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先住民の知恵②

食料を手に入れる為にナラが頑張ります。

移動中、ふと足元に目をやるナラ。

「動物の足跡です」

6本指の人間の手のひらのような足跡を発見する。

「これは、ユキグニオオイグアナの足跡です」

足跡を指差しながら細かく説明する。

「長い爪を持っている事から繁殖期のメスである事がわかります。繁殖期のメスは非常に獰猛で、氷属性の魔力が非常に高まる事で知られているそうです」

顎を撫でながら困った表情を浮かべる。

「こんな近くにいたなんて」

「彼らは夜行性ですが、火には慣れていないハズです。夜間は火を絶やさないようにしなければ」


慣れた手つきで木材を組み上げるナラ。

三角柱状の骨組みを作り、そこに草の屋根を取り付けていく。

「完成です」

早速完成した基地に横になる。

「幸運なことに良い材料を手に入れられました。我ながら出来がいい」

火に薪を焚べながら説明するナラ。

「これで寒さや日差しを防ぐことができます」


「まだ日が暮れるまで時間があるので、魚を探します」

川を指差しながらナラは語る。

「こういった冷たくて綺麗な水にはサケやマスなどの魚が期待できます」

川の隅の草かげになった所を探すナラ。

「先住民達は素手で魚を捕まえてきました。私も同じように素手で捕まえます」

しかしなかなかうまく行かない。

しばらく格闘した後、身震いしながらナラは説明する。

「とても寒くなってきました」

「ここにいるマスはフブキマスという氷属性の魔力を持つ魚です。襲われた際に集団で魔力を放ち、周囲の水温を下げて天敵の動きを鈍くさせるのです」

川から上がったナラはがっくりと肩を落とす。

「あれ以上は危険なので諦めます」

しかしナラの眼光はしっかりとマスを捉えている。

「明日は道具を作ってマスを捕まえます」


基地に戻り、再び焚き火に薪をくべるナラ。

「基地を作ったおかげで風が通らないので温かいです」

横になりながらナラはカメラに向かって手を伸ばす。

「明日こそ魚を捕まえます」

目を閉じてカメラを切った。



ー3日目ー


「おはよう」

カメラを片手に意気揚々と歩くナラ。

「イグアナのおこぼれです」

カメラを向けた先には、捕食されたネズミの残骸が。

「まだ少し肉がついています。タダで朝食にありつけました」

早速持ち帰り、肉がついた骨を取り出し火で炙る。

少し焦げ目がついた肉をそのまま頬張るナラ。

「美味しい。食べかけとはいえ3日ぶりの肉です」

何日かぶりの肉を満喫したナラは立ち上がる。

「活力が湧いてきました。これから釣り竿を作ります」


「頑丈な単子葉類の葉はこのようにほぐして紡ぐ事で糸になります」

「釣り針は、このカエンバラという茨で作ります」

「カエンバラは火属性魔法や熱を吸収し、急激に成長します。これを利用して棘をフックのように曲げることができます」

フックを作りながらにこやかな表情を浮かべるナラ。

「先住民達はこの性質も利用して罠を作ったりしてきました」

次に、細長いタケのような植物を手にするナラ。

「このような植物はよくしなるので、釣り竿に適しています」

釣り竿に先程作った糸をくくりつける。

「完成です。この釣り針にミミズを付けて待ちます」

川辺に来たナラは、釣り竿の持ち手の部分を地面に埋めて、適当な石で固定する。

「こうして待っている間に、さっき作った糸を使って別の罠を作ります」


先程の竹のような植物の群生地にやってきたナラ。

「この竹を使って鳥用のくくり罠を作ります」

竹の先端に糸を括り付け、小さな木の棒を縛り付けて先端を罠結びにしておく。次に細かな木の棒を円状に地面に刺し一本だけ切り込みを入れた大きな棒をしっかりと地面に打ち込む。そこに先程の糸に括り付けた木の棒の片方を当て、もう片方は円状にした木の棒と同じような物を斜めに地面に刺して、その先端で固定する。最後に円状にしてある木の棒に罠結びにした輪っかをかけるようにしておく。こうすることで、鳥が頭を入れたときに棒が外れて捕まえられるのだ。後は円の中に木の実を入れておけば完成だ。

「完成です。明日が楽しみです」

手を払いながら満足そうな表情を浮かべるナラ。

「さて、先程の釣り竿を見に行きましょう」


釣り竿には一匹のマスが。

「やりました、生きのいいフブキマスです」

カメラに向けてマスを見せつけるナラ。

「今日のディナーです」


手頃な棒にマスを刺し、丸ごと火で炙るナラ。

「3日ぶりに肉にありつけました」

サクサクと音をたてながら豪快にかぶりつく。

「最高です」

そのまま骨も残さずに食べ終わると、嬉しそうに語る。

「活力が湧いてきました」

「明日はもっと罠を作ります」


-4日目-


「おはようございます」

「早速昨日の罠を見に行きましょう」

しばし歩いた後、罠の様子を見たナラはがっくりと肩を落とす。

「罠は作動していますが、逃げられてしまったようです」

そこには、餌だけがキレイに無くなった罠の残骸が。

「もう一度仕掛けなおします」


罠を直し、基地に戻ったナラは次の作戦を語る。

「基地の周辺の安全を確保する必要があります」

「あのイグアナは夜行性で、夜私が眠っている間に寄ってきます」

「あのイグアナをなんとかしなくてはいけません」

ナラは少し怯えたような顔を見せながらある決意を語る。

「イグアナを狩るには武器が必要です」

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