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幼馴染冒険者パーティを追放されたら、勇者パーティに拾われちゃった  作者: 藤なごみ


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第百四十六話 サマンサお姉ちゃんと共に森へ

 翌朝、僕が起きると既にサマンサお姉ちゃんも起きていました。

 着替えをしていて、既にやる気満々です。


「おはよー、サマンサお姉ちゃん」

「ナオ、おはよう。久々にナオと一緒に寝たから、ぐっすり眠れたわ」


 サマンサお姉ちゃんは満面の笑みだったけど、確かに僕と一緒に寝ていたのはあの三人に強引に冒険者にさせられる前だから一年以上前のことなんだよね。

 そう思いながら、僕も服を着替えます。

 ドラちゃんも、もそもそと起きてきました。


「あー」

「そう、美味しいのね」

「あー!」


 サマンサお姉ちゃんと一緒に食堂に行くと、ご機嫌な様子で離乳食を食べているルルちゃんの姿がありました。

 今日もモリモリと食べているので、イザベルさんも思わずニッコリです。

 僕も席に着いて朝食を食べます。


「ルルちゃんは本当に美味しそうに食べますね。ナオは小さい頃本当に食べなくて、母さんも苦労していましたわ」

「あら、そうなのね。でも、確かに我が家に来た時のナオ君は食が細かったわね」


 僕も学習しました。

 サマンサお姉ちゃんが僕のことを話す時は、もう僕には止められないってことを。

 なので、今もサマンサお姉ちゃんとイザベルさんが仲良く話をしているけど、目の前のパンに意識を集中します。


「「おはよ……」」


 こうして、サマンサお姉ちゃんのお話はいつも朝はねむねむなナンシーさんとセードルフちゃんがやってくるまで続きました。

 しかし、朝食を食べ終えて出発準備を整えたところで、再びサマンサお姉ちゃんのお話が始まってしまいました。


「おはようございます、サマンサお義姉様」

「おはようございます、エミリー様」

「あの、せめて一緒にいる時は様なしでお願いしますわ」


 屋敷の庭に馬車に乗ってきたエミリーさんがやってきたのだけど、何だか文字が違うのは気のせいでしょうか。

 サマンサお姉ちゃんも普通に返事をしているし、気にしないようにしましょう。

 すると、セードルフちゃんがこんなことを言っちゃいました。


「きのーね、ナオにーにの話をいっぱい聞いちゃった!」

「な、なんですの!」


 きっとセードルフちゃんはただお話が聞けて嬉しいとアピールしただけなんだけど、エミリーさんにとってはかなり羨ましかったみたいです。

 エミリーさんにしては珍しく驚愕の表情を見せた後、サマンサお姉ちゃんに再び近づきました。


「お、お義姉様、私にもナオの昔話を聞かせて下さいませ」

「ええ、もちろんよ。小さい頃のナオが、私のベッドで一緒に寝ようと枕を持ちながら言ってきた話なんかはどうかしら?」

「な、なんと素晴らしい話じゃないですか。ぜひ聞かせて下さいまし」


 何だか、こんなエミリーさんを初めて見るくらいヒートアップしちゃったよ。

 しかもその話は、お母さんが双子を妊娠していて大変だったから、サマンサお姉ちゃんと一緒に寝ていただけの話な気がします。

 こんな話を馬車内でして盛り上がりながら、王都近郊の森に到着しました。


「今日はこの森の浄化を行いながら害獣駆除をして、時間が余ったら住宅街のよどみの浄化を行うわ。よどみって、溜まりやすいところは浄化しても直ぐに溜まっちゃうのよ」

「ふふ、じゃあお姉ちゃんが頑張る弟のことを守ってあげるわね」


 ナンシーさんが僕たちに説明する横で、サマンサお姉ちゃんも準備を始めていました。

 サマンサお姉ちゃんは魔法使いだけど前衛格闘家でもあるので、ごっついガントレットと足あてをつけています。

 後は、皮の胸当てと長袖半ズボンでタイツを履くという動きやすい軽装です。

 この格好だと、ぱっと見で魔法使いと分からないでしょうね。

 では、最初にいつも通り広範囲探索魔法でどのくらい動物や魔物がいるかを確認します。


 シュイン、ぴかー!


「あっ、直ぐ近くでオオカミっぽい集団の反応がありました。もう少し先にもオオカミの集団みたいなものがあります」

「ナオ君は流石ね。じゃあ、ナオ君は浄化に専念して私たちでオオカミを倒しちゃいましょう」

「「「了解!」」」


 ナンシーさんの指示で、近衛騎士も含めて一斉に戦闘態勢を取りました。

 サマンサお姉ちゃんも、拳を合わせながらやる気満々です。

 その間に、僕たちは探索魔法を使って周囲を確認することに徹します。


「「「グルル……」

「早速お客さんが来たわね。浄化はもう少し森の中に入ってから行うから、ナオ君たちに魔法を使わせないようにしましょう」


 森に入ると、直ぐに探索魔法に引っかかったオオカミの群れと遭遇しました。

 街道を通行する人を襲わないように、ここは全頭倒します。

 ナンシーさんの指示で、一気にみんなが動き始めました。


 シュッ、バキッ、バキ!


「せい、やあ!」

「「「ギャン!」」」


 サマンサお姉ちゃんは強力な身体能力強化を使って縦横無尽に高速で動き、オオカミを次々と蹴り飛ばしていきます。

 もちろん、査定額が良いようにとオオカミの頭部を狙っています。

 エミリーさんとナンシーさんも次々とオオカミを倒していくけど、単純にオオカミを倒す速さはサマンサお姉ちゃんの方が上です。

 うーん、僕は魔法はともかくとして物理攻撃は全然弱々な冒険者だけど、サマンサお姉ちゃんって単純な攻撃力だったらエミリーさんやナンシーさんと同レベルなのかもしれないね。

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