第百二十三話 今日は聖職者と浄化を行います
夏も過ぎて秋になっても、僕たちは普通に勇者パーティとしての仕事を続けていました。
領地に遠征に行くことは殆どなく、その代わりにひたすら浄化を行っていました。
その理由は、ヘンリーさんたちが公務でとても忙しくなってきたからです。
やっぱり王子様って大変なんだなって、そう思いました。
今日は、住宅街の浄化を行う為に、ナンシーさん、エミリーさんと一緒に行動します。
「人事関連で色々と動きがあったから、政務が増えちゃったんだよね」
「あの、賄賂をたくさんもらっていた人の件ですよね」
「そうなのよ。任命式とかなんやらで、結構忙しいんだよね。もうそろそろ落ち着くはずとは言っていたわ」
馬車内でナンシーさんが話をしていたけど、僕の地元も絡んだ人事不正の件でここまで大きな影響が出るとは思ってもいなかった。
更に軍や他のところにも協力者がいたので、体制を立て直す良い機会だと改革を断行しているそうです。
その影響で、最近はこのメンバーで行動することが多いです。
でも、浄化しなければいけないところはまだまだあるので、順々に進めていきます。
「正直、ナオ君程の強力な聖魔法が使える人がいなければ浄化できないところがたくさんあったのよ。教会にいる聖魔法使いでも対応できるところは行っているけど、そうは行かないのよ」
「それで、今日は教会の聖魔法使いの人が見学にくるんですね」
「普段ナオ君がどうやって浄化を行っているのか、見に来たいんだって。こういうことは、私たちも大歓迎よ」
今日は、教会の枢機卿でもあるシンシアさんのお父さんの依頼で、僕たちの仕事風景が見たいと依頼がありました。
なので、最初に馬車で教会に向かいます。
教会に着いて中に入ると、三人の教会聖職者が僕たちを待っていた。
女性のシスターさんだけでなく、二人の男性聖職者もいますね。
「皆さま、お待たせしました。本日同行させて頂きます聖魔法使いになります。どうぞ、よろしくお願いいたします」
「キュー!」
シスターさんが代表して挨拶をすると、ドラちゃんも可愛らしくお辞儀をしていました。
僕たちも挨拶をして、さっそく建物の浄化を行います。
最初は、意外にも教会内の倉庫でした。
「実はこの中に封印しているものがございまして、そちらを浄化して欲しいのです」
うん、シスターさんが倉庫を開けただけでいやーな感じがしてきました。
これは、一刻も早く浄化しないと駄目ですね。
でも、このくらいだったら僕だけでも大丈夫です。
ということで、さっそく作業を始めます。
シュイン、シュイン、ぴかー!
「おお、何という浄化の光なのだろうか……」
「これが、『白銀の竜使い』様の浄化の光なのか……」
倉庫内を浄化の光が包み、聖職者が僕の浄化魔法を見て驚いているけど、そんなに難しいことはしていないんだよね。
ということで、あっという間に浄化完了です。
どんな感じで浄化を行うかを簡単に説明して、次の浄化から実際にやってもらうことになりました。
場所は、またまた教会内の別の倉庫です。
さっきよりも淀みは弱いので、このくらいなら聖職者でもできるはずです。
スラちゃんとドラちゃんがサポートしてくれるそうなので、さっそく始めましょう。
「えーっと、こんな感じかな?」
「そうそう、いい感じです」
魔力制御やターゲットをどのようにして浄化するかなどを改めて説明して、実際にやってもらいました。
良い感じに浄化できたので、次の場所に移動します。
今度は町に移動して、色々な家やお店の浄化を行います。
教会から近いところらしく、歩いて現地に向かいました。
「こういう浄化できない店舗が、周囲に悪影響を及ぼすこともあります。なので、教会としても徐々にできる範囲から浄化を行う予定です」
「確かに、僕が浄化をした周辺は少し寂しい感じがしました。そういう所にも、人が住めるようになればいいですね」
「まさにその通りです。こうして皆さまに色々なところを浄化して頂き、私どもも感謝しております」
僕たちが凄い淀みを浄化すれば、後は教会で対応できます。
聖職者の浄化魔法がパワーアップすれば、より一層町の人も住みやすくなるね。
こうして、順に聖職者に浄化魔法を教えつつ、大変なところは僕たちで浄化を行いました。
今日の任務は無事に完了ですね。
手続きを終えて、僕とナンシーさんは屋敷に戻りました。
「「ただいま」」
「おかえりー!」
屋敷に帰ると、ニコニコのセードルフちゃんと頭の上に乗ったリーフちゃんが僕たちを出迎えてくれました。
どうやら、ルルちゃんのいる部屋にいたみたいです。
今日も、頑張ってお兄ちゃんしていますね。
「あのね、ルルちゃんコロンコロンしているんだよ!」
「ルルちゃんが、動くのが大好きなんだね」
「うん!」
僕も元気な双子の赤ちゃんのころを見た事があるけど、本当に赤ちゃんって動き始めると凄いんだよね。
そのうちにはいはいしたり歩き出したら、もっと屋敷の中が賑やかになるね。




