第百三十九話 みんなで空の旅を体験します
ゆさゆさゆさ、ゆさゆさゆさ。
「うーん……」
「「朝だよー! 起きてー!」」
ゆさゆさゆさ、ゆさゆさゆさ。
えーっと、ここは僕の実家で、昨日はカエラとキースと一緒に寝て……
二人が僕のことを揺すっているけど、今は何時だろう?
アイテムボックスから懐中時計を取り出して……
「二人とも、まだ六時だよ。もう少し寝ていないかい?」
「「起きるー!」」
うん、二人が僕を寝かせてくれることはなさそうですね。
諦めて、僕はベッドからむくって起き上がりました。
スラちゃんはこの騒動で起きちゃったみたいだけど、ドラちゃんはまだ寝ています。
無理やり起こすのは可哀想だから、朝食まで寝かせてあげましょう。
「「おはよー!」」
「おはよう……」
「おはよう。あら、ナオはまだ眠そうね」
元気な二人とは対照的な僕の姿を見て、お母さんは思わずくすくすとしていました。
というか、お母さんっていつもこんなに早く起きていたんだ。
席に座って今日は何をしようかなと考えていたら、二人がキラキラした瞳で僕に話しかけてきました。
「「ドラちゃんに乗りたい!」」
どうやら二人は、僕たちがドラちゃんに乗っているのが羨ましいみたいですね。
体格的には問題ないけど、念の為にお母さんに聞いてみよう。
「乗れるんだったら良いわよ。珍しいことだから、経験しないとね」
「「わーい!」」
お母さんも冒険者だから、できることならどんどんとチャレンジする性格です。
お父さんの方が、どちらかというと守りの性格ですね。
あと、二人ともドラちゃんはまだ寝ているから、嬉しいからといって部屋に行って起こさないようにね。
そして、二人だけではなくもう一人ドラちゃんに乗りたいって言っている人がいました。
「せっかくだから、お姉ちゃんもドラちゃんに乗りたいわ。昨日はあっという間に終わっちゃったのよ」
「「いーよ!」」
サマンサお姉ちゃんも起きてきて、一緒にドラちゃんに乗ることに。
お姉ちゃんも、楽しいことは大好きなんだよね。
ということで、この後はドラちゃんに乗って空の旅をすることになりました。
朝食のタイミングで起きてきたドラちゃんに話をしたら、全然大丈夫だと言っていました。
シュイーン、ぴかー、
「グルル……」
「「「おおー、カッコいい!」」」
昼食後に家の前でドラちゃんが大きくなると、村の子どもたちも集まって大騒ぎです。
そして、カエラとキース、サマンサお姉ちゃん以外の子どもたちもドラちゃんの背中に乗っています。
大丈夫かなと思ったら、ちゃんとお母さんの許可を取ったみたいです。
バサッ、バサッ、バサッ!
「「「飛んだー!」」」
ドラちゃんが飛び上がると、背中に乗っている子どもたちは更に大興奮です。
そして、あっという間に見えなくなりました。
スラちゃんも同乗しているから、方向とかは大丈夫でしょう。
そして十分ほどの空の旅が終わって、ドラちゃんは再び家の前に着陸しました。
みんな大満足って表情をしながら、ドラちゃんの背中から降りてきました。
これで終わりかと思ったら、なんと今度は別の子どもとともにその子のお母さんもドラちゃんに乗り込みました。
「あなたは、ドラちゃんに乗らないの?」
「いや、俺はいい……」
八百屋さんのおかみさんがご主人に聞いていたけど、他の旦那さんたちもドラちゃんに乗ろうとしませんでした。
そして、またもやドラちゃんの空の旅が始まったけど、お母さんたちの方が楽しんでいました。
「面白そうなことをしているじゃないか。あたしも乗せてくれ」
三回目として冒険者ギルドのおばちゃんまでやってきたけど、解体担当の旦那さんは忙しいと断っていました。
更に様子を見に来た代官も、謹んでお断りしますと言ってドラちゃんに乗りませんでした。
流石にドラちゃんが疲れちゃうのでここまでにしたけど、ドラちゃんの空の旅はお母さんたちに大好評でした。
うーん、この村のお母さんって、みんな肝っ玉母さんなのかなって思っちゃったよ。
「「「まてー!」」」
「キュー!」
その後は、ドラちゃんはカエラとキースとともに村の子どもたちと仲良く遊んでいました。
みんな、すっかり仲良しになりましたね。
子どもの方が偏見を持たないから、直ぐに誰とでも仲良くなれます。
こうして、昼食の時間までとても楽しそうな声が響いていました。
因みに、ドラちゃんの背中に乗れるのは最低でも六歳以上ですね。
まだセードルフちゃん、アーサーちゃん、エドガーちゃんは残念ながら乗れなさそうです。
確か、シャーロットさんはドラちゃんに乗りたいと言っていたっけ。
でも、王太后様をドラちゃんに乗せて良いか、とっても判断に迷うよね。




