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ーーしゃん、

 商店街の明かりも、この時間はさすがにすっかりと消えていた。夜の闇がそのまま空から地上に降り注いだかのような暗さで辺りは満ちていた。



 その中でかろうじて、ちかちかと明滅を繰り返す街灯に照らされているゴミの収集箱に、わたしはへっぴり腰のまま、そろそろと近づく。



 収集箱の蓋を音が響かないように、そっと持ち上げた。空っぽの箱の中身が見える。



 本当にごめんなさい、ごめんなさい、今後は絶対約束守ります。心の中で空っぽのその空間に謝罪してから、わたしはそっとあたりの様子を窺う。人影、まったくもってなし。よし。  



 無駄に闇夜に向かって指差し確認をしてから、音を立てないようにゴミ袋を捨て、蓋を閉めた。



 もう一度改めてごめんなさい。片手で箱を拝む。



 さて、早く部屋に戻ろう。知らずほっと息をついて、わたしは踵を返そうとし。



 そのまま、誰かにぶつかり、尻餅をついた。



「あっ、ごめんなさい……」



 反射的に出た声に、慌てて口元を押さえて、わたしはぶつかった相手を見上げた。



 女性らしきシルエットだが、顔の辺りは闇に呑まれていて見えない。



 ……ちょっと待って。



 あれだけ、人影のないことを確認したばかりだったのに。



 いつの間に……?



 ――しゃん、



 どこかから、鈴のなるような微かな音が聞こえた。



 静かすぎる闇を震わせるその音が、わたしの背筋をも震わせる。



 なに。



 なんだろう、なんだろう、この。



 ――その見えない顔の辺りから、ぼそりと女の人のものらしき声がした。



「今、何時」



 ――こわい。



 尻餅をついたまま少しだけ後ずさる。



 背中が収集箱にぶつかり、ガタンと大きな音がする。



 その音に、わたしの体が今度こそはっきり、びくりと跳ねた。



 恐る恐る、声を出す。



「三時……くらいだと、思います……」



 その瞬間。



 ぼたり、と重たいものが落ちたような音がした。



 女の足元から声が聞こえる。――あしもと?



「……交替、交替、交替の時間。うふ。うふふ」



 甲高く笑う女の声。



 街灯が一瞬明滅をやめ、あたりを照らす。



 わたしは目を見開いた。



 ――女の足元に、生首が転がっている。



 暗闇の中で、同じく目を見開いてわたしを見つめるその生首の顔は、血に塗れ無残に潰れた――。



 わたし……?



「ひっ……」



 息をのみ、その場に凍りつくわたしの首に。



 もう一人のわたしの腕がそっと伸びる。


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