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転生を希望します!【番外編】  作者: 黛ちまた
イケメンカフェ リターンズ?

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人選って難しい

 各地のカフェはカーライルのカフェをベースにして作られるらしいので、私がする事はなさそうデス。

 ただ、皇都のカフェは作っていい。むしろミチルがやりなさいよ、という空気を醸されてましてな。

 じゃあ頑張ろうかな! と思っていたのにダヴィドが邪魔してきよるのです……。

 持ってきた書類──つまり履歴書に謎の数値が書いてあって、何かと尋ねたらイケメン指数だって! まさかの顔面偏差値!!(悲鳴)

 確かにこの世界の写真はまだ白黒な上に貴重だけどさ!

 実際にミチル様が面談していただく訳にはいかないので、数値で表してみましたと笑顔で言って、ダヴィドはセラに叩かれていた。マゾなの?


「気に入った者を選べば良いだけだろう」


 そうおっしゃるのはミチル史上最高のお顔をお持ちのゼファス様です。美形が多い貴族社会の中でダントツなんですよ。だから心の中で天使って呼んでるんだけども。


 カフェ関連で行き詰まったのでゼファス様に会いに来たらお義父様がいた。

 変わらず日参しているのか……。

 そろそろ皇城で働かせても良いレベルで邪魔をしてると思う。でもそうしたらまた何か悪い事をしでかしそうで、それはそれで不安になるっていうか……。

 鬱陶しく思いながら、ゼファス様も監視目的で魔王様を手元に置いてるんじゃないかという気もしなくもない……。

 何て言うか、敵になっても味方になっても困る厄介な人、それがリオン・アルトという人物である。


「うちの愚息がすまないね、ミチル」


 親子揃って心のこもってない謝罪をしますね!


「あぁ、ルシアンが嫌がるんだったか」


 嫌がるって言うか、雇った人を抹殺しそうだから駄目なんですがね……(涙)

 そもそもこの数値の基準って誰目線なの……むしろそっちが気になるよ……。


「店で給仕をする者達を女性にしたい程です」


 世界平和の為に。いえ、言いすぎました。ミチルの心の平穏と皇都の安全の為に……。


 こちらの世界では女性も働くには働くけど、接客はしないんですよ。そんなことをするのは酒場の給仕ウェイトレスぐらいで、そういう人達はそういうお仕事も込みなんだって! なんてこった!


「すれば?」


 ゼファス様ってばまた、軽くおっしゃってくれちゃってもう……。


「それは良い案かも知れないよ、ミチル」


 お義父様まで……!

 無実の人がユーの息子にアレされちゃうから言ってるんであって、こっちで女性が給仕したら夜のお仕事だと思われちゃうんだから、そんな事させられないよ!


 ジト目でゼファス様を見ても、全く気にしていない様子でマカロンを食べている。

 手を伸ばしたら叩かれた。痛い。


「イリダでは男女の権利が等しいらしい。平民の間では、ということのようだけどね」


 ほほー。

 ある程度女性の地位が確立されているって事ですか。技術だけでなくそういうのも進んでる国なのかな?


 仕方なくお茶でも飲もうと思ったら伸ばした手の甲にマカロンをのっけられた。笑顔を向けたら顔を背けられてしまったけれども。


「性別関係なく、優れていれば研究所などで働く事も可能らしいね」


 お義父様の補足説明になるほどと頷きながらマカロンを頂戴する。うまし。


 ビルボワン伯爵令嬢だったシャマリーは教育係もしてるって話だったから、オーリーはこちらと同じ階級社会かも知れないけど。


「マグダレナ大陸に生きる者達もこれまで通りとはいかない。お互いの存在を知れば比較してしまう」


 今は喪中で、国家間の重要な決め事はしないって事になってるけど交易はしてるもんね。

 その結果あっちの国の方が良さそう、ってなったら困るもんなぁ……いや、それは自由なんだけど、敵対されたら困るって話で。

 戦争した相手だからそんなに簡単に受け入れたり受け入れられたりって事もないんだろうと思うけど、政治って民を置いてけぼりで進むものだ。実害が全くない人達がどう考えるかは分からない。

