第百三十八話 不審者を王都に運びます
流石に話が大きくなってきちゃったので、冒険者ギルドに代官を呼びました。
でも、代官でも手に余るレベルだったのでバンザス伯爵に連絡してもらいました。
というか、スラちゃんがドラちゃんに乗って屋敷に向かい、筆談で話を聞いてきました。
すると、連絡をするから王城隣の軍の施設に連行して欲しいといわれました。
フィース子爵は、邪神教との関連が疑われて絶賛調査中の貴族だもんね。
ということで、みんなの力を借りて不審者を大きくなったドラちゃんの背中に乗せました。
すると、サマンサお姉ちゃんも一緒についてくるそうです。
ドラちゃんの背中には六人乗れるから、サマンサお姉ちゃんが乗っても大丈夫です。
「事件が起きた時のことを説明しないと駄目だわ。それに、大きくなったドラちゃんにお父さんは乗れないし」
サマンサお姉ちゃんが声をかけると、お父さんは真っ青な表情をしながらぶんぶんと首を振っていました。
前にドラちゃんに乗った時、ガクガクと震えていて大変だったもんね。
準備が整ったところで、僕たちは王都に向けて飛び立ちました。
「やっぱり王都は大きいわね。それに、あっという間に着いちゃったわ。もう少し、空の旅を楽しみたいわ」
僅か数分で軍の施設に着いちゃったので、サマンサお姉ちゃんは少し不満そうです。
時間があったら、思う存分ドラちゃんの空の旅を楽しめたら良いですね。
そして、不審者は兵によってあっという間に連れて行かれちゃいました。
流石は、屈強な兵ですね。
いつもの応接室にヘンリーさんたちがいるそうなので、兵の案内のもと僕たちも向かいました。
「ナオ君、せっかく実家に帰っていたのに災難だったね。お姉さんも座ってくれ」
部屋では、ヘンリーさんが苦笑しながら待っていてくれました。
僕も、実家に帰ったのにこんなにも忙しくなるとは思わなかったです。
そして、サマンサお姉ちゃんがヘンリーさんに何があったかを説明していました。
お姉ちゃんの説明を聞いて、ヘンリーさんも何があったかを直ぐに把握してくれました。
でも、一つだけ疑問に思っていました。
「その、不審者を投げ飛ばしたらしいが、ナオ君のお姉さんは魔法使いではないのかな?」
実は、サマンサお姉ちゃんは不審者を投げ飛ばしたりドロップキックで倒していました。
何を隠そう、サマンサお姉ちゃんは格闘系魔法使いなのです。
どんな武器も使えるけど、一番得意なのは殴る蹴るです。
もちろん魔法も凄くて、火属性と水属性の混合弾を相手にぶつけて、魔法ダメージプラス水蒸気爆発まで起こすという恐ろしい技を持っています。
この辺りは、全部お母さん直伝です。
お母さんも、前線で物理系攻撃と魔法攻撃を織り交ぜながら大暴れするタイプです。
説明をしたら、サマンサお姉ちゃんを見てヘンリーさんが若干引いちゃいました。
「取り敢えず、大体のことは分かった。もしまた馬鹿な奴が現れたら、軍の施設に運んでくれればいいよ」
ということで、これで一連の対応は終わりです。
取り調べの結果次第で色々と動きそうです。
後はヘンリーさんに任せて、僕とサマンサお姉ちゃんはドラちゃんに乗って実家に帰りました。
「「ただいまー」」
「おかえりなさい。大変だったわね」
既にお父さんが家に帰っていて説明してあるのか、お母さんは何事もなく僕とサマンサお姉ちゃんを迎えました。
すると、ドタバタと二つの足音が聞こえてきました。
「「おかえりー!」」
「ただいま、いい子にしていたかな?」
カエラとキースが、笑顔で抱きついてきました。
サマンサお姉ちゃんも、ニコリとしながら双子の頭を撫でています。
こうして、何だかんだでいつもと同じくらい忙しくなったけど、ようやく落ち着きました。
夕食までカエラとキースと遊んで、そしてお風呂に入りました。
「何だか、ゆっくりできなかったかも……」
「しょうがないわ。今日のはイレギュラーだったしね」
夕食を食べながらちょっと愚痴を零したけど、お母さんの言う通り今日は特別だったのかもしれないね。
明日は何も予定がないので、今度こそのんびりだらだらと過ごしたいです。
夕食後は就寝の時間なんだけど、カエラとキースが日中僕と一緒にいられなかったので一緒に寝ようとやってきました。
オラクル公爵家みたいに大きなベッドじゃないので、三人くっついています。
「「すー、すー……」」
すると、あっという間に二人は寝始めちゃいました。
僕も、今日は肉体的よりも精神的に疲れたなあって思いながら眠りにつきました。




