警官の告白②
若き日の刑事(1970年代)
1970年代の終わり、俺は若手の刑事として活躍し始めた。警察学校を卒業し、北海道警察の一員としての使命感に燃えていた。写真の中の俺は、若さゆえの自信と誇りを全身にみなぎらせ、制服姿で背筋を伸ばし、満面の笑顔を浮かべている。笑顔は爽やかで、輝くような目をしていた。夜の歓楽街での取り締まりが日常だったが、それでも正義を信じ、犯罪者を捕まえることに全力を注いでいた。
闇社会との接触(1980年代)
1980年代に入ると、俺の仕事はますます危険なものになっていった。暴力団との接触が増え、銃器対策課に配属されることになった。写真の中の俺は、制服のまま銃を構え、決意に満ちた表情をしている。目は鋭く、周囲の緊張感を感じさせる。表情には、かつての無邪気な笑顔は消え、真剣さと職務への重圧が刻み込まれている。任務の厳しさと、闇社会との危険な接触に対する覚悟が感じられる。
破滅への道(1990年代)
1990年代、俺はついに禁断の一線を越えた。暴力団に検挙用の銃を差し出させ、代わりに覚せい剤の密輸を見逃すようになっていた。写真の中の俺は、制服姿でありながらどこか疲れた表情を浮かべている。目の周りには深いクマができ、口元は緩んでおり、かつての緊張感は影を潜めている。俺はすでに堕落していたが、そのことに気づくのは遅すぎた。表情には、迷いと後悔、そして逃れられない破滅の影が映し出されている。内部告発があり、俺は逮捕された。懲役9年の刑が下り、ムショに入ることになった。写真の中の俺は、虚ろな目をしており、顔全体に絶望感が漂っている。かつての自分の誇りはすっかり失われ、ただ刑務所の中で日々を過ごしていた。
ムショを出てから(現在)
刑期を終えて出所した俺は、全てを失っていた。かつての同僚も、家族も、俺を受け入れてはくれなかった。今、俺は札幌市内の弁当屋で働いている。写真の中の俺は、白い帽子を被り、淡々と仕事をこなしている姿が写っている。表情は無表情に近く、目にはかつての輝きはなくない。総菜の玉子焼きを作るのが日課だ。過去の栄光も、苦しみも、今は遠い記憶の彼方だ。写真に写る今の俺の表情は、どこか諦めの色を帯びながらも、平穏を求めているようにも見える。社会に対する信頼は失ったが、少なくとも今は静かに暮らしている。
警察の内部事情と倫理の崩壊
警察内部の倫理は、確かに厳格であり、正義を守るためのものである。しかし、実際には金や権力への誘惑が多くの警官を堕落させることも少なくない。俺が見た警察内部の世界は、表向きは厳格であるが、裏では様々な不正が行われていた。俺がその一部になってしまったのは、単に俺が弱かったからだけではない。このシステム自体が、俺を堕落させる要因となっていたのだ。過去の栄光を思い返すたびに、俺は自分の選択を悔やむ。しかし、時間を戻すことはできない。俺は今、弁当屋で静かに働きながら、自分の過去を見つめ直している。
未来への教訓
俺の失敗が、これからの警察官たちに教訓を与えることを願っている。どんなに厳しい状況でも、正義を貫くことの重要性を、俺の物語を通じて感じ取ってほしい。今、俺ができることは、過去を反省し、少しでも社会に貢献することだ。警察官であった頃の誇りは失ったが、少なくとも今は、真っ当な生活を送ろうと心に決めている。この物語を通じて、若い警察官たちが自分の使命を忘れず、正しい道を歩むことを願ってやまない。