 まぁ、言語の問題もあるからそうそう簡単にはいかないんですけれどね。


「あちらの大陸との交易はそれほど盛んなのですか?」


 オーリーの話はたまに聞くけど、イリダの話はあんまり聞かないんだよね。

 魔石の輸入量はかなりのものとかなんとか。


「これから増えるだろうね」


 そう言って目を細めるお義父様に、嫌な予感しかしない。


「……あちらにも魔素があるからですか?」


「そうだよ。魔素に蝕まれた身体を何とかする方法は魔石しかない。けれどアル・ショテルの国民性からして、魔石を輸入して耐えるという選択肢はないんじゃないかな」


「ラトリアは歓迎されるだろう」


「熱烈に歓迎してもらえそうだね。親としては嬉しいよ」


 胡散臭いこと凄まじいね、本当……。

 ゼファス様の顔にも胡散臭いって書いてある。

 よく私に顔に出しすぎだって言うけど、ゼファス様もお義父様に関しては隠す気ないよね。


「ラトリア様はゼナオリアに行かれるのではないのですか?」


「時折は行くだろうけれど、ルシアンの狙いはイリダだろうから、アル・ショテルだろう。あちら側としても願ったり叶ったりだろうしね」


 願ったり叶ったりとはどういうことなんだろう?

 魔素の解析にラトリア様が必要とかそういう??


「先に魔素の問題を解決するのはどちらだと思う?」


 凡人に聞かれましても……。

 ゼファス様を見たらむしろ見つめ返されてしまって、この前ヒントもらったのに何も分かってない私としましては誤魔化したいと申しますか。


「ゼナオリアでしょうか」


 私の答えにお義父様は笑顔になる。何を考えてるか皆目分からん。


「それは何故だい?」


「ゼナオリアは皇国の貴族を受け入れましたが、イリダはそうではありません。解決がどの程度のものを指してらっしゃるのか分かりませんが、いくら優秀だからといって、何でも解決出来るものでもないと思うのです」


「だってさ、リオン」


「これは手厳しいね」


 優秀だから何でも解決出来る訳じゃない、っていうのがお義父様にも適用された模様。

 いや、さっきの話は人間向けであって、人外な魔王様に関しては正直分からないっス。


「アル・ショテルもマグダレナ様の加護を望まれるのでしょうか?」


 オーリーの民が創造神を見限ったように。


「イリダ神は勝つ為に手段を選ぶな、という教えを民にしたからね」


 わぁ……えげつない……。

 オーリー側の勝利目前だったのに、イリダが自分達の大陸ごとオーリー軍を毒で壊滅状態にしたって知った時には頭おかしいって思ったもんなぁ……。

 手段を選ばないっていうの、しっくりくる。くるけど怖い。物騒すぎるよ!


 ちらとお義父様の顔を見る。

 いつも通り涼しげな顔をして紅茶を飲んでる。


「ラトリアがあちらに渡るのももうすぐ。それまではミチルもカフェの人選についてたっぷり悩むといいよ」


 あぁ、そうでしたそうでした。

 カフェのスタッフについて話していたら脱線してイリダやオーリーの話になっちゃったんだった。


「給仕として女性を雇用したいのですが、これまでの常識が邪魔をするのではないかと。働く者達を悪戯に危険な目に遭わせたくありませんし」


「そういう時の為にあるんじゃないの? 愛し子の立場って」


 愛し子って私ですよね?

 私の立場を使う? なして?


「愛し子は女性が広く働ける場所が増える事を望んでいる、とでもすれば?」


 いやいやいや、そんなの駄目でしょ。

 女神様のご威光をそんな風に使ったら、不満を抱く人も出るでしょう。


「そのような事をせずとも自然とそうなるのが良いのですよ?」


 ゼファス様が呆れた顔になる。

 ぬ?


「察しが悪い」


 楽しそうにお義父様は笑い、ゼファス様の代わりに説明してくれた。


「皇都のカフェは、愛し子が皇都の民の働く場所を用意したうちの一つだとすれば良いんだよ。

愛し子が女性にそのような仕事をさせたくて職を用意したと考える者はいない。孤児を集めて庇護するような徳の高い人物なんだから。

よしんばいたとして愚か者だ。不安なら警備の人間でも配置すれば良い。

犯罪者予備軍も見つかって一石二鳥だ」


 なるほどと納得する。

 でもその前にこそばゆいって言うか、なんかひっかかること言ったな……。

 お義父様というか、アルト家の面々が私を無駄に持ち上げるときは揶揄なので、本気にしてはならぬのだとミチルは分かっておりますよ、えぇ……!


 お茶を飲む。

 さっきと違う味のマカロンをもらった。

 マカロンを味わいながら、カフェの求人を男女問わず混合にして、男性のお客さまには男性が対応して、女性のお客さまには女性が対応するっていうのはどうかな、と考える。

 そうやって女性の給仕がいることに慣れていってもらうのもありなんじゃないかなと。


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