第百三十二話 三人のお兄ちゃん頑張る!
ペタペタ、ペタペタ。
「おっおっ!」
「ルルちゃん、まってー」
「キュー」
季節は冬になりました。
寒い日もやってきて氷が張る日もあるけど、今日もルルちゃんはとっても元気です。
ハイハイができるようになったので、屋敷の中を大探検しています。
本当に、元気いっぱいですね。
セードルフちゃんとドラちゃんとリーフちゃんが側についているけど、お構いなしに元気よくハイハイしています。
「ルルちゃん、こっちにおいで」
「あー!」
ルルちゃんはお兄ちゃんが大好きだけどお母さんも大好きなので、イザベルさんに呼ばれてハイハイで向かっていきました。
ヒョイッと抱っこされると、もうごきげんです。
「本当にルルは活発ね。目を離すと、直ぐにどっか行っちゃうんだから。セードルフの方が大人しかったわ」
「あうー」
イザベルさんはちょっと困り顔だけど、セードルフちゃんは赤ちゃんの時は大人しかったそうです。
今は元気いっぱいなので、ちょっと想像つかないですね。
そんな僕たちですけど、今日はこれから王城に行きます。
アーサーちゃんとエドガーちゃんに会いに行きます。
ルルちゃんも、別のお兄ちゃんに会えるのを楽しみにしています。
きっちりと防寒着を着て、寒くないようにしてから馬車に乗り込みました。
「ナオ君も、外で活動すると寒いでしょう。キチンと着ているの?」
「この前シャーロットさんに服を買ってもらいました。耳当てもつけています」
「そう、なら良かったわ。ナンシーも外出時はコートを着ているけど、やはり外は寒いから風邪引かないようにね」
イザベルさんが僕の服装を気にしてくれているけど、マフラーを付けたり暖かくなる魔導具を身に着けたりして対策しています。
スラちゃんとドラちゃんは、寒いのはへっちゃらなんだって。
寒がりな僕にとっては、とっても羨ましいです。
リーフちゃんも寒いのは大丈夫だけど、今はセードルフちゃんの服の中に潜ってちょこんと顔を出しています。
でも、オラクル公爵家から王城までとっても近いので、あっという間に到着しました。
今日はシャーロットさんに来客があるので、応接室で会うことに。
「あっ、ルルちゃんだ!」
「るるちゃ!」
既にみんなスタンバイしていて、アーサーちゃんもエドカーちゃんも直ぐにイザベルさんのところに駆け寄って行きました。
折角なので、ハイハイしても良いスペースにルルちゃんを下ろして、ちっちゃなお兄ちゃん三人で見守ることにしました。
スラちゃん、ドラちゃん、リーフちゃんも一緒にいるし使用人も見守っているので、きっと大丈夫ですね。
その間に、僕はマリアさんとイザベルさんとお話タイムです。
「今年一年色々あったけど、何とか無事に終わって良かったわ」
「邪神教関連もあったけど、イザベルの場合は出産でしょうね」
「出産も二回目だったから、何となく分かっていたわ。それよりも子育ての方が大変よ。ルルは本当に元気で良く動くし」
えーっと、最初からイザベルさんとマリアさんのお喋りになっちゃった。
しかも育児の苦労話で盛り上がってきたから、僕が会話に入る余地もありません。
ということで、僕もちびっ子たちのところに向かいました。
「あうあうあう!」
「わあ、そっちにいっちゃ駄目だよ」
「ルルちゃん、こっちだよ!」
「こっちー」
あらら、ルルちゃんは初めての場所なので好奇心が刺激されちゃったのだろう。
ハイハイしながら、ずんずんと部屋の中を進んでいた。
ちっちゃなお兄ちゃん三人のいうことは全く聞かず、自分のペースでハイハイしています。
でも、部屋の中だから安全だし、使用人もちびっ子たちの行動を微笑ましく見ています。
「あぶー」
「はいはい、ルルちゃんこっちだよ」
「あうっ」
「「「おー!」」」
こういう時は、前から呼んであげます。
すると、ルルちゃんは僕の方に一直線にハイハイしてきました。
三人もコツを掴んだのか、上手にルルちゃんのことを呼んであげました。
こうして暫く遊んであげると、今度は絵本を持ってきました。
ここは、お兄ちゃんであるセードルフちゃんがルルちゃんに絵本を呼んであげるみたいです。
アーサーちゃんも交代しながら絵本を読んでいたのですが……
「「「「すー、すー」」」」
「あらあら、一生懸命遊んでいたから疲れちゃったのかな」
「ルルも、たくさんのお兄ちゃんに遊んで貰ってよかったわね」
四人仲良く抱き合って寝ている姿に、マリアさんとイザベルさんも思わずニンマリです。
昼食まで一緒にいる予定なので、使用人も手分けして四人をマリアさんの部屋に運びました。
その後は、マリアさんの部屋でお喋り再開したけど、今度は僕がどんな冒険者生活をしているかが話の中心でした。
新人冒険者に薬草採取を教えたと言ったら、「ナオ君もお兄ちゃんなのね」って言われちゃいました。
こうして、昼食の時間まで三人でお喋りしていました。
ちなみに、ドラちゃんはいつの間にかすやすやと寝ている四人に寄り添って寝ていました。




