 ぽっちゃりを超えた体型だから、運ぶのもとても大変そうだ。

 僕たちもボンバー伯爵の屋敷に向かわないと行けないので、全員で個室をでた。

 すると、ギルドマスターが僕たちを待っていた。


「いま、馬鹿が指示した依頼がないか確認している。直ぐに連絡するぞ」

「ギルドマスター、宜しくお願いします」

「おう、任せとけ。俺もあの馬鹿には頭にきていたんだ」


 そっか、ボンバー伯爵とその一味が冒険者に何か依頼をかけているのかもしれない。

 犯罪者からの依頼になるので依頼は全停止になるし、どっちにしても確認しないと駄目だそうです。

 では、僕たちも馬車に乗り込んでボンバー伯爵家に向かいます。


「ヘンリーさん、これで毒が出てきたらボンバー伯爵の罪は決定的になりますよね?」

「とんでもない妄想だったが、妄想で収めておけば話は違った。毒に手を出したとなれば、奴らの罪は国家反逆罪になる」


 去年から感じていたけど、一部の貴族の権力欲って本当に酷いよね。

 叶いそうもない妄想ばかり膨らませて、現実を見ていないよね。

 更に、邪神教にまで手を出している人もいます。

 目的を叶えるためには手段を選ばないのは、絶対に良くないと思います。

 すると、ヘンリーさんの通信用魔導具に連絡が入りました。


「ボンバー伯爵の執務室から、複数の毒が見つかったそうだ。あと、自分に協力する貴族のリストも見つけたという」

「となると、これから複数の貴族家に捜査の手が入りますね」

「少なくとも、当主は連行して聴取をしないとならないだろう。もちろん、屋敷も調べることになる」


 なんというか、想像以上に大きな事件になっちゃったよ。

 あっさりと本人が自爆してくれたお陰で、最悪の事態は免れそうです。

 でも、僕の家族に危害を加えようとしたことは絶対に許さないよ。

 多くの人が迷惑を被ったのだから、キチンと反省してもらわないと。

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