第百二十話 久々の家族団らん
暫く家族全員で話をしていたけど、僕があの三人と一緒にいた時の話がメインだった。
どうもあの三人の実家は露骨にみかじめ料を取り始めたらしく、自分は貴族だと言わんばかりの横柄な行動をしていたという。
「あの三家が有力な家だとして嫁や婿にいったものもいた。横領資金が使われた結婚なので、全員離婚されるだろう。もう、戻るべき実家はないがな」
「本人たちも、どういう経緯で得た資金か分かっているはずだわ。とにかく、これからは私たちも平穏に暮らせるはずよ」
代官と三人の実家にある高級品は全て没収されて、換金後に住民に返金されるそうです。
僕の実家は魔法使いでお金を得る手段があったからまだ良かったけど、中には搾り取られるようにされたところもあったそうです。
そういうところに、お父さんとお母さんが援助をしていたそうです。
地元はぎりぎりの状態だったけど、あの代官と三家は潰さない程度にしていたらしいです。
悪い事だけ頭がまわりますね。
この辺は、僕たちが教会で治療している間に全部ヘンリーさんとバンザス伯爵に報告しているそうです。
いずれにせよ、これで地元の多くの問題が片付きそうですね。
「そうそう、ヘンリー様がナオのことをとても褒めていたぞ。一生懸命になりすぎているところはあるが、常に頑張ってくれるってな」
「ナオは、昔から一生懸命になっちゃうところがあるもんね。あまり肩ひじ張らずに、程々にすることも必要よ」
あらら、お母さんから注意されちゃった。
スラちゃんもその通りって、ふるふると震えていました。
僕も、頑張りすぎない程度にやらないと駄目ですね。
「「すー、すー」」
「キュー、キュー」
そして、カエラとキースはいつの間にかドラちゃんと一緒にお昼寝をしていました。
ふかふかのベッドは、とっても気持ちいいですね。
サマンサお姉ちゃんは、双子とドラちゃんの頭を優しく撫でていました。
僕たちも少しやすんで、それからお風呂に入ります。
「「うわー、美味しそう!」」
「ははは、元気があって結構だ。せっかくだから、料理人に美味しいものをと頼んでおいたぞ」
夕食になったので食堂に行くと、とても美味しそうな料理が並んでいました。
王城から帰ってきたランディさんも、何故か上機嫌です。
「いやあ、あの捕まったオオワル伯爵は意外と偽装工作が上手かったんだよ。だから、中々奴の尻尾を掴めないでいたんだよな。息子と娘はシッカリしているし、罰金と降格で済むだろう」
証拠書類がたくさんあるので、オオワル伯爵夫妻は言い逃れできていないそうです。
不正に関与した役人も能力は低いので、捕まっても何も問題ないそうです。
そして、いつの間にか食事が始まったけど、ランディさんがお父さんに良いワインを勧めていました。
「こうしてナオのことを保護してもらい、親として本当に感謝しています」
「こちらも、優秀な魔法使いと縁を繋ぐという打算もあったのだ。特に気にしないでくれ」
何だかしみじみと話をしているけど、お父さん酔っ払ってようやく緊張が解れたみたいです。
何だか、お酒を飲むペースが早いのが気になるけど。
「「おいしー!」」
「ふふ、良かったわね。いっぱい食べるのよ」
「可愛らしいわね。ルルも、将来はこんな感じになるのかしら」
ニコニコしながらお肉を頬張っているカエラとキースに、レガリアさんとイザベルさんもニコニコになっています。
サマンサお姉ちゃんが二人の面倒を見ていると、セードルフちゃんもサマンサお姉ちゃんに面倒を見てもらおうとしています。
みんな仲良しで良いですね。
そして、ここでちょっとした問題が起きました。
「うう……」
「「「お酒臭いよ!」」」
なんと夕食を食べ終えたら、お父さんが酔いつぶれちゃいました。
僕が回復魔法をかけたので明日は二日酔いにはならないと思うけど、子どもたちからはボコボコに言われています。
当のお父さんは、全く気がついていないけど。
ヒョイッ。
「ほらほら、お父さんは客室に運んでおくわ。みんなは、ナオと一緒に寝なさいね」
「「「はーい」」」
お母さんがまるで戦利品のようにお父さんを担ぎ上げていったけど、みんなお酒臭いのが嫌いだからなあ。
お父さんも、お酒弱いのに好きなんだよね。
ということで、今日は僕の部屋にお父さんとお母さん以外の家族が集まって寝ることになりました。
「「すー、すー」」
「ふふ、もう寝ちゃったわね」
カエラとキースは、ベッドに入ると直ぐに寝ちゃいました。
二人の寝顔も、本当に久しぶりですね。
すると、サマンサお姉ちゃんが僕の頭を優しく撫でてくれました。
「ナオも疲れているのだから、早く寝なさいね」
サマンサお姉ちゃんに撫でられると、とっても気持ちよくてあっという間に寝ちゃうんだよね。
そして、スラちゃんも僕の頭をなでなでしていました。
僕は少し昔のことを思い出しながら、いつの間にか寝ちゃいました。




